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錆ついた毒の弾丸

巨大要塞都市<ガガブ>。


以前はビザルカス平原全土を掌握し支配下に置く為に建設された都市だったが、ビザルカス平原がアンデットの跳梁跋扈する地に変貌してしまった為に、アンデット討伐と他の都市への補給の中継地点として使われるようになった都市だ。

また、負傷兵の休養場や武器の貯蔵庫等と幅広く使われていることでも有名で、国境線近くの拠点への補給の要となっている。


城壁は厚く、さらに敵のカタパルトや投石器による攻撃の心配はほぼ無い。鉄壁の拠点だ。


なぜ攻撃の心配がないか。それはビザルカス平原を大多数の兵力が通過しようとしたならば必ず大量のアンデットから襲撃を受け、その際に位置をばらしてしまう上に被害を出してしまうからだ。そのためにユニティと連邦のはビザルカス平原を通過することは諦めているのだ。


さらに言えば敵の襲撃があったとしても、ガガブに駐留している大量の兵が敵に圧倒し、たちまちの内に崩壊させることができるだろう。


そう古来より信じられていた為、昼間はともかく夜間はろくな防衛体勢をとっていなかった。

特に夜はアンデットが活発化する時間帯なので、警備兵は城壁の上に小数しか配置されていない。


…ここでガガブの兵は気がついておくべきだった。

アンデットの数が確実に減っていっている事と、草原の草が濃いところに迷彩色でカモフラージュされた巨大な木箱が何個も設置されていること…

そして、その木箱が時折蠢いている事に。




そして、とある日の夜の出来事。

ガガブの城壁の上で警備をしている猫の獣人の警備兵は、ビザルカス平原の側に妙な物を見つけた。


カタパルトの用な形をしている巨大なものが三つ、鎮座している。


「んあ…なんだにゃ?あんなの昼間には無かったよにゃ…」


不審に思った猫警備兵は警備隊長に報告しようと、城壁から階段を伝って降りる。


そして階段を降りた時と同じタイミングで、何かが飛んでくる音が轟いた。


「…にゃっ!?か、カタパルトの攻撃なのかにゃ!?」


身構え、必死にその場にうずくまる。


「も、もうすぐ石が降ってきて、建物がバコーンって壊れる音がするんにゃー!!」

恐怖に怯えながら必死に身を守る。


そして何かが複数、地上に勢いよく激突する音が響いた。

が、その音は…


「…にゃ?石じゃなくて木材が破裂したみたいな音にゃ……落ちてきたのはなんなんにゃ?」


猫警備兵が何が落ちてきたか確認しようと辺りをゆっくりと見回すと、急に腐敗臭が辺りから漂ってくる。そしてさらに、つんざくような悲鳴が様々な方向から聞こえた。


「な、なんなんにゃ!なにが落ちてきたにゃ!?」

激しく動揺しながらもなんとか立ち上がり、槍を構える。


臭いが段々と強くなっていく。

そしてその臭いの原因が、猫警備兵の前に現れる。


悪臭を放つ腐敗した体、赤く煌めく目には生者への激しい怨みが宿っている…アンデットだ。


「に゛ゃぁぁっ!!??」

情けない悲鳴をあげ、狼狽してしまう。

ガタガタ怯えながらもアンデットが何故ここにいるかをしっかり観察し、必死に頑張って探ろうとした。


アンデットの体に注目すると、木の破片のようなものがこびりついている事がわかった。

勘と知能がそれなりによかった猫警備兵は何故アンデットがガガブの内部に侵入してしまっているのか。その理由をある程度理解することができた。


ビザルカス平原。あそこにあったカタパルトにはアンデットが詰め込まれた木箱がセットされていて、きっとそれを使ってガガブ内にアンデットを送り込んだのだ…

憶測に過ぎないが、妙にしっくり来る考えだった。


どうやってアンデットを木箱につめたかは知らないが、負傷兵のいる場所に感染能力持ちのアンデットが侵入してしまえば、噛まれて感染してしまう兵士も出るかもしれない。


半ばパニックに陥りながらも、必死に体を動かす。

急いで警備隊長に伝えなければ!

猫警備兵は全力で走り、そして…



そして視点はビザルカス平原、巨大カタパルト付近に移る。


「く…疲れるっ…」


リドはひたすら木箱をカタパルトにセットしていた。


他の兵士達は遥か前方に潜ませ、カタパルトを襲撃しに来た敵を警戒してもらっている。


援軍として送られてきたネメシスの<念女>には、アンデットが感知しない範囲からカタパルト起動を手伝ってもらっている。


念女は特殊な魔法を使いこなせる。魔法の効果はその名の通り、念だ。念を使ってアンデットを詰め込んだ木箱をカタパルトにセットしたり、カタパルトを念の遠隔操作で起動してもらったりしている。勿論一人では進まないのでリドはその手伝いをしてる。


実質二人だけでカタパルトを運用しているような物なので、射出出速度はとても遅いが…


どうやら問題は無く、上手くいったようだ。ガガブ内部で火災が発生したらしく、火の手が上がっているのが見える。


案外上手くいった…


安堵から顔をほころばせていると、念の効果の一つのテレパシーが送られ、高圧的な叱咤が脳に直接飛んでくる。

「「ちょっと、サボらないでくださる?はぁ…全く、殿方より働かせられるなんて厄日ですわ…」」


「あ、ああ…作業に戻るよ、ごめん。」


作業を続けながらこの後の動きについて考える。

恐らくアンデットは警備兵に殲滅されるだろう。


逆に殲滅されてくれなければ困る。アンデットがはこびる都市になったら人が住めなくなる上に、破棄しなければいけなくなる。アンデットが大量にいる場所には新たなアンデットが生まれやすいのだ。


…リドの考案した作戦は、アンデットに感知されない自身の特性を活かしてアンデット達を迷彩色に塗装した木箱に閉じ込め、カタパルト設置予定地に運び、ある程度アンデットの数を減らした後にカタパルトを運び込み設置。そして決行日の夜にガガブ内部に向けて打ち込む、といったものだ。


準備にかなり時間はかかってしまったが、それに見合うメリットはあるはず。上手くいけばガガブを占領、駄目でも敵に損害を与えること事態はできる…


最後のアンデットを射出したら翌日まで待機し、偵察部隊を出してその後の対応を決める事になっている。


さて、どうなるか…

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