011 ゴーレムの奮闘
「ん!」
僕は決意を固めると、キャバリエゴーレムに木の防壁の外へと飛び出すように指示を出した。
そのままモンスターの溢れる地面に落ち、踏み潰され、ぐちゃぐちゃになってしまうキャバリエゴーレム。
でも、キャバリエゴーレムを構成していた土はその場に残る。
その土は、僕の魔力をふんだんに含んだ魔法の土だ。
「あいあー! おーえう!」
僕は土を捏ねるようにすると、キャバリエゴーレムの残骸の土が周囲の土を取り込んで大きくなっていく。
異変に気が付いたのか、周囲のモンスターが攻撃してきたけど関係ない。
ついに木の防壁を殴っていた豚頭も異変に気が付いた。もごもごと意志を持ったように動く土の塊を棍棒で殴ろうとする。
しかし、そんなことは僕だって想定内だ。
即座に作るのは、ノーマルゴーレムの腕と頭。
頭を作って目で正確に豚頭の位置を特定し、ゴーレムパンチでカウンターを決めるように豚頭の胸から上を粉砕した。
どんどん土が集まり、人型を作っていく。できあがるのはノーマルゴーレムだ。
『ンゴー!』
産声を上げるノーマルゴーレム。その大きさは三メートル近いだろう。かなり視界が高い。
見下ろすと、オオカミに乗ったゴブリンがゴーレムの足に槍を突き刺し、ゴブリンたちもボコボコにゴーレムの足を殴っている。
でも、このノーマルゴーレムと僕の間には、パスのようなものが繋がっている。ノーマルゴーレムに僕の魔力を補充できるのだ。
つまり、僕の魔力がなくなるまで、ゴーレムは無敵だ!
僕はノーマルゴーレムを操作すると、群がるゴブリンを蹴散らし、踏み潰していく。
そして襲いかかる豚頭を粉砕していく。
でも、あまりケンカの経験のない僕は、何度か豚頭の棍棒を喰らってしまう。
豚頭の持つ棍棒は、まるで丸太のように太くて重い。
そんなもので殴られたら、さすがのゴーレムも凹んじゃうし、うでを失うこともあった。頭を叩き潰されることもあった。
そんな時は魔力を使ってノーマルゴーレムを修理する。
まるで粘土を捏ねるように、ノーマルゴーレムが復活する。そして、豚頭の頭を粉砕する。
また足元に集まっていたゴブリンを蹴散らした。
これで、あらかたモンスターを倒したかな。
「あぅ……」
ホッと一息ついた時だった。突然、ノーマルゴーレムの視界がズレていく。まるで、滑り台を滑り降りるように左に流れていく。
「んああ⁉」
僕はそんな指示出してないぞ⁉
ノーマルゴーレムの状態を確認すると、右の肩から左の脇腹にかけてスパッと斬られていた。
どうして⁉
疑問に思いながら、僕はノーマルゴーレムを修復していく。
その時、気が付いた。
豚頭だ。豚頭がいる。
まだ残っていたのか。
残っている豚頭は三体。しかし、なんだか中央にいる豚頭の様子がおかしい。明らかに他の二体の豚頭より大きく、筋肉もりもりだ。
それはまるで豚頭の戦士のようだった。人間には扱えないような大きな大剣を片手で持ち、金属製の鎧を身に着けている。そして、まるでマントのようにボロボロの布を身に着けていた。
他の二体の豚頭は普通だ。鎧も身に着けていないし、武器は丸太のような棍棒である。
たぶん、僕が気が付かないうちにゴーレムを斬ったのは、中央の豚頭だろう。仮に豚頭戦士って呼ぼうかな。こいつは油断できない。
豚頭戦士の方が格上なのか、普通の豚頭に指示を出しているようだった。
でも、指示が出し終わるまで待つ必要もないよね!
『ンゴー!』
僕が指示を出すと、ゴーレムが雄叫びをあげて豚頭たちに突撃する。
僕には豚頭の顔色なんてわからないけど、ゴーレムが走るとは思っていなかったのか、豚頭たちは驚いているようだった。
その隙を見逃す僕じゃない。
『ンゴ!』
イメージするのはロケットパンチ。
走りながら足裏から土を吸収すると、右腕に集める。
そして、思いっきり振りかぶった右腕を勢いそのまま伸ばす!
生まれるのは、大質量のロングパンチだ。
ゴーレムのパンチは豚頭戦士には避けられたけど、右側の豚頭のお腹に当たる。
僕の思った以上に威力があったのか、豚頭は体をくの字に曲げて、物凄い勢いで森の奥へと消えていった。
これで一匹倒せたね。あと二体だ。
伸びきったゴーレムの右腕は、豚頭戦士によってバラバラに切り刻まれてしまった。
でも大丈夫。また土を吸収すれば、ほら右腕も元通りである。
しかし、完璧なタイミングで完璧な不意打ちだと思ったんだけど、豚頭戦士には避けられてしまった。この豚頭戦士だけ異様に強い。一人だけ装備が違うし、上位種だったりするのだろうか?
まぁ、倒すだけなんだけどね!
『ンゴー!』
ゴーレムは両腕を広げて、まるでTのようなポーズで豚頭たちに突っ込んでいく。ダブルラリアットだ!
豚頭戦士は、ゴーレムの右腕を斬り落とすことによってダブルラリアットを回避する。
でも、もう一体の豚頭は反応できなかった。
喉に真正面からゴーレムの大質量攻撃が炸裂する。
お読みいただき、ありがとうございます!
よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。
下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。
☆1つでも構いません。
どうかあなたの評価を教えてください。




