【第二章 進行する不安】9話 微かな手紙
高崎もそして、津田もいなくなって
私たちの作戦は終わってしまった。
「結局、僕たちじゃ無理なのかな・・・・」
大崎君がそんな弱音を吐くと
「大丈夫よ、きっと・・・」
小暮さんが必死で自分にも言い聞かせるように言った。
そんな時、私は思い出した。
「ねぇ、高崎と津田の帰り道わかる?」
「え?一応、同じ帰り道だから
知ってるけど急にどうしたの?」
大崎君は不思議そうに聞いてきた。
「昨日、高崎たち言ってたでしょ
自分が襲われる時に、
私たちへの紙を落とすぐらいはしたいって」
みんなも思い出したようだった
「今日の帰りに行きましょう」
小暮さんがそう言うと
私もみんなも、うなずいた。
放課後
私たちは急いで向かった。
「みんなで手分けして探しましょう」
私たちはそうする事しかできなかった。
私たちは大崎君、小暮さん、私
のグループと、
洋介、能世さんのグループに分かれた。
私たちはお互いに用心するようにと声を掛け合った。
そして私たちは見つかるかもわからない
ましてや、存在するかもわからない物を探し始めた。
やはり、何も見つからない。
普通に考えれば風で飛ばされてもおかしくはない。
それでも私たちは高崎たちのメッセージを、
必死に探すことしか頭になかった。
心が折れそうになった時
洋介と能世さんが走ってきた。
「ハァ、ハァ、これを・・・見つけたんだけど」
全力で走ってきたのだろう。
息が切れている。
洋介たちが渡してきた紙を見てみた。
「これって・・・・」
ところどころが擦れていて
読めない所があったが、
私たちにはそれを読む以外の道はなかった。
{みんなへ
俺は 崎と別れた後
後を追ったんだ ど
角 曲が た所で
急に、いな なった
何 役にも てないけど
このメモを残します。 津田}
洋介たちによると
この紙は石に敷かれていたそうだ
私たちは、その後も
高崎たちの帰り道を歩いた。
すると、道に何かが付いていた
「これ、なんだろう」
「インクかな?」
そのインクらしきものは
どこかに向かって
点々と伸びていた。
すると大崎君から
有力な事を聞いた。
津田は絵を描くのが趣味だったらしい
たぶんそのインクだろう
どんどん続いているインク
しかし、途中から点と点の間隔が遠くなっている
そしてついには点がなくなってしまった。
あたりを見回すと
近くには古い工場が見えた。
でも、さすがに私たちだけじゃ危険を感じ、
私たちは今日は帰ることにした。
「じゃあ、また明日
美坂先生に言って、一緒に来てもらおう」
「そうだね、じゃあまた明日」
「バイバーイ」
私はそんな普通の光景に懐かしさを感じた。
この時は自分たちに何が起ころうとしてるのかなんて
解るわけもなかった。