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酸化銀

あれから数週間が経過した。


俺は様々な事を学び、軍人として最低限働けるよう努力していた。


…変に手を抜いて殺されたくないしな。


戦略や軍人としての心構えを俺に教えてくれているシャルロット先生は、何故か鞭を常備していて俺が問題を間違えると本気で俺の体をしばいてくる。

最初の数日は尻が凄い痛かったのを覚えている。


セスラは戦い方について教えてくれている。

訓練の初日、彼女はこう言った。


「戦い方って言うのは体で覚えるものなの。必要なのはやる気と才能…よかったねぇダーリン!才能はたっぷり秘めてそうだし、最高の練習相手もいるもんね!」


正直勘弁してほしい。

彼女との訓練はいつも本気で取り組まなければならない。

気を抜いていたら死んでた場面は何度もあった…

彼女の戦法は物凄くトリッキーで、度肝を抜かれる事ばかりだ。彼女はこの戦法について、こう説明していた。


「連邦とやりあうなら、これくらい攻め方を持ってなきゃアカンよ?種族によってやり方を変えなアカン。例えば猿人は手が長く、相手を翻弄する戦い方が得意。だから高速で畳み掛ける戦法で挑むんよ。そして…ダーリンみたいな体格の敵に対しては急所を狙った攻撃をせなアカン。お薦めなのは股間よ!効果的なうえにオモロイ声だしてくれるんよ!うひゃひゃひゃひゃ!!」


そんなことを公言するセスラとの訓練。

最初は胡散臭いと思っていたが、

実際にはかなり効果のある訓練だった。


そんな日々が続いている。


そしてある日、セスラとの訓練終わりに俺は食堂に向かった。


…やはりというか、必然というか。

軍人になってから数週間がたつというのに、いまだ俺は同僚の軍人達から好奇の目で見られている。

中には悪意や敵意を隠さず向けてくる者もいた。


そして、今日もまた…


「おいケダモノ!ここに来るなっていったろぉ?

テメェが来ると獣臭くて仕方ねぇんだからさ、周りの事考えようぜ?な?」


バクシーという名の男が話しかけてきた。この男は人間至上主義の精神の持ち主で、よく絡んでくる。


「…体はよく洗ってる。

そもそも獣臭くないだろう?」


実際、俺の体は獣臭くないらしい。セスラは無臭といっていた。


「そんなの知るかよ、お前の存在事態が目障りなんだよ…わかるか?わかるよな?あぁん?」


「今日はしつこいなバクシー。

また女にフラれたのか?」


バクシーの顔に危険なものが宿る。どうやら正解だったらしい。


「…図星らしいな、はははは!」


「この畜生野郎!ぶっ殺すぞ!!」

服の袖を捲り、バクシーが威圧してくる。


「お前なんか相手にもならないよ。

別の種族に転生してから出直してこい。」


…今の発言は不味かったか。


そう思い辺りを見回すと、やはり何人かがこちらに殺意を向けて来ている。軍人というのは思いの外、種族の話題に敏感だ。異種族と比べると能力が劣っているという事実は彼等にとっては許せない事らしく、人間を貶めるような発言は不味いのだ。


そんな中一人の男が悠然と立ち上がり、此方にゆっくりと近寄ってくる。

その男の髪は銀色で、只者ではない雰囲気を纏っていた…




人間族の特徴に才能ある個体を希に生み出すという物がある。


戦闘に関しての才能を持った人間は、セスラやパールボルトのように英雄やそれに近い存在になることが多く、ユニティの主戦力になるのだ。それらの人間を通称<ネメシス>と呼ぶ。


今近寄ってきた男もネメシスの一人だ。

名はババリシア・ヘルムート。


パールボルトの子であり、セスラの弟。


髪はセスラと同じ銀色のショート。顔は整ってはいるがとても厳つく、クールな印象を受ける。背は高く、体は細身で筋肉質。眉目秀麗を体現している人物だが、非常に不味い弱点がある。

病的なほどのシスコンなのだ。


セスラはババリシアに見つかったら逃げた方がいいと言っていたが…この状況では流石に逃げられないだろう。


「獣人、随分と腕に自信があるようだが?」

ババリシアが睨み付けながら話しかけてくる。


「いや…つい売り言葉に買い言葉を。

気を付ける、どうか聞き流してほしい。」


「ふん…獣人。毎日毎日、バクシーのような雑魚を相手にするのは疲れるだろう?」


バクシーが非常に悔しそうな顔をするが、気にせず頷く。


「やはりな…いい提案をしてやる。俺と模擬戦をしよう。お前が勝ったら、バクシーやそういった人間至上主義の奴がお前に絡むのを止めさせてやる。


…だが、俺が勝ったらお前が姉さんに故意に近づくのを禁止させてもらう!必要最低元のやり取り以外も禁止だ!離婚!離婚も勿論しろ!!」

鼻息を荒くしながら捲し立てるババリシアに若干引きながらも、なんとか返答する。


「いや…そういうのって簡単に決めちゃいけないと思うし、俺なんかがババリシアさんに勝てる訳がな「無いとはいわせない!俺の、俺だけの姉さんに個別で…個別で指導して貰ってるのは知ってるんだからなぁぁ!!断るということは姉さんを侮辱するも同じと思え!!さあ、了承しろ!さあ!さあさあぁぁ!!」

顔を近づけながら怒鳴るババリシア。


「え、あ、は…はい?」




…こんな具合に剣幕におされ、模擬戦を受諾してしまった。


正直勝てるとは思えないが…ここで負けたら色々と不味い。


セスラに相談しに行くしかないか…。


模擬戦は明日の正午に行うそうだ。ババリシアの特徴やらなんやらを、しっかり聞いておこう。


そう考えた俺は、セスラがいる場所へと歩き始めた。

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