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運と仲間でファンタジー  作者: 旧正 睦月
第一章「久しぶりの仕事」
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第三話「ボアの間引き・後編」

 あれからしばらくして起きると俺はベッドに寝っ転がっていた。どうやらティルシアが運んでくれたようだ。

「あっ、やっと起きましたねラックさん。もーあの後大変だったんですよ! いくら起こしても起きないし、そのせいで仕方なく私がラックさんを運びながら事後処理させられたんですから! 今日の家事は全部ラックさんがやってくださいね。私にかなりの魔力を使わせたんですから当たり前ですよね!」

 怒涛の説教に耳が痛い。それにしても寝起きに言わなくたっていいだろ……。

「とほほ……で、ここは何処なんだ? 俺達の家じゃないだろ?」

「ここは依頼主のノスタさんの家ですよ。ノスタさんがとっても良い方で私がラックさんを背負っているのを見てクエストのお礼に休んでっても良いよって言ってくれたんですよ」

 ほう、あのおっさんもこのご時世になかなか良く出来た人だな。俺だったらこいつが来てもそのまま帰らせるね。

「じゃあノスタさんにお礼を言わないとな」

「もちろんですよ」

 そう話していると部屋にノスタさんが入ってきた。

「おっ、気が付いたかい? 体の調子はどう?」

「おかげさまで絶好調ですよ。ありがとうございました」

「とんでもない。これは報酬だよ。こんなとこまで足を運んでくれた君達への、ね。むしろこっちがお礼を言いたいくらいだ」

 やっぱり良い人だなあ。ティルシアにも十分の一でいいからこの優しさがあったら……!

 そんなことを考えていても仕方がないので帰りの準備を進める。

「おや、もう帰るのかい? もう少しゆっくりしていっても良いんだよ?」

「お気遣い感謝します。ですがそろそろ帰らないといい時間になってしまいますので……すみません」

 恭しくティルシアが頭を下げる。

「それじゃ、本当にお世話になりました。またのご依頼お待ちしてます!」

「うん。帰り道に気をつけてね」

 そう言って俺達は帰路に着いた。

 途中、こんな会話をしながら。

「なあなあティルシアー。お前、空間魔法って覚えてたっけ?」

「覚えてませんが、何か?」

「今度さー覚えてくんない? 覚えてくれたら帰り道が楽になるからさ」

「嫌ですよ、面倒くさい。それにラックさんが覚えれば良いじゃないですか」

「いや俺って器用貧乏じゃん。どんだけ頑張ってもそこそこで限界が来ちゃうからあんまし意味がないんだよね」

「今の言葉で更に覚えたくなくなりました。私はラックさんを甘やかしてこれ以上ダメ人間にするつもりはありませんから」

「ちぇー。じゃあ何か考えとくかー」

「…………でも、ちょっとだけなら」

「ん? 何か言ったか?」

「何にも言ってません!」

 その後もあいつは夜寝るまでずっと怒っていた。俺何か悪いことしたかなぁ……? とりあえず謝っておこう。

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