第十四話「デート」
散歩を終え、家に戻るとティルシアは起きていた。
「あ、おはようございますラックさん」
「おう、おはよう。それと昨日はすまなかったな」
「いえいえ、こちらこそベッドまで運んで貰っちゃっ……変なことしてませんよね?」
良かった。ティルシアはあんまり気にしてないようだ。それとティルシアの中で俺は寝込みを襲うような奴なのか……?
「してねえよ。とりあえず朝飯にしようぜ。話すこともあるしな」
「あ、はい。じゃあ準備しますね」
「おう、もう作ってあるから温めるだけで良いぞ」
そう言った瞬間、ティルシアがおとながサンタクロースに遭遇したかのような驚きの表情をしているのが見えた。やっぱり腹が立つので脳天にチョップ。ティルシアが頭を抑えて痛がっているが自業自得だと言い捨て、放置する。
「もう、何するんですか! 痛いじゃないですか!」
俺は知らん、と一言。うん、今日も俺達は平常運転だ。
この時間を楽しんでいたい所だが、それ以上に腹が減っているので朝飯を食うことにした。
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「で、何なんですか? 話すことって」
ああ、そうだ。言われて思い出した。
俺は今朝ユピーさんから聞いた話をところどころ端折ってティルシアに伝えると、「絶対に許せません!」と激昂していた。俺と同じ反応だな。
「ま、俺達の所に来ることは無いだろうけどもし来たらお前は裏口からギルドに向かって、人を呼んで来てくれ。その間は何とかするからさ」
ティルシアにはいらぬ心配をかけないようにフォローをしておく。もし本当にそうなった時、一対六だったら耐えられるのは頑張って五分が限界かな。まあ、その短時間で行って人を呼んで帰ってくるのは厳しいだろうからこんな作戦は元々破綻してる。
マジで来たらどうしようかと俺が考えていると、ティルシアが声を掛けてきた。
「あ、じゃあ私の話も良いですか? 昨日のラックさんを自由に出来る権利ってまだ有効ですよね?」
ああ、そんなことも有ったな。何をさせるのかと俺が身構えていると、そう身構えなくても良いですよと前置きしてから、
「まず、今日はお休みです。それで、私とデートしませんか?」
「ゑ?」
オーケーオーケー、ひとまず整理しようか。一つ目、今日はお休みですと言ったな。これは俺にとっては嬉しいことだ。二つ目、私とデートしませんか? と言った。うんうん、これも俺にとって嬉しいことだな。……デート!?
「ハッハッハー、ティルシア君。あまり人をからかってはいけないよ?」
と、俺が諭すと、
「いえ、本気です。今日一日デートしましょう。それとも、ラックさんは私が嫌いですか?」
参った、この子本気だ。
「いやそんなことは無いけど……マジ?」
「マジです」
同居人からデートに誘われてしまったラック、一体どうなるのか!? 次回も絶対見てくれよな!
なんてやってる場合じゃないな。実は今、あまりにも衝撃的過ぎてちょっと混乱してる。とりあえず平静を装うとするか。
「ま、まあその話は飯が終わった後にしようぜ」
「今決めてください」
ティルシアが身を乗り出して迫ってくる。威圧感が尋常じゃない。
「……じゃあ、行こうか」
俺が決死の決断をすると、ティルシアは笑顔になりとても幸せそうだった。
それにしてもティルシアとデートか……想像出来ないな。




