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第18話 新たなるスタート 

 織姫と彦星の心が一つになってから少しの時が経った。


<おはよう。今日で期末テストが終わりだよ。昨日あんまり寝てないからだるいよ…。>

 流星の朝は、こんな風に美音にメールを送る事から一日が始まるようになった。それは、美音も同じで、起きた時と寝る前のメールはお決まりになってきた。そして今日は、付き合って初めて美音に会う事になっている。

 学校へ行くのは、前のように歩と俊と一緒だ。歩は、俊に言われた通り百合とよりを戻したらしい。俊はと言うと、何と!!綾と付き合っている。流星の誕生日パーティーの時、俊の熱さに魅かれてしまったらしくて、その日に綾が告白してすぐに付き合ったらしい。綾の行動力には驚いたが、俊も百合を好きだったはずなのに、切り替えの早さに驚かされた。これで、三者三様の幸せを手に入れた訳だ。これからも今のままの幸せが続いていってくれればいいと思っていた。

 期末テストを上の空な感じで終えて、美音との待ち合わせの店まで急いで向かった。店に着いた時には、少し汗がにじみ、息も少し切れていた。店に入り店内を見渡したが美音はまだ来てないみたいだった。席に着き、コーヒーを頼んで、水を飲んで落ち着いたら、今度は緊張が沸いてきた。気持ちを伝え合って初めてだから、どんな顔をしたらいいのか、訳が分からなくなってきた。そんな時、店の自動ドアが開いて美音の姿が見えた。店内を見渡す美音と目が合って、美音が照れたようにうつ向きながら近付いてきた。席の前まで来た美音が手話で、

『久しぶり。って言っても、毎日メールしてるんだけどね。』

と、照れ笑いをしながらイスに座った。その後、沈黙が少し流れ、慌てて流星が、

『何か飲む?』

と、聞いた。美音はすぐに、メニューのオレンジジュースを指した。流星は、オレンジジュースを頼んであげて、

『オレンジジュース好きなの?何か可愛いね。』

と言うと、美音は顔を赤くして、

『子供みたいだよね。何か恥ずかしい…。』

と、言った。流星はその美音の仕草にすごく愛おしさを感じた。やっぱり、目の前に好きな人がいるって言うのは、すごく幸せな事なんだと改めて感じた。そんな事を考えていると美音が、

『流星君すごく手話うまくなったね。本でいっぱい練習してくれたの?』

と、言われてドキッとした。何で手話の本で勉強してる事を知っているんだろう?と、不思議になって聞いてみると、誕生日パーティーでの母ちゃんの事を聞いて理由は分かったが、かなり恥ずかしくなった。余計な事教えてぇ〜と言うような不満そうな顔をしてると、

『あたし嬉しかったんだよ。流星君のお母さんが、気を使ってくれた事も、流星君がそこまでして手話を覚えようとしてくれてた事も、涙が出そうになるくらい嬉しかったよ。』

その美音の言葉に照れてしまったが、流星自身もそう言ってもらって嬉しかった。実際の所、テスト勉強もそこそこに、手話の勉強ばかりしていたのだから、多少うまくなってるのは当然と言えば、当然なんだけれど。

『俺、もっと美音さんの事知りたくて、いっぱい覚えたんだ。だから、これからはなるべく手話で会話しようね。それと、一つお願いがあるんだけど、流星君って言うのそろそろやめない?君って、ちょっと遠い感じがして微妙なんだよね。もしイヤじゃなければなんだけど…。』

『イヤじゃないけど、何か恥ずかしいな。じゃあ流星君も、さん付けるの禁止ね。それなら頑張ってみる。』

うん、と頷いて二人は優しく笑いあった。その後も付き合い初めだからこそするような新鮮な会話を延々としていた。どれだけの時間が経ったのかも分からないぐらい話していたような気がする。それなのに全然時間が足りなくて、どんどん一緒にいたいって気持ちが膨らんでくる。ふと、外を見るともう真っ暗になっていた。そんな中美音が、

『そろそろ帰ろうか?時間も遅くなってきたし…。』

『そうだね。じゃあそろそろ…。』

すごく切ない気持ちが押し寄せてくるのを頑張って抑えて、席を立った。

『もう暗いし、近くまで送って行くよ。』

と言って、二人で歩きだしたが会話がない。もう辺りも暗くて手の動きが見えないから会話が出来ない。こんな時は少しもどかしさを感じてしまう。その時、美音は流星と少し違うもどかしさを感じていた。ホントに自分で良かったのか、普通の女の子ならこんな沈黙はないはずなのに…。不安の方が段々強くなってきていた。そんな事をお互い考えている内に目的地に着いた。

『今日は楽しかった。送ってくれてありがとね。』

『俺もすごく楽しかったよ。もうすぐで夏休みになるから、いろんな所に行って、いっぱい思い出作ろうね。』

『うん。それじゃあバイバイ。』

『バイバイ。美音。』

流星が思い切って、家で何回も練習した通りに手を動かした。すると美音は、ちょっと照れながらも、

『バイバイ。流星。』

と、返してくれた。こんなに自分の名前を呼ばれる事が嬉しい事なんだって初めて知った。


 二人は、すごく暖かい気持ちを抱えながら別々の家路に着いた。



君が聞こえる〜ハーモニー〜を呼んで頂いてるみなさんありがとうございます。

 今回は、投稿するのがすごく遅くなってしまい申し訳ありませんでした。最近プライベートで色々あって遅くなってしまいました。これからはまた、ペースをあげて書いていくので、今後とも宜しくお願いします。

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