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小夜物語  small tales of long night 第18話  ジョンリスト殺人事件 john list murder case

作者: 舜風人

ジョン・リスト、


彼は1972年アメリカで、自分の家族五人を殺して


ゆくえをくらまして18年も逃亡し続けた


殺人犯人である。


彼は有能な会計士で、信仰心のとても篤い男だったという。


犯行当時の写真を見ると、いかにもアメリカの模範的な紳士といった風情である。


家族は妻と子供が三人。


豪邸を構えて、豊かな暮らしぶりだった、ともいう。




そんなある日のことだった。、


リストの娘が無断欠席しているのを


不審に思い、高校教師が、リスト家に行くとそこには死体が、、、。


ただちに、警察に通報。


駆け付けた警察が邸内を調べると、


リストの母親、そしてリストの妻。子供3人が


銃で射殺されて寝袋の上にきれいに等間隔に、並べてあったという。


その後リストは全米に指名手配されたが


杳として行方は分からなかった。


、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、



それから18年、あるテレビ番組で


現在の犯人の顔はこんなだろうという企画があり、


リストのモンタージュが公開され


それを見ていたある人から通報があり、


それをもとに捜査した結果、


リストは18年ぶりに逮捕された。


顔はすっかり変わり、事件当時とは別人のようだったという。


では18年、リストはどこをどうしていたのだろうか?


彼は偽名を使い、会計士をしながら、


全米を逃げ回って、


なんと結婚までしていたという、


その後の警察の取り調べによると、


リストは殺人事件当時、実は、負債を抱えて、破産寸前で、



そのうえ子供たちが


ロックや演劇、オカルト?に、はまっていて


もう救いようがないと思い、


一家殺害を決心したという、



判決で、


リストには終身刑が言い渡された、


しかし、彼は獄中でも自分のやったことは


全く正しかったと言い張っていたという。


やがて、、その後、、、


彼は獄中で肺炎に、かかり亡くなっている。






だが?


なぜなのだろう?


借金はともかく、子供なんて


みんな親の期待に反して、ろくなもんじゃないのが当たり前でしょう?


そんな優等生な子供がどこにいますか?


みんな親の意に反したバカ息子、バカ娘ばかりじゃあないですか?




なぜこんなことで一家を殺さなければならなかったのだろう?


こんな程度のことならどこの家族にもいくらでもあることではないだろうか?


それが私の素朴な疑問だ。


しかし、リストはとても信心深かかったという。


だから、彼にとってはこの家族は許しがたい不本意なものでしかなかったのだろう。


おそらく、、、


『この結婚は間違っていたのではなかろうか?」


というリストの疑念が篤信の裏側で


徐々に膨らみ続けていたとしたら、、、。



もしリストの自供が真実なら、、、、


リストは子供が不肖の子だったから殺して清算した、ということになるのだ。


つまり彼は自分の理想とは違う、この家族を清算したかったのだろう。


篤信家の彼にとってはこの家族は許せないほどの死に値するほどの家族だったということだったのだろう。


こんな、家族なんて、なかったことにしようと言う彼の結論。


それは恐ろしい結論でもある。


一家心中もこんな心理なのかもしれない。





しかし彼の場合は、自分は死ななかった。


というか彼が審問官だった。


彼が神?だったのだろう。


彼が、不肖の家族に死刑宣告して


そして。実行したのだ。


自分は悪くない。


こんな不肖の家族がすべて悪いという、それが篤信家のリストの判決だったのだ。




でも


現代日本でも、


親殺し、子殺しが、頻発してはいないだろうか?


親子は別人格、他人であるという踏ん切りがつかないと、


リストのような律義者で篤信者?は



『神様。私の子供たちは誤った道に進もうとしています。


 彼らの魂を救うためには、肉体を滅ぼしても


 やむを得ないですよね?


 ね?神様?』




といって神の前に自己正当化して、ある日、


自分が審問官になり自分勝手に、裁判官として、判決を下して。


前触れもなく。至極冷静に、拳銃で次々に不肖の家族を、死刑に処していったのでしょうね。




「神様、私は彼らの、魂を救済することができました。


 ありがとうございます。


 肉体はどうでもいいのですね?


 魂の救済こそ正しいのですね?


 ね?神様?そうですよね。


 私は正しいことをしたのですよね?神様?』






彼はいつまでもそういって刑務所の中で、


自己正当化していたのでしょうね?。






fin

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