013 みんなとお話
モンスターの襲撃のあった翌日。
僕は家の前でお母さんとおばあちゃんに挟まれて椅子に座っていた。
そして、僕たちの前にはたくさんの村人の姿があった。みんなの視線は、真ん中に座った僕に向かっている。こんなにたくさんの人の注目を浴びたのは、もしかしたら初めてのことかもしれない。
さっきから村人が一人ずつ前に出ては、まるで僕に祈りを捧げるように手を組んでしゃべっては入れ替わり続ける。その中には、子どもの姿もあった。
「あい!」
たぶん、自己紹介をしているんだろうか?
僕もとりあえず手を上げて挨拶を返す。
そうすると、大袈裟なくらい村人たちが喜んでくれるんだ。なんだか僕も楽しくなってきた。
でもその時、視界の端につまらなそうにしている女の子の姿が見えた。
たぶん、三歳くらいの女の子。親に連れられてやってきたのはいいけど、自分の番がいつまでもこなくて飽きてしまったのだろう。
「てい!」
僕は自分の両手を合わせると、そこに魔力を集める。すると生まれるのは、細かな粒子のような砂だ。この砂に魔力を込めると、好きに形を変えることができる。
うぅーん。相手が男の子だったら、かっこいいゴーレムを出すところだけど、今回は女の子が相手だ。かわいいゴーレムの方がいいだろう。
そこで僕が選んだのは、二足歩行で歩く猫のゴーレムだ。通称、猫ゴーレム。ゲームでは色々な雑用をしてくれるゴーレムだった。今回は、そのフィギュアサイズである。
そっと指示を出すと、自立して動き出す猫ゴーレム。
「「「「「おおおおおお!」」」」」
大人たちの驚く声を無視して、猫ゴーレムはそのまま少女の前にやってきた。
そしてまるで道化師のように丁寧にお辞儀すると、急に踊り始めた。その姿は、まるで猫が踊っているみたいでとてもかわいらしい。
最初は警戒したような表情の女の子も、最終的には猫ゴーレムを真似して踊り始めてしまった。楽しそうだね。
そして、僕は確信する。村人たちの誰も僕の作ったゴーレムを脅威と感じていない。むしろ、微笑ましいものを見るような目で見ている。
それは、僕が創ったのがフィギュアサイズの小さなゴーレムだったからというのもあるだろう。
でも、ゴーレムたちを少しずつ大きくしていけば、ゴーレムたちが歩いていてもそれが村の普通の姿になるだろう。
つまり、村人の仕事を手伝うことができる。
そうすれば、村の生産性も上がるだろうし、ちょっとくたびれた雰囲気のある村も元気になるだろう。
そして、どんどん村を発展させていく。
僕のやっていたゲーム『ガード・ゴーレム』はさまざまなゴーレムを召喚して、拠点となっている村を発展させ、どんどん大きな町にして、砦にして、街にして、迫りくるモンスターの脅威から拠点を守るゲームだった。
この村は、ゲームでプレイヤーに与えられる最初の村よりも発展している。
僕としてはもうちょっとハードモードでもよかったんだけど、まぁいいかな。
ゲームの知識がどれほど役立つのかわからないけど、きっと少しは役に立つだろう。
僕はお父さんもお母さんもおばあちゃんも大好きだ。大好きな人たちが大事にしている村なら、きっと僕が発展させたら喜んでくれるだろう。
それに、言っては悪いかもしれないけど、ここでの生活は決して裕福とは言えないみたいだ。村の中でも一番良い家に住んでいる僕がそう思うってことは、村のみんなはもっと不自由な暮らしをしているに違いない。
思い出すのは、この前にお父さんとお母さんと行った栄えた街だ。最低でもあれくらいにはしたいところだね。
そして、お父さんもお母さんもおばあちゃんも、そして村のみんなにも楽をして、幸せになってもらいたい。
そのためにも、ゴーレムを活用したいから、村人たちにゴーレムを受け入れてもらいたい。だから、少しずつゴーレムに慣れてもらおう。
これからは少しずつゴーレムを村の中に放つのもいいかもしれないね。
そんなことを思いながら、僕は村のみんなの挨拶を受けた。
たぶん、僕のお披露目みたいな行事なんだと思う。
でも、やっぱりみんなが何て言っているのかはわからない。みんなにこやかだから悪いことを話しているわけではないと思うんだけど、やっぱり早く言葉を覚えたいよ。
まぁ、僕はまだ生まれたばかりの赤ちゃんだ。本格的にしゃべれるようになるのは、三年後くらいだろうか? 長いね。
村人のみんなから挨拶を受けた僕は、その後、おばあちゃんと一緒に家の中で一緒に遊んだ。
とはいえ、僕は動けないので、おばあちゃんの膝の上に座って、おばあちゃんのお話を聞くだけなんだけどね。
でも、おばあちゃんは僕に聞き取りやすく話しているのか、ゆっくりで抑揚のあるしゃべり方だった。
たぶん、昔話か物語を話してくれているんだと思う。おばあちゃんとの会話は、僕の言語学習のいい機会だ。ちょっとずつ勉強しないとね。僕も早くみんなと話したいし。
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