第四十二話「ゲーム」
「ゲームだと?」
「ええ、ゲームです。ルールは簡単、私が十五秒ごとに周囲にいる人間を一人づつランダムに攻撃していきます。十五秒経つまでは一切攻撃しません。あなたが最後の一人になるまでに私に攻撃を当てられたらあなた達の勝ち、出来なかったら私の勝ちです」
こいつは急に何を言い出すんだ。狂ってんじゃねえのか?
「そのゲームに俺達が参加するメリットは? また参加しなかったらどうする?」
「メリットですか……そうですね、大人しく捕まりましょう。もちろん一切抵抗しませんし、その後の処分は何なりとどうぞ。参加しなかったら今まで通り戦うだけです」
「マルス、どうする? 今なら決められるぞ」
話を聞いていたマルスに確認をとった。この場のリーダーはあいつだ、最終的な決定権はあいつに有る。
「何を企んでやがんのか知らねえが俺達にメリットがある事は確かだ。みんなもそれでいいか?」
討伐隊の面々がそれぞれ首を縦に振る。覚悟は決まったようだ。
「てな訳だ。始めようぜ……よーいドン!」
「「「どりゃああああああああ!!」」」
全員が走り、プラートを囲んでいた輪を縮める。
「おやおや……ほいっと」
あと少しで武器が届くという所でプラートは軽やかに数メートルほども飛び上がり、攻撃を避ける。マジで人間業じゃねえ。
「今だ! 魔法を撃て!」
マルスの号令で円の外側で待機していた奴らが一斉に魔法を放つ。空中ならそう大きくは動けないだろう。
直後、色とりどりの魔法がぶつかり合い煙を上げた。
「やったか!?」
「そんな訳ないじゃないですか」
どこかで発された期待を込めた言葉は、直ぐに裏切られる。煙が晴れたというより縦に引き裂かれるようにしてプラートの姿が見えた時、所々で落胆の声が聞こえた。
「さて、そろそろ十五秒ですね。一人目はあなたにしましょうか」
「ひっ! うわああああああああ!」
突撃した中の一人に煙を切り裂いたままのスピードで、上空からの攻撃が襲いかかった。くそっ、なんて奴だ。
「攻撃のあとは誰にでも隙が出来る! 今がチャンスだ!」
マルスの言葉を聞き、四方から攻撃を仕掛けるが当たらない。全てがハンマーで弾かれてしまう。
「二人目ですねー」
「ぎゃああああああ!」
プラートの近くに居た奴が吹き飛ばされる。このままでは埒が開かないが、かと言って何か策がある訳でもない。
「何か……何か無いのか!」
何回か攻撃をしては避けられ、十五秒ごとに一人がやられる。まるで繰り返し同じ映像を見せられているような状態が続いた。




