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第19話 異変

今日からやっと夏休みが始まる。毎年、ダラダラして過ごしている夏休みだが、今年はいつもと気分が全然違う。それはやっぱり美音がいるからだ。美音といっぱい思い出を作っていきたい。

 いつもダラダラしている流星だけれど、夏休みに、一週間だけばあちゃんの家に行くのだけは欠かした事がない。毎年歩と俊と結で行っていたが、今年は美音達も一緒に行けたらいいなぁ〜なんて、密かに思ってたりする。

 

「流星!!いつまで寝てるの?もうお昼よ!!夏休みだからって、いつまでも寝てるんじゃな〜い!!」

クーラーをかけたまま寝たらしく、気持ち良く昼までねてしまった。起きてすぐに携帯をチェックしてみると美音からメールがきていた。

<おはよう。多分、流星はまだ寝てると思うけど、あたしはこれからレポート書いたりしようと思います。起きたら返事ちょうだいね。>

あちゃ〜、俺が遅くまで寝てる事バレバレかぁ〜と、苦笑いしながらメールの返信をした。

<おはよう…。って言うか、もうこんにちわなんだけどね…。俺は、夏休みになるといつも昼ぐらいに起きて、宿題を夏休みの最後の何日かで焦ってるような、典型的なダラダラ学生だから、美音みたいに早く起きて宿題してる人は尊敬しちゃうよ!!

 でも、美音と会う時はちゃんと早起きするから安心してね。>

流星はメールを送った後下に降りていくと、母ちゃんが洗濯物を干していた。母ちゃんは洗濯物を干す手を止めずに言った。

「流は、毎年毎年同じだね。彼女が出来たから少しは変わると思ったんだけど、変わりそうもないね。」

呆れたような言い方をされてちょっとヘコんだが、悔しくて言い返してやった。

「ちゃんと明日からは早く起きるよ。俺だって一応受験生なんだから、勉強しなきゃ。今日は、充電だよ。」

苦しい言い返しだったのですぐに母ちゃんに切り替えされた。

「そうだよね受験生だもんね。どこでもいいから入れればいいんだけどねぇ。まぁ頑張りなさい。」

結局、軽く流された感じだ。口で母ちゃんには勝ち目はないらしい。その後、朝ご飯とゆうか昼ご飯を食べて部屋に戻ると、美音からメールが届いていた。

<やっと起きたね。流星はダラダラ学生って感じはしてたけどね。あたしと会う時は大丈夫って言うけど、流星はいつも遅刻ばっかりだよ。ホントに大丈夫かなぁ!?まぁ、あたしは待つの嫌いじゃないから平気だけどね。それより、受験生なんだからそろそろちゃんと勉強もしないとダメだよ!!もしわかんなかったら教えてあげるから。>

美音が教えてくれるなら勉強も楽しくなりそうだ。なんて、一人でニヤニヤしながら美音のメールを読み返していた。

<そうだね!!受験生として今から図書館で勉強をして参ります。>

と、美音にメールを入れて意気揚々と図書館に向かった。

 図書館に着くと、真面目そうな受験生らしき人達が大勢いた。静かな中にもすごい闘志と言うか、やる気の漲ったオーラの漂うこの空間に居ずらさを感じたが、席を見つけ座った。勉強慣れをしてない流星は何をどう勉強していいのかよく分からないので、とりあえず夏休みの課題をする事にした。

 一時間が経ったくらいの所で集中が切れて、ペンで遊んでいたらペンが隣の人のノートの上に落ちてしまった。流星はハッとしてすぐに、

「すいません。」

と言って、隣の人の目の前に手を伸ばしたらその人がペンを取ってくれた。

「ありがとうございます。」

と、ペンを受け取ろうとした時にその人と目が合ってしまった。

『勉強の邪魔しやがって!!』とか、『やる気ないなら帰れよ!!』とか、その人の心の声が聞こえてしまうだろうと覚悟していたのに何も聞こえてこない。おかしいなぁと思いながらも、ちょっとホッとしていた。でも、気になってならない。もしかしたら目が合っていなかっただけなのかもしれないが、すごく引っかかる。それがあってからは、その事ばかり考えてしまって勉強が手に付かなくてそのまま家に帰った。

 さっきの事が家に帰ってきても気になって、結に頼んでしまった。

「結!頼みがあるんだ。変な事言うけど気にしないで言う通りにしてくれ。」

「なぁ〜に??ホントに変なことなら断るからね。胸触らして欲しいとか。」

「誰がお前の貧乳なんか触りたいかよ!!そんなんじゃなくて、俺の目を真っ直ぐ見てくれ。ただそれだけでいいから。」

「ホント変なお願いだね…。まぁいいや。」

渋々ながらも結は言う事を聞いてくれた。そして結の目を真っ直ぐに見た。すると、

『何なんだろう。兄妹で見つめ合ってるのって変な光景。もしかしてお兄ちゃんあたしの事好きなんじゃ?』

と、バカバカしい結の心の声が聞こえてきた。思わず、

「そんな訳…」

と、口に出してしまった。慌てて、

「ありがとな、もういいよ。」

と、結に言うと、不思議な顔をしていた。

 やっぱりあれは目が合っていなかっただけなのかな?と、思うことにした。この能力を持ってから何度もいらないと思ってきたのに、いざ無くなったかもしれないとなったら不安になっている自分がいる。不思議なものだなぁ、この能力が無いと不安になるなんてどうしたんだろう。


    この時はまだ、異変をこの程度にしか考えていなかった。

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