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運と仲間でファンタジー  作者: 旧正 睦月
第五章「スウン森」
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第七十三話「探索」

 昨日と同じルートを通り森の前まで着いた。大体同じ場所から森に入ろうとするとティルシアが何かに気付いたようで、俺の服の袖を引っ張った。

「ラックさんラックさん。あれ見てくださいよ」

 そう言ってティルシアが指差した先に有ったのは、そこの部分だけ木が無く道となっている所だった。まるでそこには元から何も無かったかのようで、不自然さは感じられなかった。

「なんだあれ? 昨日は無かったぞ」

 いや、本当は有ったのかもしれないが俺は気が付かなかった。

「昨日私達が帰ってから出来たという事でしょうか」

「それはありえない。俺達がこの森を出たのが夕方、今はようやく街のみんなが起き出すような早朝だ。そんな短時間でここまで道を作るのは不可能に近い」

 神様や人外なら話は別だがな、と付け足しておく。その力を実際に目にしているからこんな事まで想像できるようになってしまった。

「あはは。ラックさんも変な事を言いますね。神様なんてこの世にいる訳無いじゃないですか。そういう絵本でも呼んだんですか?」

 本当にいるんだけどな……俺も本当にいるんだって知るまではティルシアと同じだったししょうがないか。

「まあそういう事にしといてくれ。じゃ、調査を始めるか」

「はーい」

 できる事ならこんな感じの罠とも思えるような所には入りたくないんだが、見てしまったものは仕方ない。


 もう一時間は歩いただろうか、道は意外と長く続いていた。

「なあティルシア、そろそろ一旦休憩しないか?」

「良いですよ。私もそう提案しようと思っていました」

 俺達は荷物を地面に降ろし、近くの木に座って寄りかかる。足にも随分と疲労が溜まっているのが分かる。

「私達結構歩きましたよね。なのに一向に終わりが見えなくてちょっと辛いです」

「だよなぁ。歩いた距離からしてもうとっくに森の外に出ても良いはずなのに」

 その瞬間、俺は自分の発した言葉に違和感を感じた。何かがおかしいような気がする。

「……ティルシア、俺達って少なく見積もっても一時間くらいは歩いたよな? それもスピードは変えずに」

「ええ、そうですね。それがどうかしましたか?」

「だったらおかしいんだよ。それだけ歩いたならもう外に出てるはずなんだよ。歩いてきた道が曲がりくねってるかと言ったら、そういう訳でもなく比較的真っ直ぐだったし」

 なぜか自分の言った言葉に強い恐怖を覚える。気付いちゃいけない事に気付いてしまいそうな感じだ。

 しかし多少のリスクを負ってでも前に進まなきゃこの問題は解決しない。だから敢えて深く考える。

「いいか、あくまで仮説として聞いてくれ。もしかしたら──」

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