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第九話 逢いたい

静かに眠る美音の横で、携帯が光っていたが、それに気付かずに美音は眠り続けた。


一方、俺は珍しく自分で目覚めた。すごいと言うか、奇跡に近い。俺がこんなに早起き出来たのは、美音からのメールが来てないから、気になって気になって夜何回も起きてしまった。今もその一回だ。でも、結局、たくさん目覚めたのも虚しくメールはなかった。

着替えて下に降りて見ると、まだ母ちゃんが朝御飯の支度をしている途中だった。俺は、ドアを勢いよく開けて、

「おっはよぉ〜♪」

と、入って行くとみんな呆然と俺を見て、

「奇跡だ・・・」

と、三人声を揃えて言った。

「何だよ!!そんなに驚くなよ!!俺だってたまには早く起きる事ぐらいあるよ。」

すると、母ちゃんがすかさず、

「ない!!この何年か流が自分で起きたのなんか記憶にないわよ。頭でも打った?」

「違うよお母さん。女だよ女。最近お兄ちゃんそわそわしてて、何か様子おかしいし」

確かに結の言ってる事はあっていたが、

「そんなんじゃねぇよ!!俺が早起きしたら悪いみたいだなぁ・・・」

と、ちょっとガッカリした。


流星がそんな事をしてる事美音は、起きてメールを見ていた。随分熱い男だなぁと、流星の事を思った。それに、自分の事を好きになりたいなんて、使い古されたありきたりな言葉なんて、鼻で笑ってしまいそうになるけど、流星君からだと嬉しくて顔が赤くなってしまう自分がそこにいた。

今日はすごくいい一日になりそうだ。


美音は、いつもはあんまりしない化粧も今日はバッチリ。服も、いつもより明るくてオシャレをした。

大学までの道のりは、美音にとって安全とは言えないが、今日の美音には怖いものなしだ。

教室に向かう途中、肩をトントンと叩かれて振り返ると百合が、

「おはよう」

と、笑顔と手話で挨拶してきた。美音も満面の笑みで、

「おはよう」

と返した。百合が美音の顔や服装をみて、

「今日の美音可愛い。どうしたの?何かいい事あった?もしかして流星君?」

美音はすかさず首を横に振った。けれど、顔は真っ赤になっていてバレバレだ。百合と教室に入ると、綾が近付いてきてさっきの百合と同じやりとりをした。こんな綺麗な二人に「可愛い」と、言われると嬉しいけど恥ずかしくもなる。

綾が何か企んでるような顔で、

「美音!流星君に逢いたいって言ってたけど、もう会う約束したの?」

と聞かれ、

「そんな事恥ずかしくて自分から入れられない」

と手話をした。綾と百合が顔を見合わせた後綾が、美音のバッグから携帯を取り出して、メールを打とうとして出したので慌てて携帯を取り上げて

「何するのよぉ!?」

と、手を早く動かした。

「だって、美音も流星君も奥手そうだし、このままじゃいつまでも進展しないから入れてあげようと思って・・・」

綾が申し訳なさそうに言うから、

「大丈夫!!ちゃんと自分で入れるから」

「いつぅ〜??」

「今度・・・かなっ・・・」

「ほらぁ〜!それじゃぁいつまでも送れないんだから。今入れよ」

綾の押しに負けて、メールを打つ事にした。

<今度の日曜日に二人で会わない?

無理ならいいけど・・・>

打ち終わり、送信をためらっていると綾が横から送信を押してしまった。綾は、怒られるのを察知して逃げ出した。

美音はそれを追い掛け回して、二人は笑いながらじゃれあっていた。


昼休みになり、屋上で歩と俊と御飯を食べている時歩が、

「流!昨日美音さんにメールした?」

と、聞いてきた。

「昨日は、1、2回したよ。それで、さっき日曜日二人で会わない?ってメールきたんだけど、どうしたらいいと思う?」

俺達の話を聞いていた俊が、口の中を一杯にしながら、

「何だよ流!!お前と美音さんそんな事になってんのかぁ?俺の知らないところでコソソコと!!」

食べかすを飛ばしながら話す俊に、

「別にコソコソしてた訳じゃなくて、成り行きでこうなっただけよ。なっ、歩?」

「まぁそんなとこかなっ。俊だって、百合さんがいるんだしいいじゃん」

「当然よ!!俺は百合さんしか見えない!!」

歩が俊をうまく誘導してくれ話は戻った。

「流は、美音さんと会うの嫌じゃないんでしょ?」

「もちろん!!むしろ、この間の事会って誤りたいし、何より、もっと知りたいとも思う。けど、耳聞こえない人とどう接していいのか・・・」

「そんなに深く考える事ないんじゃない?同じ人間なんだし。少しずつかもしれないけど、きっと分かりあえるはずだよ。」

と、歩は年上のように俺を諭してくれた。が、俊は、

「愛があれば乗り越えられない壁はないぞよ、流星!!」

と、子供地味た事をいった。でも、二人の後押しもあって俺はメールした。

<日曜日OKです。じゃぁ待ち合わせは・・・・・・・・・>

打ち終わり携帯を見ていると、いきなり横から俊が送信を押してしまった。逃げ回る俊をおい回し、俺達はじゃれ合っていた。

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