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025 初めてのアイアンゴーレム

 新たに拡張した部分の村もだいぶ様になってきた頃。


 僕はお父さんとお母さんに両手を握られ連れられて、新たに作られた村を探索していた。


 新しく村になった領地には、二階建ての寮など、新しくやってきた村人たちを迎える準備が整っている。今までトバイアスに拠点を置いていたデニスが、ランドール村に二号店を構えるような状況だ。


 それだけデニスもランドール村の成長を予想しているという状況だろう。


 デニス商会が村に店を出したことで、村でも買えるものがいろいろ充実した。


 例えば薬などがそうだ。


 今まで薬と言えば、村の薬師が作る薬しかなかったが、今までになかった薬の材料が入荷されるようになって、新しい薬が作られるようになった。これは嬉しい変化だね。


 他にも、デニスの商会では村では手に入らなかった物がいろいろ売られている。その商会の運営を任せられているのは、デニスの息子さんらしい。


 商会では、ものを売る以外にもものを買い取ってもくれる。これもありがたい。


 そこで知ったのだけど、この辺境では万年鉄が不足しているらしい。


 鉄は万能な金属だ。刃物にもなるし、調理器具や農具、鎧にもなる。


 そういえば、村人たちが使っている農具は、どれも道具の先端だけ鉄だった。あれも鉄を節約するためだったのだろう。


 これからはゴブリンやオークを襲った時に鉄も回収しないとね。


「んゆ?」


 待てよ?


 そういえば、わざわざ略奪しなくても鉄は身近なところにあった。


 砂鉄だ。


 理科の実験で磁石を持って、グラウンドの砂鉄を集めたことを思い出す。


 その時集まったのは微々たる量だったし、鉄鉱石を見つけた方が効率がいいのはわかっている。わざわざ砂鉄を集めるメリットは少ない。


 そこで僕の力の出番だ。


 僕は、土を操ることができる。その土の中には、当然だけど砂鉄が含まれているだろう。


 つまり、僕は知らず知らずのうちに砂鉄を操っていたのだ。


 ということは、僕だったら砂鉄だけを大量に集めることも可能なのではないだろうか?


 たぶん、いける。


 やったことはないけど、なぜだかできる確信が僕にはあった。


 善は急げだよね?


「てい!」


 僕は両親と繋いでいた両手を離すと、両手を地面に置いた。


「クラーク? どうした?」

「どうかしたのかしら? お腹痛いの?」

「んー!」


 突然僕が手を離したからか、立ち止まってその場にしゃがんで僕を見る両親。


 でも、僕には両親を気にする余裕がなかった。


 鉄って、重い……!


 僕の予想通り、砂鉄を集めることはできている。でも、MPをいつもよりたくさん消費するし、砂鉄自体の動きも悪い。


 これって、もしかして魔力が足りない感じなのかな?


 僕は両手に込める魔力を増やすと、急速に砂鉄が集まり、ゴーレムの形を作っていく。アイアンゴーレムだ。しかし、その大きさは一メートルほどしかない。僕のMPにはまだ余裕がある。たぶん、周囲の砂鉄を取りつくしても、このぐらいしか集まらなかったのだろう。


「いつもの土の人じゃないな? 妙に光沢がある。これってもしかして……」


 おとうさんができあがったアイアンゴーレムをノックするように右手で叩くと、くわっと髪の毛の奥の目を見開いた。


「これって、鉄か!」

「まあ!」


 お父さんとお母さんが驚きの声をあげる。


 ただでさえ鉄不足が叫ばれている辺境だ。一メートルくらいしかないアイアンゴーレムとはいえ、その体積は膨大だ。もしかしたら、お父さんとお母さんもこんなに大きな鉄の塊を見たことがないかもしれない。


「うお⁉ しかも動くぞ!」


 アイアンゴーレムを歩かせると、お父さんがウキウキの声をあげる。


 でも、わかるなぁ。このアイアンゴーレムは、ノーマルゴーレムがただ鉄になっただけだけど、それでも妙なかっこよさがある。


「ぱっぱ! まっま! んゆー!」


 僕は両親の手を掴み、最近発音できるようになった言葉を総動員して、鍛冶屋に行きたいことを伝えてみる。


「なんだ? こっちに行きたいのか?」

「こちらには鍛冶屋しか……。もしかして!」

「そういうことなのか? そのための鉄の人か!」

「んゆー!」


 僕の目的地を知って、お父さんとお母さんも僕の目的を察したらしい。


 そんな僕たちの後ろを、アイアンゴーレムがのっしのっしと歩いて付いてきた。


 鍛冶屋は村の中では珍しい石造りの大きめな場所だった。たぶん、火事にならないように石造りなのだろう。今も鉄を鍛えているのか、カンカンカンカンッとハンマーを振るう音が複数聞こえてくる。


「大将! いるか?」

「へい! ちょっくら待っててくだせえ!」


 お父さんが扉の前で声をかけると、ハンマーの音に紛れてそんな威勢のいい声が聞こえてくる。


「いいか、クラーク? 職人というのはどうしても手の離せない時があるんだ。だから、急かしたり怒ったりしちゃいけないぞ?」

「あい!」


 たぶん、これがお父さんなりの職人への気遣い、そして尊敬なのだろう。僕のお父さんは、見た目は山賊みたいだけど、優しいのだ。

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