第三話 恋愛なんて…
バカ話してる内に、学校に着いた。
ゴールデンウィークが、終わったばかりで、まだ、みんなお休み気分抜けてないようだ。俺もその一人だ。
「じゃぁまた後でな」と言い、俊が教室に向かって、ダッシュして行った。
俊とは別のクラスだけど、歩とは一緒だ。
「そうだ流!!今度の日曜日あいてる?」歩がいきなり、忘れてたとばかりに聞いてきた。
「なーんにも予定なし」
「じゃぁ合コン行かない?この間、知り合いの子が、どうしても合コンして欲しいって、頼まれちゃって」
「えー、だってその女の子達、みんな歩狙いじゃ〜ん」
「そんな事ないって。ちゃんと、流をアピールするし、いいアシスタントするからお願い!!」
歩が、そこまで必死になってるのには、何か理由があるのかと思い、「分かった、行くよ」と言った。すると、歩はホッとした顔を見せた。
俺だって女の子は大好きだし、彼女も何人かいた。でも、すぐに冷めてしまう。俺にとって、恋愛なんて簡単すぎてつまんないもんだと思っていた。相手の目を見ちゃえば何を言って欲しいかとか、俺の事を好きかどうかだって、手に取るように分かっちゃう。そんな感じで、付き合っても飽きたら別れるの繰り返しで、俺はホントの『愛』ってもんを全く分からなかった。
「ちなみに、どんな子来るの?」
「みんな可愛いし、性格もいい子達だよ。まあ、年は俺達より三つ上で、二十歳だけどね」
「歩は、そんな年上と何処で知り合うんだよ。さすがだなあ」と言うと、歩はサラッと、「たまたまだよ」なぁ〜んてサラッと、カッコ良くかわされた。
毎日、何となく授業を受けて、何を考える訳でもなく過ごしている。十七歳がいい時期だと言われてるけど、ホントにそんな気がする。
いよいよ合コンが数時間後に迫った朝、俺はちょっとそわそわしていた。そろそろ彼女が欲しくなってきた頃だから、自然と気合いが入る。黒のパンツ、柄シャツ、ジャケット、アクセサリーを幾つか選んで、髪型をセットした。
出掛けようと下に降りると、母ちゃんと結が飛び出してきた。
「お兄ちゃんデート?カッコつけちゃって」ニヤニヤしながら結が、叩いてきた。
「うるせぇ〜なぁ、違うよ!!歩達と遊ぶだけだよ」と言うと、結が不満そうに「ふぅ〜ん」と言った。
逃げように出て行こうとすると、母ちゃんが、「頑張りなよ!」と、ニヤニヤしながら言うから、「違うって!!」と、家を飛び出した。
ワクワクとドキドキを抱えながら俺は合コンに向かった。