第三十四話「対策」
レンガが積み立てられただけの壁。ボロい木のテーブル一つに椅子が四つがワンセットとして十セット。地下室にあるのはそれだけだった。
現在の暴動の対策を話しているギルド管理人は若く見ても六十代後半の女性だ。
百人以上は集まっているが椅子は四十個しかないので、椅子に座れない者は立って話を聞いている。
「──とまぁ、こんなもんかね。じゃあ班に分かれてちょうだい。分かれたところから出発だよ」
俺達が到着したと同時に話は終わってしまったようだ。他の人は数人ずつで固まって班になっている。
何をしたら良いのか分からないのでひとまず話を聞きに行こう。
「すみません、遅れてしまいました」
「おお、ラックじゃないか。遅いよまったく。……そこの嬢ちゃんは誰だい?」
管理人は訝しむようにジロリとティルシアの目を覗き込む。そうか、ティルシアとは面識が無いんだったな。
「紹介しますよ。この子はティルシア、数年前に家の前で拾いました。んで、この人はエアスの街のギルド管理人のシルヴィさんだ。あんまり表には出てこないから知られてない」
「よ、よろしくお願いします!」
「そう固くならんでもええよ。それにしてもお主、私の若い頃に似て器量好しじゃの」
両者に両者を紹介した後、初めのうちはガチガチなティルシアだったがシルヴィさんと話している間に緊張は解れたようで普通に喋っている。
何もない日なら飽きるまで喋らせておいても良かったが、シルヴィさんには対策を聞かなければならないので少々強引に話を切り出した。
「シルヴィさん、俺達はどうしたら良いんですか? それと対策を聞かせてください」
「……とりあえずあんた達は二人で一班としようかね。時間も無いからあんた達に関係あるところだけを言うよ。良いかい? まずは──」
シルヴィさんの言う対策はとてもシンプルなものだった。これ以上の被害を受ける前に敵の本拠地に乗り込んで大元を潰す、それだけだ。
与えられた情報は三つだけ。一つ目は敵の名前は『トリックスターズ』という事。二つ目の情報は、敵の本拠地はこの街を西に行ったベヌス山にある事。三つ目は街のトラブルの対処は別の班がやる事。
「なるほど。一つ聞きたいんですが、ベヌス山に向かっているのは俺達以外にも居ますか?」
「もちろん。他に質問は無いかい? 無かったら準備をして出発してちょうだい」
聞きたかった事を全て聞いた俺達は特に質問も無いので部屋を後にした。




