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第六話 強さと強がり

俺は、家に帰る途中ずっと、自分の言った事を思い返していた。

人に対して、あんなムキになって怒ったのも初めてだったので、自分にビックリしていた。

しかも女の子に…

今更になって罪悪感と、後悔がジワジワと押し寄せてきた。


「ただいま…」

家に着いてそうそう、うるさい女達が出迎えにきた。

「お兄ちゃん、こんな早く帰ってくるなんてフラレちゃったのぉ〜?」

相変わらず詮索好きな結は、にこにこしながら聞いてくる。

「違うっ!!まぁいいや。今結と言い争う気分じゃないんだよ俺…」

とぼとぼ二階に上がってる途中、後ろから母ちゃんが、

「ご飯食べないの?」その声を背中でうけて、

「いらな〜い…」

と気が抜けたような声で返事をした。母ちゃんが、心配そうに俺の背中を見つめていた事なんて知りもしないで…

そろそろ、日付が変わろうとしていた頃、ベットで寝転んでいると、コンコンとノックされ、

「流、入るわよ」

と、母ちゃんが入ってきた。

「いらないって言われたけど、お節介でご飯持ってきたから食べな」

実は、お腹が減っていたからありがたかったが、いらないと言った手前恥ずかしくて、

「分かったよぉ!食べる」

「そうだよ、ちゃんと素直に食べればいいの」

何故か母ちゃんは、部屋から出て行こうとしないで、俺をジーッと見つめてくる。いきなり、

「流。今日女の子と喧嘩したでしょ?それも、あんたが、その子に傷付ける事を言った。それで、今になって後悔してるんでしょ!?」

俺はビックリして、食べている手が止まった。それを見て母ちゃんが、

やっぱりそうなんだ!!さすがお母さんでしょ?何でもお見通しなんだからねっ」

母ちゃんが、俺と同じ力を持ってるのかと思った。

「一つ聞きたいんだけど、その人が間違ってると思ったら言ってあげるのって間違いなのかなぁ?」

「それは間違いとは言えないけど、人って共感してくれてる人に言われてると、素直に受けとめられないって事ってあるのよ。まぁその逆もあるけど…言ってあげる事が優しさとは限らないしね」

「そうだよなぁ〜タイミング間違えたかなぁ…」

と仰向けになると、母ちゃんが腹をポーンと叩き、

「多いに悩め若者よ」

と言って出ていった。かと思ったら、もう一度ドアが開き、

「どんな理由にしろ、女を泣かせたら承知しないからね」

バタンとドアは閉まった。


その頃、美音もベットに寝転んで考えていた。あの時は、ムカついていたし、あんな奴の言った事なんか気にしない。そう思っていたけど、冷静になって考えると図星だらけで、恥ずかしいとすら思えてきた。

美音はずっと強がって生きてきた。自分を強いと思い込ませながら…。一度弱音を吐いたら、滝のように弱音が出てきてしまいそうだったからだ。

一度もあそこまで他人に言われた事はない。いや、親にだってあんなキツク言われた事はない。初対面で、あそこまで言う無神経な男なのに、何故か気になっている自分に気付いた。

気が付いたら綾にメールを打っていた。


<今日逢った子に、もう一度逢いたい>と…


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