023 拡大工事中
宴会の次の日から、村は建築ラッシュへと移行した。
まずは村の中に取り込んだ森の木を切り倒し、乾燥させていく。
僕は知らなかったけど、木はちゃんと乾燥させないと木材として使えないらしい。
でも、家を作るのにも木材は必要だ。ただ伐採した木が乾くのを待っているのは、時間的にもったいない。
そこで活用されたのが、今まで村を守ってきた木の壁だ。これなら切り倒してから時間が経っているし、乾燥しているので木材としてすぐに使える。
村にいた大工さんの指示に従って、村人たちが力を合わせて家や小屋を作っていく。もちろん、僕も手伝うよ。ノーマルゴーレムやネコゴーレムを生み出して、村人たちの指示に従うように命令しておいた。
「しっかし、このクラーク様の土の人はすごいな! 重たい丸太を一気に三つも担いでいたぞ」
「力持ちだよなあ。家を作るのにも大活躍だったぜ?」
「すげーな! 棟梁もこいつは革命だって喜んでたぜ?」
「今まで家を作るのはみんなで力を合わせても苦労したからなあ」
「見たかよ? クラーク様の土の猫がすっげー勢いで畑を耕していくんだ!」
「ありゃすごかったな! これなら、もっと村を広げてもいいかもしれねえぞ?」
「それがよ? なんでもこの土の壁って自分で動くらしいんだよ!」
「すっげーな! もうなんでもありだな!」
村人たちにもゴーレムは好評みたいだね。ゴーレムに対する忌避感ももうないみたいだし、よかったよかった。
村づくりは順調に進み、予定よりも早く家々が建ち並び、畑が作られる。
引越しをする人々の姿も見るようになり、いろいろ物入りとなったのか、ここのところは頻繁にデニスがよく村に顔を出す。
そんなデニスが連れてくるのは、ランドール村への移住者だ。元ランドール村の出身者もいれば、他の村やトバイアス出身の者もいる。
でも、順調に動き出した村づくりだけど、問題も発生している。
それは移住希望者が思ったよりも多いことだった。
一応、ランドール村は人類最前線の村であり、いつ潰されるかわからない危険な場所でもある。そんな場所にわざわざ移住する人なんて少ないと思ったんだけど、実はそうでもなかったらしい。
思い出すのは、トバイアスの街の外にあった粗末な小屋たちだ。もしかしたら、あそこの住人たちが、壁のある住処を求めてやってくるというのはあるかもしれないね。
でも、住民が増えるのは嬉しいけど、これでは今度は村の広さが足りなくなってしまう。
そこで僕たちは、お父さんの号令の下、第二次村の拡張作戦を実行した。
「うおおおおおおお⁉ 本当に動いてるぞ!」
「こらたまげた!」
「でも、意外とゆっくりだな」
「んだな」
「まあ、これなら子どもが近づいても問題もねえべ」
壁ゴーレムたちに前進の指示を送り、そしてできた隙間を新たに作った壁ゴーレムたちで塞いでいく。
「土の壁が動いている⁉」
「これは現実なのか⁉」
「お前たち、新顔だな? これは領主様のご子息であらせられるクラーク様のお力だ」
「そうそう。お前らも一緒にお祈りすっぺ」
「まずはこうやって……」
一日も経たずに村の拡張工事は終了した。
新しく村にやってきた人々は驚いていたけど、元々ランドール村にいた村人たちの説明を聞いて納得していたようだった。
なんだか新たに村にやってきた人々にも拝まれるようになったけど、どうしてだろうね?
まぁ、今さらだし、いっか。
今回広げたのは、村の森に近い部分だけだ。きっと上空から見れば、今のランドール村はキノコのような形をしているだろう。不格好な形だけど、これで元の村の四倍は大きくなったんじゃないかな?
問題は森部分を大きく取り込んだので、村の中に森が生えていることだ。
でも大丈夫。ノーマルゴーレムにかかれば、木なんてスポスポ雑草のように抜けるよ。
「嘘だろ……。木があんなに簡単に⁉」
「なんてパワーだ⁉」
「おい、お前ら! ちゃんと仕事すっぞ!」
「へ、へい!」
引っこ抜かれた木は、村人たちの手によって枝打ちされ、丸太にされていく。
そして、別のノーマルゴーレムがその丸太を担いで、村の端っこに運んでいく。村の端っこには、もう丸太が山になっていた。積まれたその高さは、なんと壁ゴーレムよりぜんぜん高い。
こうなると、丸太を登って遊びたくなる子どもも出てくる。
そんなときはネコゴーレムの出番だ。子どもたちが丸太エリアに入らないように二十四時間体制で監視している。
他にもネコゴーレムは畑を作ったり、村人たちのお手伝いをしたり、大活躍だ。
着々とできていく村の光景は、いつ見てもいいものだね。
最初はどこかよそよそしかった村人と新入りの間も、同じ作業をすることによって仲良くなりつつあるのもいい傾向だ。
ランドール村は、日増しに強く新しく、そして逞しくなっている。
ゲームだと、コストを払えばすぐに新しい建物ができた。それも便利だけど、こうして自分たちで一から作っていくのもいいね。
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