第1話:昔話
今違う作品を連載しているけど平行でやっていきたいと思います。
「僕はよくこんな夢を見る。と言っても昔の記憶なんだけどね。」
まだ幼かった僕は虫取り網を持ち、蝶を捕まえるために林を歩いていた。その時は太陽がカンカンに照らす真夏の時で、汗で着ていた半袖の服が濡れて肌にくっついて嫌な感触だった。だがすぐにそんな嫌悪感は消えた。
そこには、今まで見た事ないくらい綺麗な蝶が飛んでいた。
僕は虫あみを握り締め、その蝶を追いかけた。もちろん蝶も僕に気づいて逃げる。僕は何度も何度もあみを振った。しかしことごとくかわされた。それでも諦めずに追い掛け続けた。
しばらくすると広い野原に出た。蝶も見失って僕はがっかりした。諦めて帰ろうとすると僕は聞こえた。遠くから響くような轟音が、しかもそれはどんどん大きくなっている。
僕は怖くなった。何かが近づいてくると思ったから。
僕は何故かとっさに上を見た、この音は空から聞こえてきた事がわかったからだ。
すると、その光景は本来なら一瞬であったが僕にとっては長く思えた。
長方形の機体の上下に1枚ずつ羽が付いていて、前に大きなプロペラの付いたかなりシンプルなデザインをした飛行機だった。僕はそれに目を奪われた。昔、母さんが読んでくれた本のある部分を連想させた。それはうる覚えだけど、少年が飛行機に乗って空を飛んでいる部分だった。あの時の僕は空を飛ぶことがどんな感じなのかなと思った程度だが、生で飛行機が飛んでいるのを見た時の衝撃は忘れられない。
僕は‘あんな風に飛んでみたい‘と思った。その言葉には、口では言えないような思いがあった。
「さて、昔話はこのくらいにして、そろそろ行くか。」
僕と名乗る男はそう言って自室を出て行った
あれから20年後、1936年、ここは‘日本領扶桑王国‘。
そして彼は、この物語の主人公:北川正弘。
ちょっと自信がありませんがよろしくお願いします。