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運と仲間でファンタジー  作者: 旧正 睦月
第一章「久しぶりの仕事」
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第五話「遭遇」

 ギルドでクエストを受けた俺達は、軽快な足取りでトスイ平原へとやってきた。

 トスイ平原とはエアスの街からほど近い場所にある平原だ。野生のモンスターも居るには居るが数が少なく、それほど強い訳でもないのでギルドに所属する為の試験にも使われている。それに加え様々な野菜や果物も自生しているのでそれ関係のクエストも多い。

「フフンフーン。お、ガジャ・イモ発見。こんなに早く見つけられるなんて幸先良いな」

「ラックさん、こっちにもありましたよ」

「良いな、この調子だと昼頃には終わるかも知れないな」

 ま、急いでる訳じゃないから焦らなくても良いけどな。

「そうですね。でも一つだけ気になる事があるんですよ」

「ん? 何が気になるんだ?」

「周りを見渡してください」

 そう言われて周りを見渡して見る。気になるような事は……特に無いな。

「さっぱり分からん」

 そう返すとティルシアがこれだからラックさんは、とでも言いたげな表情で言ってきた。

「はあ……私が気になる事というのは人数ですよ、ここに居る人数。余りにも少なさすぎるとは思いませんか? なんか嫌な予感がするんですよね」

 言われてみれば、と思う。いつもなら騒がしいくらいの人数が居るのにこの周辺に居るのは俺達とあとは二人だけだ。何かあったのかとは思うが俺達には関係無いことだろう、と強引に結論づける事にした。

「確かにな、とりあえず今はその嫌な予感が当たらない事を祈りつつやる事をやっちまおう」

「ですね」

 その後も順調に集まり、丁度昼頃に目標の数を集める事が出来た。

 なのでこんな提案をする。

「ティルシアー、このまま帰っても暇だし、少し休まないか? そこに広い木陰もある事だし」

「実は私、そんな事もあろうかとお弁当を作って来たんですよ。だから昼頃には終わるって言われたときどうしようかと思いました」

「ティルシアは本当に気が効くな。きっと良いお嫁さんになれるぞ」

 たまに振るわれる暴力を除けば、と出かかった言葉を押さえ込む。

「っ!? えっと、その発言はそういう意味って認識で良いんですよね……」

 ティルシアの方を見ると、顔を真っ赤にして小声でブツブツ言っていた。あ、でも良く考えたらティルシアが嫁に行くって事は俺は独り身になるって事で……あれなんか悲しくなってきた。やっぱりティルシアは誰にもやらん!

 俺がそんな事を考えている間もずっとティルシアはブツブツ言っていた。ちょっと不安になってきたので呼びかけてみる。

「おーいティルシアさーん? 大丈夫ですかー」

「ってことは……で……ハッ!? ごめんなさい別の世界にトリップしてました」

「いや、大丈夫なら良いんだけどさ、何かあったら言ってくれよ。出来る限りのことはするからさ」

「大丈夫ですよ。あなた」

 何だ、一体こいつの中で何が起こったんだ。

「……なーんて冗談言ってみたり。どうです? 結構上手かったでしょう?」

「冗談かよ。危うく本気にするところだっただろうが」

「そうですか、それは良かったです。気も済みましたし、お昼ご飯にしましょうか」

「ああ」

 その後木陰でティルシアの作った昼飯を食べ、木の根元で休憩した。


ーーーー


 俺はぼんやりとした視界のまま自分の体が横になっているのに気が付いた、どうやら寝てしまったようだ。……ティルシアの膝枕で。

「あ、起きちゃったんですか。まだ寝てても良いんですよ? 時間はたっぷりありますし」

 その気遣いは出来たら朝にして欲しい。

 ティルシアのせっかくの好意を無下にするのもアレなのでお言葉に甘えてもう一度目を瞑る。

「おやすみなさい」

 ティルシアに頭を撫でられながら俺は眠りにつこうとする。

 次の瞬間、ここら一帯に広がるような馬鹿でかい咆哮が鳴り響いた。

 その衝撃で俺は完全に起きる。

「!? 何だ今のは!」

 咆哮の音源と思われる場所へ目を向ける。するとそこには全長二〇メートルはあるだろう赤い人型の化け物が居た。

 そいつは余程視力が良いのか俺達の方向を向くと、こっちに向かって走り出した。

「冗談じゃねえ! 逃げるぞティルシア!」

「はい!」

 全力を尽くした鬼ごっこの幕開けだ。

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