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020 クラークのお宝

「これはすごいぞ! 土でできてるはずなのに、すごく硬いんだ! 木の壁よりよっぽど頼もしいくらいだ! 斬ってもすぐに治っちまうしな! いったいどうなってるんだ!」


 屋敷の応接間でお母さんとデニスと一緒に待っていると、満面の笑みを浮かべたお父さんが帰ってきた。どうやら、壁ゴーレムは防壁として合格を貰ったらしい。


「では?」


 お母さんが期待を込めてお父さんに問いかけると、お父さんはすぐに大きく頷いた。


「村を広げるぞ!」

「はい!」

「おめでとうございます!」

「あい!」


 こうして、お父さんの鶴の一声で、村の拡張が決定した。


「まずは、壁の中にある木を切り倒さねばならんな。やっとだ。やっと村が広がる! クラーク!」

「おう⁉」


 お父さんは僕をお母さんの膝の上から強奪すると、感極まったと言わんばかりに僕の頬に自分の頬を擦り付ける。


「あうあう」


 ヒゲが! ヒゲがもじゃもじゃだ!


「本当にすごいぞ、クラーク! お前は辺境のもの誰もが夢見る目標を叶えたんだ! このランドール男爵家の悲願も達成できた! お前はまさしく神の使いだ!」


 さすがに褒めすぎじゃない?


 そう思ったけど、誰も否定しない。本当に村を広げることが辺境の人たちの夢だったんだ。


 そうだよね。村の中では住める人数に限界があるし、住処だけじゃなくて畑まで壁の中にあるんだから、どうしたって面積が足りない。


 最初はいいかもしれないけど、人口が増えれば破綻するのは目に見えているんだ。


 そして、これは僕の村を見て回った感想だけど、この村はもう破綻して久しいんだと思う。


 だから、誰もが村の拡張を望んでいた。


 そして、それがようやく叶った。


 お父さんがこんなに喜ぶのも無理はないかもしれない。


「やー!」


 それはわかるけど、ヒゲ攻撃はやめてー!


 僕は力いっぱいお父さんの顔から逃げようとするけど、お父さんの力には勝てなかったよ……。


「あなた、クラークが嫌がってますよ?」

「おお?」

「あうー……」


 今気が付いたとばかりに、やっと僕をヒゲ攻撃から解放するお父さん。


 でも、僕はもうグロッキーだ。ヒゲが……。もじゃもじゃのヒゲが襲ってくる……!



 ◇



「今回もいつものように小麦と根菜、そして塩を持ってきました」


 その後、ようやくお父さんから解放された僕は、お母さんの膝の上に乗って、お父さんとデニスの会話を聞いていた。


 食料を買うということは、どうやらこの村では、人口が増えすぎて自給自足すらできなくなっていたみたいだ。


 早めに村を広げることができて良かったね。改めて村が広がったことを喜んでいるお父さんとお母さんの気持ちがよくわかった。


 今頃は、村のみんなが木の防壁を撤去して、木を切り倒したり、畑を作ったりしていることだろう。小型のゴーレムたちもお手伝いに行かせたところだ。


「ありがたい。それでなんだが、いつもよりも多めに買うことは可能か? できれば酒や豚肉なんかも買いたいんだが……」

「このあと、他の領地も回る予定でしたので、余裕はあります。ワインとベーコンでよろしければ都合することも可能ですよ?」

「ありがたい。実はな……」


 そう言って、父上は机の上に布を被せた大きな箱を置いた。ガチャガチャと金属音が応接間に響き渡る。


「ずっと気になっていたのですが、こちらは?」


 デニスの質問に、お父さんが誇らしげに箱を覆った布を取りながら答える。


「クラークからの贈り物だ」


 箱の中に収められているのは、や彫刻が施されたナイフ、いい香りのする木片、角笛、金の彫刻、七色に輝く銀のネックレスなど、非常に多岐にわたる。総じていえば、価値のありそうなもの、お宝になるだろう。


 その中でも一番多いのは、四角い金属のコインだ。たぶんお金だと思う。銅貨や銀貨、金貨なんかもある。


「これは……ッ⁉」


 驚き固まるデニス。その目は大きく零れてしまいそうなほど見開かれ、ぐりぐりと眼球だけ動いて箱の中を隅から隅まで見ている。ちょっと怖い。


「……ゴブリンかオークの村でも襲ったのですか?」

「おそらくな」

「おそらく……?」


 お父さんの言葉に不思議そうに首を傾げるデニス。


「クラークからの贈り物といっただろ? 実はこれ、クラークが持ってきたんだ」

「はあ⁉」


 デニスが弾かれたように僕を見て、それからお父さんを見る。


「疑うのもわかる。だが、本当だ」

「え? でも、クラーク様はまだ赤ちゃんですよ⁉ どうやったら、そんなことが可能なのですか⁉」

「デニスももうクラークの力の片鱗を見ただろう? すべては、クラークのギフトの力だ」

「た、たしかに……。ですが、そんな、そんなことが……ッ⁉」


 デニスが考え込むように頭を抱えて下を向いてしまった。


 まぁ、普通の赤ちゃんがこんなことをするとも思えないので、デニスの混乱する気持ちはわからなくはない。


 でも、僕は早くお父さんとお母さんの役に立ちたいからね。自重なんてとっくの昔に捨てているのだ。

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