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黄金の闘争

リドは村へ走りながら、昔盗賊団の頭に教わった戦闘の手順を思い出していた。


盗賊の戦法は奇襲をかけ、一気に畳み掛ける。敵の急所を狙い、確実に殺し…戦闘意欲を削ぐ…


それを実戦するため、先ずは…


「はぁぁっ!」地面を蹴り、思いきり跳躍する。


しまった、飛びすぎた!?


人間の頃と感覚が違いすぎる、糞!!


村の外周に静かに着陸するつもりだったのだが、誤ってリドは村の中央広場のような場所に着陸してしまう。


派手な音をたて、着陸するリド。

それを見た村人、エルフ共々動きが止まる。

恐らく驚いているのだろうが…


空中で確認したとき、敵エルフの数は6人だった。中央広場には5人いる…不味い、今のうちに仕掛けなければ!


「しぃっ!」

クロークと仮面を投げ捨て一番近くにいるエルフに素早く肉薄する。リドはアッパーを食らわそうと、拳を全力で振り上げた。


ぐじゃぁっ!という音が響き渡りエルフの頭部だった物が四散する。胴体も数秒遅れて地面に倒れ…


リドは驚いた。自分の拳がエルフの頭部をミンチにした!?

自分の筋力がここまであるとは嬉しい計算外だった!これならばエルフを全員殺すことも可能かもしれない!


だが自分達がターゲットにされているとわかったエルフ達が、ナイフや剣を構えて臨戦態勢になる。


リドも対抗して先程殺したエルフからダガーナイフを奪い、逆手持ちで構える。左手はフリーにしておくのではなく、こっそりと砂を掌に忍ばせておく。昔からの得意技、目潰しだ。


自分の攻撃力が高いことがわかったが、自分の肌はどれだけ硬いかわからないので無謀な突貫は避けたいが…


そう考えた矢先、4匹のエルフが陣形を組んで接近してくる。


二匹のエルフが横に列を組み、先行。その後ろに二匹のエルフが縦に列を組む、Yの字のような形の陣形だ。


ここで先頭を進む二匹のエルフをA.B。後方にいるエルフをC.Dと呼称することにする。


あの陣形はリドの盗賊団でも採用していた為にそれなりに理解している。

前方の二匹がお互いをカバーしながら戦闘し、背後の二匹が360度を警戒するのだ。


恐らく増援を警戒しての警戒用陣形だろうが、

こちらとしては好都合だ!


腰を落とし、左側のエルフBと右側のエルフAを引き離すためにエルフBの左手目掛け、ダガーナイフを投擲する。


かなりの速度だったが警戒されていた為か、簡単にBに避けられてしまうが、これで二匹の距離を離すことは成功した。


それをみた右側のエルフAが、一気にリドとの距離を詰めにかかる。


かかってくれた!


すかさず左手に忍ばせていた砂をエルフAの顔面に投げつける。


距離を積めようとしていた事もあり、エルフAはそれをもろに食らってくれた。

エルフAが視界が潰され怯んでいる隙に、リドは一気に距離を積め、ボディーブローを素早く繰り出す。


本来なら繰り出した後、後方に跳躍して距離を離すのがリドのいつものやり方だったのだが、威力がありすぎたらしく拳がエルフAの皮鎧を突き破って体を貫通してしまった。


左手でエルフAの体を掴み、右手を一気に引き抜いて右手を自由にする。牽制をしようとエルフAの死体を陣形の中央にいるエルフCに投げつけ、先程ダガーナイフを投げつけたエルフBと対峙する。


…リドはニヤリと笑い、エルフBを睨み付ける。


エルフBが怯えた顔になり、逃げ腰になったのをリドは見逃さない。距離を一気に詰めていく。Bは慌てて反撃をしようとするが、遅すぎた。


リドの長い爪が、エルフBの顔を深く切り裂き吹き飛ばす。


「ぎぇぇっ!ぁぁぁっ!!」


エルフBはもう戦えないだろうと判断する。


次は、CとDを…

そう思った矢先、背中に何かが突き刺さる。

突き刺さった物の衝撃で自分の体が吹き飛び、

リドは地面に勢いよく叩きつけられる。


「あぐぅっ!!」


この体は幸い痛みを感じにくく出来ているのか、痛みに邪魔されることなく立ち上がれるが…出血の方は酷そうだ。金色で分かりにくい血だが…

糞!皮膚は固く無いのか!!


怒りに任せて背中に突き刺さった物を乱暴に引き抜き、振り向き何が起こったのか確認する。


…広場にいなかった残りの一匹が来たらしい。そのエルフ、Eは弓を構えている。更によく見ると上質そうな装備を身に付けているではないか。となると、突き刺さった物は…


引き抜いた物を見る。やはり矢だが非常に不味い。

何らかの毒が塗られていたらしく、矢尻にはリドの血液に混じって青紫のねばねばとした甘い臭いの液体が付着していた。


時間をかけるのは不味い、何の毒かわからないが、体に回れば不味いことになるだろう。


なら…!リドは先程の矢から矢尻を素早く回収し、

大きく振りかぶって矢尻をエルフEに全力で投擲する。


エルフEがステップで矢尻を回避し、若干の隙が生じる。その隙にとリドは、急いでエルフEの元へ跳躍する。


エルフEも必死の形相で腰のナイフを抜き、リドに突き立てようとする。


結果、リドの拳はエルフEの胸を突き破ったが、エルフEのナイフもリドの右肩に突き刺さってしまう。相討ちの形だ。


ぐっ…!


痛みを感じにくいとはいえ、出血が酷くなり、毒の効果か視界が若干霞む。だが、なんとか力を込めてエルフEから拳を抜き、自分を鼓舞するように咆哮する。


「残りぃ゛ぃ゛っ!!二匹ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」


エルフCとDは怯えたように体を震わせ、村の外へ逃げだしてしまった!

「ひぃぃぃっ!!!!」


「…ま…待てっ…!」


自分の姿が目撃された、逃がすわけには…


不意に、糸が切れたように自分の体が地面に転がる。


…体が痺れて……!?


ふと、自分の肩に突き刺さっているナイフを見る。刀身に青紫色のねばついた甘い臭いのする液体が付着していた。


…これにも毒か…糞。


体は口以外動かなくなり、意識も薄れていく。

瞼が重くなっていき、やがて…


リドは意識を失った。

深い、とても深い眠りに落ちてしまったのだ。

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