黄金の夜明け
…婚姻式は滞りなく行われた。
そしてその日の夜。セスラは俺がこれからどうすればいいか、何をするべきかを教えてくれた。
セスラ曰くこれから俺はユニティの騎士として、異種族のみで構成される予定の部隊の隊長に任命されるそうだ。
…軍事の素人の俺が何故隊長に?
「あ、そこも説明しとかんとか…人間族は異種族の殆どから蔑まれてて、軽蔑されてるんよ。流石に知っとるよね?」
「勿論、よく知ってる。
あ、…俺は軽蔑してないからな?」
「そんなん知っとるよ。リドの目ぇ見ればわかるもん。パパンも大丈夫そうって言ってたしなー…
それはともかく、そんなわけでユニティは戦争中ずーっと捕虜問題に悩まされてきたんよ!
まあ軽蔑してる連中にへこへこしたくないってのわかるけどな?
しっかし!そのせいでウチ等は過去にかなーり大変な目に遭ってきたん!
降服した奴等が収容所を大脱走して人間の村襲ったり、大暴動を起こして刑務所で人間虐殺したり…酷い時にはな、降服したふりして奇襲かけてきたりとかもしてきたん!せやから戦争後期は降服勧告したら降服した兵を皆殺しにするのが常識になってたんよ!」
…初めて知った。
ユニティが連邦と何度か戦争をしていたのは知っていたのだが、そういった事が起こっていたとは初耳だ。
「ダーリンビックリしとるね?」
ダーリン!?
「その事知らんのはユニティの民間人か一部の阿呆くらいなもんやし…ふんふん、やっぱりダーリンは信用できる!」
「…ありがとう」
苦笑いしかできない。
「結論から言うとな…次の戦争では異種族の捕虜と降服兵の扱いをダーリンに任せたいって事なんよ。ダーリンは獣人やし、敵も同じ異種族の管理下に置かれるんなら反逆心も少しは抑えられるやろって算段や!」
随分と責任が重い役職のようだが…
俺が裏切るとは考えないのか?と聞いてみる。
「ん?ウチは考えて無いけど…多分ダーリンが裏切ったら暗殺部隊とか送られると思うんけど。まあそこら辺の話は後々お偉いさんが決めると思うし…まあ!ダーリンは裏切らないよね?裏切ろうとしたらウチが八つ裂きにしちゃうから!」
笑みを浮かべるセスラ。
…目が笑って無い。
「軍事面については専門の先生呼ぶから問題なし!
ダーリンはしっかり勉強してユニティに貢献すればええんよ!あ、先生はめっちゃ厳しい人やから注意してな!不真面目にやったら殺されるから!」
…緊張のあまり体が固まり、不意に目眩が起こる。
「緊張してるんか?うひゃひゃ!
可愛いなぁウチのダーリンは!」
目眩が激しくなり、耐えきれずソファーに寝転んで目を閉じる。
「あ、大丈夫ー?疲れが抜けてなかったんか。
ウチのために無理してくれてたんやね…感動するわぁ!」
…酷く疲れていたのか、俺はそのまま引きずり込まれるように眠りに落ちていった。
…明日が来なければいいのに。
「…うひひっ。ダーリン…いっぱい調教して愛してあげるから安心してええよ…逃がさないから…」




