【最終章 真実の姿】12話 7つの決意
9月30日
能世さんが居なくなってから1日が経ち、
私たちはそれぞれの覚悟を
みんなに話した。
「みんな聞いて!」
私は教卓の前に立ち
そう言った。
教室を見回しても
もう7人しかいない。
何もなかった小暮さん、大崎君、それから私
まだ、何も起きていない
出席番号27番 村峰 由佳
28番 弥生 駿助
29番 矢尾根 準
30番の洋介までの
みんなだけだ。
「咲?」
洋介が不思議そうにこちらを見ていた。
「私、もうみんなが消えるのは見たくない!」
「咲さん・・・」
小暮さんが、悲しそうな顔でそう言った。
私は続けて
「だから、私は自分の手で
みんなを助けたい!」
私は心の底からそう言った。
それから、みんなを見て
「でも、私ひとりじゃ
できないかもしれない」
「・・・・・・・」
みんなは黙って、こちらを見ている。
「だから、私に手を貸して!」
頭を下げてみんなに言うと
「咲さん頭を上げて」
小暮さんが、私の肩を上げてそう言った。
「俺たちも、咲一人に頼るような
人間じゃないし」
洋介の言葉に
みんながうなずいていた。
そうだった、私は一人じゃなかったんだ
そんな簡単なことを忘れていた。
「ありがとう」
私の、心からの感謝の言葉だった。
でも、明日になれば
7人から4人になってしまうかもしれない。
美坂先生はまだ入院しているし
4人になる事は、
もう私たちには何もできない事を意味していた。
そんな事になる前に
次こそは・・・
放課後
私たちは教室に残っていた。
私たちが、みんなを助けたい気持ちは同じなんだ。
「でも、どうするの?」
小暮さんが問いかけてきた
「もう一度、あの工場に行くの」
その言葉に洋介は驚いていた。
無理もない。
あんなことが目の前で起こった場所なんだから。
すると、小暮さんが
「3人は知らないと思うけど
危険な所よ」
そう言った後私は
「でも、私たちに残された手掛かりは、
その工場しかないの」
少しの沈黙。
「わかったよ、それしかないもんな」
洋介も大崎君も、うなずいてくれた。
「7人いるうちに行きたいから、今日しかないの」
3人は、少し戸惑っていたが
それぞれが逃げる事はなかった。
この事件を今日で終わらせると、心に誓った。
私たちは本気だ。
何も考えずに突っ走っているわけじゃない
皆が、まだどこかに居る
根拠はないけど、
そう自分に言い聞かせた。