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ゆめ日和~希望が丘駅前商店街~  作者: 天咲 あゆる
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・今日は、新しい日々

 若葉の翠萌ゆる5月、私は東京郊外松平市に栄えるとある商店街の一角において、無事自分だけのお城を構える事が出来ました。

 とある事情から、生まれ育った故郷を逃げるように出てから、各地を転々としながら2年弱の月日をかけて漸く辿り着いた新天地。


「ようやくです、ようやく、やっとゆっくりと腰を落ち着けて暮らせるのですね。」


  はたはた、と初夏の薫風に煽られはためく紅梅色の暖簾が、すっきりと晴れ渡った青い空に映えて、なんとも言えない気持ちになります。

  暖簾には優雅に、でも力強く堂々と【ゆめくら】と印字されています。


 これは私がこの店を始める前に発注しておいたものですが、昨日の夕方に届いたばかりの新品ほうやほやです!!

 ふふふ。

 高かったのですけどね。

 でもいいのです。

 満足できるものを作って貰えたのですから。

 

 と、一人で玄関の前で悦に浸っていた私は、おそらく相当不審人物に見えたことでしょう。


 白地に扇紋様の着物に揃の帯に帯締め。

 足袋は絹のモノを。

 髪には蝶の簪風の髪留めを。

 

 そして心には私の生涯でたった一人の愛しい人と、今は亡き両親の姿を思い浮かべ。


 私は今日から一人でこの街で、この商店街【希望が丘駅前商店街】で、本当に小さな、小さななんちゃって民宿【ゆめくら】の女将として生きてゆきます。


 

 

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