014 襲撃後の新能力
「よし! みんな、やるぞ!」
「「「「「了解です!」」」」」
オレ、アドルフ・ランドールが指示を出すと、村の職人や村人たちが大量に転がったモンスターの死体に向かって歩き出す。その手には刃物を持ち、やる気も十分だ。
これかやるのは、倒したモンスターの死体の処理である。オークやウルフの毛皮を剥ぐのが主な作業だ。あとは金属や金目のものを回収していく。
「すっげー! オークの顔がぶっ飛んでやがる!」
「ものすごい力なんだなあ……」
「こっちのゴブリンなんてぺちゃんこだぜ?」
村人たちの驚くような感心するような声が聞こえてくる。
今回の防衛戦では、クラークの土の巨人が初めて実戦投入された。
誓って言うが、オレはクラークに参戦を促したわけじゃない。
おそらく、クラークが物々しい雰囲気に反応したのだろう。
その結果がこれだ。
オレは、未だに森を睨み付けるように佇む土の巨人を見上げる。
デカい。オレもデカい方だが、そんなオレよりもさらにデカい。オークよりもデカいだろう。
その体や腕には単純な模様が浮かんでおり、顔を見れば、穴が三つ開いているだけ。本当に子どもが土遊びで作ったような土の人形だ。
だが、これがとんでもない力を持っているのをオレたちはもう知っている。村人の中には、土の巨人をまるで守護神のように拝んでいる者もいるくらいだ。
「領主様! こいつはどうしますか?」
「ああ、それか……」
村人が指す方向には、巨大な、オレでも扱えないほど巨大な大剣が転がっていた。
この辺境で鉄は貴重だ。本当なら、村のために活用したい。
だが、これを手に入れたのはクラークだ。本来ならクラークに交渉すべきなのだが、相手は言葉が通じない赤ちゃんときた。
どうするか……。
「……手分けして鍛冶屋に運ぼう。農具や武器を作ってもらう」
「了解しました!」
結局、オレは村のために使うことに決めた。あとでクラークに謝らないとな。
しかし、クラークのギフトは本当に強力だな。この土の巨人も確かに強力だが、一番強いのはそこじゃないとオレは思う。
屋敷に帰った時、クラークは戦闘中も寝室にいた。つまり、この土の巨人は遠隔操作していたということだ。
自分は安全な場所から、この土の巨人を派遣できる。これはかなり強力だ。仮に土巨人が負けたとしても、自分が失うのは魔力だけで済む。
つまり、クラークを倒そうと思えば、無限に近い量の土巨人を突破しなくてはいけない。
これはかなり無茶なことだろう。
我が子が強いのは嬉しいことだが、赤ん坊の状態でもう息子に強さで抜かされるというのは、ちょっと悲しいものがあるな……。
◇
襲撃のあった日から数日。
僕は村のいたるところにゴーレムを配置して、村の一日を見守っていた。
まぁ、村人の中にはゴーレムを持ち帰る人がわりといたことには驚いたけど。
やっぱり、女の子たちにはかわいいゴーレムが人気で、男の子たちにはかっこいいゴーレムが人気だった。
不思議だったのが、わりと大人もゴーレムを持ち帰ることだ。彼らはゴーレムで遊ぶのではなく、まるで神棚のような部分に飾って祈っている姿を見ることができた。
なんだろう? ご神体的な?
この前、村を守ったのがかなりプラスに働いた。というか、働きすぎたのかもしれないね。
まぁ、僕もがんばって村を守って発展させるつもりだけど。
村を守るといえば、この間の襲撃で豚頭戦士が持っていた大剣だけど、村の中に運ばれていた。
鍛冶屋みたいなところに運ばれていたから、たぶん、鉄として再利用するのだろう。
ゴーレムの武器にちょうどいいかなと思っていたけど、仕方ないね。
なぜかお父さんが頭を下げていたけど、もしかしたら、あの大剣を村のために使うからって言っていたのかもしれない。
僕としては全然いいんだけど、僕があの豚頭戦士を倒したから、一応報告してくれたのかな?
でもいいんだ。豚頭戦士の持っていた大剣は確かに便利そうだけど、僕はそれに代わる力を手に入れたから。
それは、石を生み出して操る力だ。
これは、今までのように土を操るよりも魔力みたいなものを使うけど、土よりも硬い石のゴーレムを創ることができるようになったということでもある。
でも、全身石のゴーレムを一から創るには、僕のMPが足りない。
たぶん、大きな石があれば、それを操るだけだから、大幅にMPの消費を抑えることができるだろう。それまでは、土のゴーレムに石の武器を持たせるので精一杯かもしれない。
MPといえば、石の巨大ゴーレムを創るのはまだ無理だけど、この前の戦闘の後からだいぶ増えた気がする。
もしかしたら、この世界にもレベルのようなものがあって、僕のレベルが上がったのだろうか?
だとしたら、森の中にゴーレムを放って、自動レベリングをしてもいいかもしれない。
でもまぁ、正直なところ、わからないことだらけだ。
レベルの話だって僕の予想でしかないしね。
それに、まだ言葉もわからないからね。
言葉が話せるようになったら、いろいろ訊けるのに。
早く言葉を覚えたいよ。
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