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運と仲間でファンタジー  作者: 旧正 睦月
終章「世界」
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第七十六話「情報」

「おーいお二人さん、準備が終わったぞい。何が起こるか分からんから気を付けるのじゃぞ」

 俺達が雑談をしている間、一人で色々と頑張っていた神様が声をかけてきた。随分と疲れているようだ。

「おう、こっちもオーケーだ。やっちゃってくれ」

「ほいほいっと」

 神様は見えない壁に手を触れさせると何か呪文らしきものを唱えた。

 すると、壁が崩れ去るような大仰な音がするでも衝撃波が起こるでもなく一瞬にして静かに周りの景色が変わった。さっきまで見ていた、両脇に木が立っているが中心だけは道が開けている景色から昨日のような背の高い木々に囲まれた景色に。

「え、ええ!? 一体何が起こったんですか!?」

 一番最初に驚きの声を上げたのはティルシアだった。俺ももちろん驚いてはいるがある程度予想は出来たのでそこまで驚いていない。

「簡単に言うと、森が見せていた幻覚を神様が解いたって事だ。で、合ってるか?」

「うむ、ほぼ正解じゃ。一つだけ惜しいのはワシらに幻覚を見せていたのは森ではなく森に住む者なのじゃ」

 神様はできの良い生徒を褒めるようにして話す。だがその顔は楽しげどころか険しくなっている。

「この際じゃから話すがワシはそいつを知っている。まだ確定した訳ではないが十中八九そうじゃろう。そいつ以外にこれ程の幻覚を見せられる者が居るとは思えん」

「それでまた、なんで神様はその人の事を知っているんですか?」

 それはじゃの、という言葉に続けて、

「ワシはそいつと闘った事があるのじゃ。全力を振り絞って闘ったのじゃが勝てなかった。ワシが二度と闘いたくないと思ったのはそいつが初めてじゃ」

 ちょっと待て、この万能の神様が勝てなかった、だと? 何かの冗談だろ。

「冗談などではない。それに闘ったと言っても内容は一方的じゃった。こちらがいくら攻撃を仕掛けても笑いながら全て受け止められるという屈辱的な、な」

「じゃあ昨日アンタが考え込んでた事はそれだってのか?」

「そうじゃ」

 特に虚勢を張らず、神様は素直に認める。

 なるほど、色んな点と点が線で繋がっていくようだ。これで色々と合点がいく。

「そいつはどんな奴なんだ? もしかしたら何かギルドに有るかもしれない」

「その必要はない。情報なら小さな子供からよぼよぼの老人まであの街の人間なら誰でも持っているはずじゃ」

 ん? どういう事だ。それなら俺達もそいつの事を知ってるって事になるぞ。

 隣を見るとティルシアも同じ事を考えていたようで、頭を悩ませていた。

「どういう事でしょうか……エアスの街の人間なら誰でも知っていてそれは私達にも例外じゃない……?」

 本当に訳が分からない。

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