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運と仲間でファンタジー  作者: 旧正 睦月
第一章「久しぶりの仕事」
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第十一話「討伐」

 ノスタさんの家までは歩いていく予定だったのだが、マルスの提案で馬車を使う事に。その費用はマルスが持ってくれると言うのでありがたくその好意に甘える事にした。

 そのおかげで往復二時間超えコースを覚悟していたのが、往復で三十分程度になった。

 木で出来た馬車に乗っている時、一番に口を開いたのはティルシアだ。

「マルスさん。本当に良いんですか? お金を出して貰っちゃって」

「ああ、このクエストの報酬の半分も貰うんだしこの位はさせてくれ」

「そうですか、では礼を言わせてください。ほら、ラックさんもですよ!」

 そう言いながら礼を言わせようとするティルシアの姿がどこぞの母親に見えたので、人を子供扱いするな! とチョップしておいた。

 チョップされた頭を押さえながら上目遣いで睨み付けてくるティルシアにはなんだか加虐心をそそられるが、黙っておく。もしそんな事を口に出そうものならドSロリコンのレッテルを貼られてしまうからな。

 ふと外を見るともう着きそうだったので二人に声を掛ける。

「ーーと、そろそろ着きそうだぞ。準備しとけよ」


ーーーー


 馬車から降りた俺達は、少し古ぼけた木造の民家の呼び鈴を鳴らした。

「ごめんくださーい、ギルドの者です。ノスタさんはいらっしゃいますか?」

「はいはーい、今行きますよー」

 声に数秒遅れて木のドアが開いた。

「ああ、君達ですか。今日もよろしくお願いします。おっと、そちらの方は?」

「エアスの街に住んでいるマルスと申します。今日はこの二人に誘われて来ました」

 マルスがノスタさんに向かってしっかりと頭を下げる。こいつが礼儀正しくしてるところなんて初めて見たぞ。

「それは心強いですね。では、早速ですがベリーボアを一匹、討伐お願いします。多分、先日の山の麓辺りに居るでしょう」

 ほうほう、あの辺なら木とか岩も少ないし余裕を持って立ち回れるだろう。

 俺達は作戦を立てながら、ベリーボアが居るであろう場所へと向かい、待機を始めた。

 ここで全員の主武器を確認しておこう。まず、俺はなんでもそこそこ使えるのだがあえて言うならば両手槍だ。基本的には相手の攻撃が届く範囲外から突いたり斬ったりしていく。

 次にティルシアだが、杖だ。これは杖を媒体にする事によった魔法の威力上昇が目的だと思われる。魔力が切れた時は杖で思いっきりぶん殴るらしい。

 最後にマルス、こいつは両手剣だ。その剛腕から繰り出される超速の斬撃と剣自体の圧倒的な重量でもって相手がどれだけ硬かろうがお構いなしに叩き斬る。……このパーティ、一人残らず攻撃の事しか考えてねえな。

 そんな事を考えながら待機すること十数分、遂にベリーボアが現れた。

「よし、行きましょう!」

 ティルシアの声を皮切りに俺達は事前に決めておいた作戦の為、動き出す。

 作戦の概要はこうだ。まず、俺とマルスはベリーボアに近寄り挑発する。そして、怒ったベリーボアは突進してくるはずなので、ティルシアが魔法で狙いやすく安全な位置まで誘導する。後は魔法でズドン、という訳だ。

 本当は作戦が無くても倒せるんだけど万が一の時と早めに終わらせたいって事を考えるとこうした方が良いんだよな。それにしても単純だなあ。

 そんな訳で俺達は枝や石をぶつけ、ベリーボアを怒らせる。

「ほらほら来いよ! ビビってんのか?」

 ……多分効果は無いと思うが言葉でも挑発しておく。

 すると俺達を認識したのか、こちらに身体を向け突進の予兆を見せる。

「おい、逃げるぞ。作戦は成功だ」

 と、マルス。俺はその言葉に頷き予定の位置へと駆け出す。上手く行ってくれればいいんだが……。

「ティルシア、準備は良いか!」

「オッケーです! いつでもどうぞ!」

 会話をして数秒、突進していたベリーボアの元へ巨大な火の球が降り注いだ。その余波でもくもくと煙が立ち上るほどの物だ、流石に生きてはいないだろう。

 少しして煙が晴れ、横たわっているベリーボアの姿が見えた。俺は駆け寄り、生死を確認する。思わぬ反撃を食らわないように首に槍を深く刺しながら。

「……ん、討伐完了」

 横たわっているベリーボアは完成に生命活動を停止させていた。

 これにてクエスト成功だ。

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