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012 豚頭戦士の最期とギフテッド

 ゴキッという音と共に、豚頭の首から上がまるで壊れたおもちゃのようにありえないほど仰け反っていた。


 たぶん、首の骨が折れたのだろう。


 これで、残すは豚頭戦士だけだ。


 僕はそこでゴーレムに無茶な指示を出す。


 それは、急制動をかけて残った左腕で豚頭戦士を殴るというものだ。


 人間では決して無理な挙動だろう。


 でも、骨格や筋肉、関節というものがない土の塊であるゴーレムなら可能だ。


「おおおあ!」


 これで終わらせる!


 しかし――――⁉


「うお⁉」


 豚頭戦士の反射神経は信じられないほど早かった。


 ゴーレムが振り返った段階ですでにこちらを向いており、その大きな大剣を下から切り上げるように振るう。


 斬り落とされるゴーレムの左腕。


 これでゴーレムの両腕が斬り落とされた。足は急制動をかけるために地面に滑っている状態だ。とても攻撃に使えない。


 ゴーレムの腕は僕の魔力さあれば無限に修復可能だ。


 でも、それにだって少しの時間はかかる。


 つまりこの瞬間、ゴーレムはすべての攻撃手段を失ったことを意味している。


 しかも、豚頭戦士はその大きな大剣を振り上げている。


 負けた……。


 と、思うじゃん?


 僕はこの瞬間を待っていたんだ。


「おあいあ!」


 斬り落とされたゴーレムの右腕と左腕。それぞれが動き出し、がっちりと豚頭戦士の足を拘束する。


 ズゴッとゴーレムの脳天に大剣が叩き付けられるけど、そんな攻撃では僕のゴーレムは倒せないよ?


 ゴーレムはそのまま仰け反るように溜を作ると、そのパワーを一気に開放する。


 つまり、頭突きだ。


 しかも、連打である。


 豚頭戦士は、三回目の頭突きでゴキッと骨が折れるような音と共に動かなくなり、倒れた。


「ううー……」


 周りを見渡しても、もう動いているモンスターの姿はなかった。


 勝った! 防衛成功だ!


 僕はそっと窺うように村の防壁の方を見る。


 暗くてよく見えないけど、みんな唖然としていた表情をしているように見えた。


 うぅーん……。戦闘で活躍すれば、みんなゴーレムのことを認めてくれるかと思ったけど、これはちょっと難しいかも?


 村のみんなを怖がらせても悪いし、ここは突如現れたモンスターとして森の中に消えようかな……。


 その時だった。


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


 たった一人の歓声が聞こえた。お父さんだ。お父さんが大剣を振り上げて、僕の勝利に歓声を上げてくれる。


 その後、お父さんは村のみんなに向かってまるで状況説明をするように大声で語り始めた。


 すると――――!


『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』』』』』


 村のみんなが武器を振り上げて雄叫びをあげる。まるで、僕の勝利を祝ってくれているみたいだった。


 いや、実際にそうなのだろう。お父さんが、ゴーレムを僕の力だと説明してくれたのだろう。


 歓声はいつまでも続いている。これって僕も応えた方がいいのだろうか?


 僕はにょきっとゴーレムの右腕を生やすと、頭に叩き付けられたままだった人間には扱えないほど大きな大剣をにゅっと引き抜いた。


 そして、歓声に応えるように引き抜いた大剣を掲げてみせる。


 すると、歓声が一層大きくなった。


 やっぱり、村の人たちはゴーレムを味方だと認識してくれている。


 そのことが僕にはすごく嬉しかった。



 ◇



「クラーク様ばんざーい!」

「クラーク様のギフトに栄光あれ!」

「ランドール男爵領に幸あれ!」

「救世主様万歳!」


 なんとかなったか……。


 オレ、アドルフ・アンドールは、村人たちの喜びに満ちた顔を見てホッとした溜息を吐く。


 突然、戦場に現れた土の巨人は、まさに蹂躙という言葉が似合うほど村に攻め寄せていたモンスターの軍勢を瞬時に蹴散らしてみせた。


 あの土の巨人は、トバイアスに向かう途中でゴブリンとオークに襲われた時に現れた土の巨人に酷似していた。そして、寝室に飾ってあるクラークの作った土人形とも似ている。


 そこから導き出される答えは、やはり、この土の巨人を操っているのはクラークということなのだろう。


 わかってはいたんだ。


 だが、こんなにも強力な戦力を持っているとは思わなかった。


 それはきっと村の皆もそうだったのだろう。いきなり現れた土の巨人に驚愕し、その強さに恐怖していた。


 当たり前だ。村の皆はあれがクラークの仕業と、味方だと知らない。恐怖を覚えるのは至極当然だろう。


 ここで活きたのが、トバイアスの神殿で、クラークが悪魔憑きではないと証明されているという点だ。それは拡大解釈すれば、クラークの力が聖なるものだと認められたということだ。


 オレは恐怖している皆にクラークがやったことだと伝えた。


 常日頃からクラークが神からの恩寵、ギフトの持ち主、ギフテッドだと説明していたのが功を奏した形だ。皆がすんなりと受け入れてくれた。


 ギフテッド。極稀に生まれる異能の持ち主。


 その大半は使い道がないか、多少便利程度の力だと聞くが、クラークのそれは格別だ。


 まさか、我が子がギフテッドだとは思わなかったが、もしかしたら、困窮する我らを見かねて精霊がクラークをお与えになってくれたのかもしれないな。

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