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第一章 始まり

いじめは何を生むでしょう?

怒り? 悲しみ? 復讐?


絆は何を生むでしょう?

愛? 喜び? 仲間?


どちらが強いのでしょう。


これは、そんな物語です。

朝の鳥の鳴き声が教室に響いた。

うちの中学校では、新学期になって、やっとみんなが仲良くなってきた。

教室では夏休み中にあった出来事の話なんかでごった返している。

そんなにぎやかな教室に、一つの空席があった。

出席番号1番

青田 春樹の席。

まぁ、学校を休むぐらいよくある事だ

数十分後、先生が肩を落として入ってきた。

「どうしたんですか先生?」

と、幼馴染の桜 咲が訪ねた。

「いや、実はな・・・・・・」

先生の低い声でみんなが黙り込んだ。

「昨日、青田が自殺したと、親から連絡が入ってな」

ある夏明けの日の

いつもと変わらない朝に

「自殺」と言うワードを聞いて、みんな騒然とした。

「遺書があってな、{もう我慢できません}と書いてあったそうだ」

それを聞いて俺は思い出した。

青田春樹は、クラスでも特にみんなが警戒している岩山、高崎、津田から{いじめ}を受けていた。

それで自殺してしまったのだと・・・・


青田春樹は背も低く、よくドジを踏んでいた。

勉強はそこそこできていたみたいだった。

それが、いじめの主犯格である岩山をいらだたせたのだろう。

2年になってから、ずっといじめを受けていたが

岩山を恐れていたせいで誰も止めようとはしなかった。

俺自身も、止めるのが怖かった。


ふと、岩山に目をやると

自分は関係ないと言わんばかりに

高崎、津田と喋っていた。

高崎と津田は、自分のせいではないかと気が付いている様子だった。

今日の授業はずっと、重い空気が漂っていた。

1時間目 国語

2時間目 数学

3時間目 青田のための黙祷

4時間目 青田の自殺のため、なし。

俺のクラスだけ早く授業が終わったがみんな肩をおろし

帰って行った。

岩山は学校から早く帰れてラッキーといった感じだった。

俺は幼馴染の桜 咲と渡辺 洋介と一緒に帰った。


帰りながら、青田のことを話した

「まさか、自殺するなんてね・・・・・・」

咲がつぶやく

「そうだよな・・・・・・」

洋介が応える。

そこから俺たちは何も言わなかったが、

足が自然と青田の家に向かっていた。


インターホンを押すと

目を腫らした、青田のお母さんが出てきた

「私たち青田君のクラスメイトです」

咲が言うと

何も言わずに、家に上げてくれた。

静まり返った、家の中

青田のお母さんが

ジュースと、青田の遺書を持ってきてくれた。

そして涙ぐんで、春樹の話をしてくれた。

「この子はね、生まれたときからとても小さくて

ずっと、病院から出してもらえなかったの」

俺たちは、青田を思い出した

あまり話をした事はなかったけれど

青田はいつでも笑顔だった。

なんでいじめられるのかすら疑問に思っていたぐらいだ。

でも、自分たちはそのいじめを止めなかった。

青田には、俺たちがどう見えていたのかもうわからない。

そんな事を考えていると、目頭が熱くなってきて

しずくとなって頬をつたっていった。

俺たちが泣いている事に気づいた青田のお母さんは

「あの子のために、泣いてくれてありがとうね」

そう言いながら自身も泣き始めた。

そんな姿を見ていると、また悲しさが込み上げてきた。

俺たちは青田が学校でいじめられていたことを

黙っておいた。

これ以上、青田のお母さんを傷つけたくなかったから

でも、もしかすると

いじめを止めなかった自分を守るためだったかもしれない。

もう、何を考えていたのかわからなかった。


次の日  (9月12日)

学校に警察が来た。

もちろん、春樹のことだ

警察の人がこう言った

「青田 春樹君の事を話してほしい」

少し怒りのようなものを感じる言い方だった

しばらく沈黙が続き

口を開いたのは岩山だった。

「青田君は、とても優しくて。良い友達でした

 そうだよな、みんな」

少し強い声で言った。

岩山はクラス中を見渡した。

{心にもないことを}

俺は思った。

みんなはただうなずいていた。

「そうか、ありがとう

 明日みんなには一人ずつ話を聞く予定だ。

 では、また明日」

警察の人がそう言って教室を出て行った。


今日も咲と洋介と帰った。

「私、警察の人に全部話すわ」

咲が言う。

「やめとけよ!岩山に後でなにされるかわかったもんじゃねぇぞ」

俺は言った。

「そんなの、知った事じゃないわ!

 私たちが何もしなかったから

 手遅れになってしまったのよ」

咲は昔から正義感が強かった。

不安を抱きつつも、俺は家に帰った。


次の日 (9月13日)

咲が別室から帰ってきた。

でも浮かない顔だ。

たぶん、上手く伝えることができなかったのかもしれない

俺もできなかった。

青田が自殺したと聞いて3日目

徐々に普通の学校生活に戻ってきた。

今日変わった事は

別室で警察に取調べを受けた事と

出席番号2番の秋 加奈子が学校を休んだ事。

青田とは無関係で、気が弱く

教室では、ずっと本を読んでいた。

しかし、秋は学校を一度も休んだことはなかったのだ。


次の日 (9月14日)

今日も秋 加奈子は休んでいた。

さらに、出席番号3番の奴まで休んでいた。

俺はなんとなく思ったことがあったが

「いやいや考えすぎだ」

と、自分の考えを押し殺した

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