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【最終章 真実の姿】15話 すべての真実

「私はね、あの学校が大嫌いなの。

 特にあなたのクラス」

学校?クラス?

「もちろんそれだけではないわ。

 咲さん、青田君を覚えてるわよね?」

青田君。忘れてるわけない。

私は黙って頷いた。

「そこにいる青山刑事、

 青田君のお父さんなのよ」

「え?」

今さらそんなことを言われても

どう思っていいのかわからない

「そして、クラスの子ども達を殺す計画を立てたのは

 この人なのよ」

青山刑事はうつむいている。

「あなたのクラスで岩山が

 青田君をいじめて自殺まで追い込んで、

 それを隠そうとした、あの日にね」

あの日・・・

青山刑事が私たちのクラスに来た時だ。

「あの日、私もこの人に初めて会った。

 その時に聞いたのよ。

 この人の計画をね」

「・・・・」

「そして、この人の計画に乗った。

 いいえ、復讐を果たすために

 この人の計画に乗ったふりをしていた。

 この人は、生徒たちを誘拐するだけなんて

 甘いこと言ってたから、

 私が殺していったのよ」

そんな時、やっと青山刑事が口を開いた

「俺は・・・・俺は・・・」

「うるさいわね。

 見ていることしかできなかったのは

 誰なのかしらね?」

「うぅあああああぁああああああああああ!!!!」

青山刑事が膝から崩れ落ちた。

泣きわめきながら、

自分のしたことを悔いるように

「アハハ

 バカな男・・・

 さぁ、あなたを殺せば私の復讐は終える。

 最後よ」

再び銃口が私に向く。

私は無力だ。

何もできずに自分の死を迎える。

みんなは・・・

どう思いながら死んだのだろう・・・

そんなことを考えるなんて・・・

本当に・・・終わる・・・

「みんな・・・ごめんなさい・・・

 私、何にもできなかった

 みんなの事、助けれなかった・・・

 青田君・・・ごめんなさい・・・」

口が勝手にそう呟いた。

すると、美坂先生の様子がおかしくなった。

「何を言っているの?

 今さら謝って許されるとでも思っているの?

 春樹を見殺しにしておいて!!!!」

鬼のような顔をしている。

私は何を思ったのか

「見殺し・・・?

 それに・・・春樹って・・・」

美坂先生が、一瞬あわてたような気がした。

しかし、すぐに銃を強く構えて

「私はね・・・春樹のために復讐するの・・・

 優しかったあの子のために!!!」

{パンッ}

美坂先生の撃った弾は

私のすぐ真後ろのドラム缶に当たった。

「次は外さない!!」

銃口を向けられているのに

なぜか怖くなくなった。

「美坂さん!俺やりましたよ!!」

急に男の人の声が聞こえた。

青山警部の後輩。

「うるさい!!お前は黙ってなさい!!」

{パンッ}

後輩の胸からどくどくと血が流れ出ている。

「み・・・さか・・・さ・・・

 なん・・・で・・」

かすれた声でそう言った後、

パタリと倒れて動かなくなった。

「くそ!邪魔が入った・・・

 でも、次は覚悟なさい咲!!」

私は、真実を知りたかった。

この言葉に、すべてを賭ける。

「美坂先生!!すべてを聞かせて!!」

そう叫んだ。

美坂先生の握っている銃が震えているのがわかった。

「美坂先生の復讐ってなんなんですか

 私を殺す前に、それだけ教えてください!!」

美坂先生を睨み付けた。

私は、何もできないわけじゃない

しなかっただけ

あきらめてただけだった。

「何・・・いいわ・・・

 教えてあげる。

 春樹は、私の恩人だった。

 春樹に恩を返せるなら

 私のすべてを、春樹に注いでもよかった」

「・・・・・」

「あの学校に着任したとき、

 私は先生の中から浮いていた。

 校長にだって毎日のように嫌がらせを受けていたわ。

 ひどい日には、セクハラだって・・・

 ただ若いってだけで

 バカにされて、下に見られて」

美坂先生の一言一言から、恨みを感じるほどの話だった。

「挙句の果てに、私は男の教員から

 レイプされたわ。

 それを計画したのが、あなたのクラスの担任よ

 しかも、校長もぐるになってそれを隠ぺいしたの」

「う・・そ・・」

「ハハ・・ホント、嘘みたいな話でしょ。

 私はその次の日、学校で自殺してやろうと思って、

 屋上まで行ったの。

 その時だったわ・・・

 春樹に出会ったのは・・・」

自分の通っていた学校が、

そんなことをしていたなんて思ってもみなかった。

「春樹は自殺しようとしていた私に、

 優しく話しかけてくれた。

 希望をくれた。

 だから、春樹は恩人なの。

 私の命を救ってくれた大切な人・・・

 それを岩山が奪った!!!

 しかも、お前らのクラスの人間は

 みんな見て見ぬふり!!!

 クラス全員共犯よ!!

 どっちが悪魔なのよ!!あんたたちだって悪魔じゃないの!!」

「そんな・・・・」

「だからね・・・クラスの子たちを殺していったの。

 学校には親からの連絡が何件もあったわ。

 でも、私は力を持った。

 校長や教員をみんな脅して、すべてを隠させた。」

「なら・・・なんで小暮さんや私を殺さなかったのよ!!」

「それはこの男の計画に乗ったふりをするためよ

 あなたたちは取り調べの時、

 春樹が岩山にいじめられていた事実を話したから

 だからこの男が、何も手出しをするなってね・・・」

どうせなら、私も殺してほしかった。

出来ることなら、こんな事知りたくなかったのに・・・

「あなた達に手出ししなかった結果がこれよ

 まさか、あなた達が邪魔な存在になるなんて・・・

 私も甘かったわ。

 でも、あなた達がここに来てくれたおかげで

 楽に殺すことができた・・・

 さぁ、いよいよこの時が来たわ・・・

 春樹・・・待っていてね・・・

 あなたを殺した奴、この子で全員よ・・・

 事件が発覚すれば、あの学校も隠ぺいしきれない

 学校にも復讐ができる

 あぁ・・・春樹・・・

 すべてを終わらせて、私もあなたのもとへ行くわ・・・」

「わかりました。

 それですべてが終わるなら、

 私を殺してください・・・」

それでよかった。

私が見て見ぬふりをしていたのは

隠しようがない事実だから・・・

「さよなら・・・・咲さん・・・」




















{パンッ}





























乾いた音が・・・なった。


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