015 森の探索
深夜の襲撃があった日からおよそ一か月ほど。
その間に襲撃はなく、いたって平和な日常が続いていた。
変わった点を挙げるとすれば。それは村の中をゴーレムが歩いていても誰も気にしなくなった点かな。たまに拝んでくる人がいるけど。
でも、今日は僕にとって記念すべき日になるだろう。
そう。今日から旅に出るのだ。
まぁ、旅に出るのは僕じゃなくてゴーレムだけどね。
「てや!」
『ンゴー!』
僕が魔力を送ると、村の外にあったゴーレムが再び息を吹き返したように動き出す。壊れていた部分も修復され、まるで新品みたいにピカピカだ。
「てい!」
僕はさらに、覚えたての魔法を使う。
それは、石を生み出し、操る魔法だ。
すると、ゴーレムの横から石でできた大剣が生えてくる。
ゴーレムはそれを掴むと、意気揚々と森の奥へと入っていった。
しばらくは歩きやすい踏み固められた土地だったけど、しばらくするとふかふかとした頼りない足場になる。木も密集して生えていて視界も悪いし、ゴーレムが通れる隙間もない。
「うぅー……」
仕方ない。急ぐ旅路でもないし、地道に行こう。
ゴーレムは大きく石の剣を振りかぶると、横薙ぎに斬りつける。
スパッとは切れなかったけど、どうやら木を折ることには成功したようだ。そのまま木を押し退けるようにして、森の奥へと進んでいく。
僕がゴーレムを森の奥へと進める理由。それは、調査とレベルアップのためだ。
僕はこの森にどんなモンスターがいるのかわからないし、そいつらがいつ村を襲うとも限らない。事前に叩けるなら叩いておきたいところだ。
そして、もう一つの理由。レベルアップ。
まだレベルアップすると確定したわけじゃないけど、ゴーレムでモンスターを倒した後、僕のMPの最大値がかなり増えたのは事実だ。
ならば、もう一度モンスターを倒して、MPが増えないか確認しないとね。
というわけで、ゴーレムはどんどん木を伐採しながら森の奥へと進んでいく。
途中、何度かゴブリンや豚頭、ウルフや大きなムカデにも襲われたけど、全部石の大剣で片付けちゃったよ。傷付いても回復できるゴーレムは最高だね!
例えボコボコにされても、MPが残っていれば何度でもやり直せる。
しかも、ゴーレムの操作はずっと継続する理由がない。暇があれば操作して、動かす暇がなければ自立モードにしておけばいい。
ゴーレムの操作についてだけど、僕は誤解していた。
ゴーレムは、本来操作を必要としない自立した兵器だということだ。
僕が憑依するようにしてゴーレムを操作することもできるけど、MPが残っている限り、ゴーレムは目標に向かって最善の行動を繰り返す。
今回の場合、森の探査が主な目的だ。敵に襲われれば応戦し、敵がいなければ森の奥に向かって勝手に進む。
正直、僕が操作する意味はあんまりない。最近は、ゴーレムの行動を観察しているだけだ。
でも、そのおかげでかなり平行作業が可能になった。
今までは一体のゴーレムの操作にかかりきりだったけど、今は違う。
ゴーレムからフィギュアサイズのキャバリエゴーレムを生み出し、森の中をくまなく探索して、モンスターを見つけたらそこにゴーレムを生み出すということを繰り返していた。
その際に見つけたのが、ゴブリンの巣穴だ。
ゴブリンは、推定で一メートルくらいの身長しかない。だからかもしれないけど、その洞窟は高さ一メートル半くらいしかなかった。
そこで、僕はそこに入れるぎりぎりのゴーレムを創り、突撃させた。
戦いは一昼夜にも及んだけど、なんとかゴブリンの巣穴を制圧することができた。
ゴブリンはカラスみたいに光るものを集めるのが好きなのか、妙に強かったゴブリンのいた部屋には、四角いコインのようなものや、金属や宝石が集められていた。
これは、村に持ち帰ろうかな。これで少しはみんな喜んでくれるといいけど……。
そんな僕の懸念はまったく見当違いだったみたいで、僕のゴーレムがゴブリンや豚頭の集めていた宝物を持ち帰ると、みんなが褒めてくれた。
村のみんなは僕を褒めるどころか、なんだか敬愛というか、若干の信仰をされているような気がするんだけど、僕の気のせいだろうか?
僕は神様じゃないんだけどなぁ……。
そんな感じで、抜けはあるだろうけど、森に棲んでいるモンスターを排除しながら森の調査を進めていった。
調査で見つけたゴブリンの巣穴を複数制圧し、豚頭の村のようなところも制圧した。
なんだかだんだんにモンスターの抵抗が強くなっている気がするけど、もしかしたらこの先にゴブリンや豚頭の街とかあるのだろうか?
そんなところがあるなら、絶対に潰しておきたいよね。危ないし。
僕がゴーレムで森の中を掃除しているからか、襲撃から半年ほど経った今でもモンスターの村への襲撃はない。
僕のやったことが、少しでもみんなの役に立っていると嬉しいな。
お読みいただき、ありがとうございます!
よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。
下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。
☆1つでも構いません。
どうかあなたの評価を教えてください。




