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目白夢遊病。
抱きしめた愛しさも、噛みしめた悔しさも、美しい夢の中、痛みも忘れた夢の中。
「君は面白い」と言われた日があった。「君はいい意味で気持ち悪い」と言われた日もあった。
沢山の歌を創った。沢山の歌を歌った。
喝采を浴びた時があった。嘲笑を買った時もあった。
夢の中で生きてきた。
私にボーカリストのセンスが無いことはわかっていた。
それでも私には自信があった。
世の中に溢れているあらゆるヒット曲に「負けていない、負けるわけがない」、そんな歌を創っているという自信が。
しかしそんな自信は、楽器が出来ない、楽譜も読めない、という現実に打ち砕かれていった。
「私の歌を楽譜にしてくれませんか」と言う勇気も無く、「便利な音楽ソフト」を使いこなせる自信も無い。
私は「シンガー」にも「ソングライター」にもなれない。
真っ直ぐに歩いても、邪に歩いても、叶わない夢の中、今夜も枕が濡れている。