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黄金の軍靴

初めての戦闘の指揮を取った日。


あの日以来、俺は天井を眺めてぼーっとすることが多くなった。


訓練も勿論するがセスラ程の強敵はいない為、最初はよかったが慣れてくるとつまらなくなってくる。種族の違いがここまで戦闘時にアドバンテージを呼ぶとは思わなかった。セスラを基準に考えない方がいい、と改めて実感させられた。


体を鈍らせない為訓練以外にも筋トレはかかさない。

最近体を苛めるのが好きになってきたが…筋トレをしても肉体は強化されるが、戦闘時における感覚を研ぎ澄ませられないのが残念だ。やはり人と…強者と訓練をしなければ、満足できない。


満足感を得る為にイエルハイムの兵士全員と組み手をしたりもしたが、まったく手応えが無かった。


兵士達は厳しい訓練を喜んで受けてくれてるが…

悪いが俺が満足できない。


そしてとある日。いつものように筋トレをしている途中、ふと思い付いた。ビザルカス平原の奥地に行けばアンデットの強敵に出会えるんじゃないか?上位種の中には知能がある奴がいるかも…


そう考え俺はイエルハイムを無断で抜け出し、ウキウキ気分でビザルカス平原の中心地へと向かっていった。


右手にはバスタードソードと呼ばれる両手剣を、左手には小さな盾を。服装はいつも着ている服ではなくいつかのように灰色のクロークを着ている。



…やはり、ビザルカス平原には大量にアンデットがいた。だが周辺にはリドにとっては雑魚程度のアンデット…つまり、リドに反応しない固体しかいなかった為、つまらなそうに適当に剣を振るってなぎ倒していく。


まるでデク人形を切り飛ばしているような気分だ。無心でアンデットを切り裂いていると、いつのまにかビザルカス平原の中心地についていた。


…残念ながら、中心地にいたアンデットもリドに対してアクションを起こさなかった。


中には上位種のアンデットも複数いるのだが、まったくの無反応。…知能がある奴はいないようだ。


試しに側にいたアンデットの頭を勢いよく叩き割ってみる。

それでもアンデットは…上位種も含めて無反応。


アクションを何も取らない…

期待が大きかった分、激しい怒りが沸き上がる。

怒りだけではない。自分が生きてることを未だ証明できない故の焦燥感や、恐怖も一緒に込み上げてくる。


「なんでだぁぁぁっ!!俺は、俺は生きてんだろぉぉっ!?ふ…ふざけるなぁぁぁっ!!殺しに来い!!俺が生きてるってことを証明してくれぇぇっ!!」


半ば狂乱状態になりながらひたすら剣を振り回し、アンデット達をひたすら切り殺す。とにかく目についた奴を片っ端から…


「はぁっ…はぁっ…糞っ!」


荒い息をしながら剣を投げ飛ばし、地面を思いきり殴る。


…少し、落ち着いた。

側をふらふらと歩いてたスケルトンを見つめる。


…近寄って軽くビンタする。

ビンタして軽くよろめくが、なんの反応も示さない。


…担ぎ上げてみる。

じたばたと蠢くが、攻撃の意思は示さない。


…ビザルカス平原、その奥地には確か連邦の巨大な都市<ガガブ>があったはずだ。


アンデット対策として様々な防衛機能がつけられている上、南側の他の拠点に食料を供給するための食糧庫が置いてある、国境線防衛の要だ。ユニティにとっては目の上のたんこぶだが、アンデット問題もあり長らく拠点攻略に関して放置していた…という風に報告書には書かれていたはず。



…ふと、奇策を閃いた。


冷静に考えると色々問題が見つかったが、それは詳しい人が何とかしてくれるだろう!


バスタードソードを拾い上げ、今度はアンデットを殺さないようにしてイエルハイムに戻る。


体を洗って一睡したら、早速手紙を書くとしよう!


久方ぶりにわくわくした俺は、その日の夜中々眠れなかった…



四日後。

<ユニティ領、首都ペンタゴン>

玉座の間にて…

玉座に座っている初老の男が口を開く。

ユニティ王、<ラファエロー・ユニティ>その人だ。

「…では、作戦の決行を許可する。」


「はっ…では、確認します。リョルの町に一度物資を送り、その後ネメシス<念女>と1000の兵、大量の木箱に大型カタパルト三つをイエルハイム拠点に送る。その後、任意の判断でガガブ攻略作戦を実行せよ…と。」


「うむ…行け。」


伝令の男、ディセルが去っていく。


その後、ラファエロー王の側にいた男が渋い顔をしながら王に問いかける。

「本当によろしかったので?獣人の男の言など…」


「構わぬ。それにあの報告書が真ならば、あの砦を落とすことができるやもしれぬ…」


「しかし、奴を信用してよいのですか?」


「信頼に関しては問題はあるまい。ネメシス<鉄の女>と婚姻させ、監視をさせているのだ。さらにイエルハイムのネメシス<腐り目>からも、裏切りの兆し無し。信用に足る、との連絡が先程来ておった」


「…それならば。」


「うむ…まあ、余興程度に考えておこうかの。1000程度の兵でどうにかできる物では無いからな…」



そして半月と数週間後、ビザルカス平原にて巨大要塞都市<ガガブ>攻略戦が始まった。


両方の兵数。


ディボナール連邦軍約3万。


対してユニティ王国軍約1000+α。


一方的な展開になると思われたこの戦は、思いもよらぬ展開を迎える。

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