ひとりの女の子
とあるゲーム内の登場人物たち。
どんな気持ちを抱いているのかなと思いました。
最後は登場人物たちとは関係ないですが、アンサー歌詞みたいなものを書きました。
何でもないただの後輩…。
クリスマスデートなんて、ガラにも無いけど。
何とか口実付けて誘ったクリスマスイヴ。
帰り際のピンポン球みたいな雪の
サプライズに、思わず口にした
「お前以外いらない…」
本音が口から滑り出し、雪の夜に消えていく。
差し出した手、震える指先。
そっと握り返す。
冷たい手から伝わる熱は心地良い。
永遠に続けばいいのに…。
何でもないただの後輩。
だけど、今日だけは。特別な夜にしたい。
素直になれない自分がもどかしい。
ピアノを弾く時みたいに、ありのままを伝えられたら…。
メリークリスマス。
後何回言えるのだろうか…。
男子高校生のひとりの感情。より。
学校の裏庭。聴き慣れた男女の声に思わず立ち止まる。
親しげに話す二人を柱の影からそっと覗いた。
そう言えば、先日も同じ様な光景を見たっけ。
一人は自分と良く出かける同級生。
一人は双子でモデルをやってる可愛い友達。
同級生もモデル。
別に特別な関係では無いはず。だけど。
自分の知らない話で盛り上がり、自分がその間に入ると話をはぐらかされて。
キュッと制服の胸元を掴んだ。
私には何で言えないの?何を話しているの?
双子の一人も何も言わない。
いつもは他愛ない話をするのに…。
ある事以外は。
なんで私には言えないのかな。
気にする資格、私には無いから追求みたいな事できないのに。
苦しいな。
週末彼と出かけた時、いつも通りで楽しかった。
私はきっと彼を好きなんだろう。
だから、胸に重たい石みたいなのがあって、ふとした瞬間それを思い出す。
楽しい、嬉しい。彼と居るだけで幸せな気持ちになる。
偶然触れた手が熱をおびる。
楽しい時間の終わりは寂しい。
またね。送ってくれた彼の背中をいつまでも見つめては、次があるのかな。
そんな事を考える。
好きだと言えたなら、どんなにいいか。
でも。この関係が終わってしまうかも…。
言えない、絶対に。
教室から裏庭を見下ろす。
廊下を歩きながら彼をさがす。
次の約束は、いつになるのかな。
そんな事ばかり考えて、友達と笑いあう。
私の知らない彼を、友達が知っていて、
会話にも入れない。
こんな気持ちに嫌気がさす。モヤモヤが消えない。
私と彼氏は不釣り合い…。
じゃあ、もう次の約束をしなければいい。
秘密を共有できないのなら、私に言えない事があるのなら。もう一緒に出かけない。
そうすればいい。きっと…。
ぼんやりした帰り道、バイト先へ向かう。
いつもの席に彼は居た。
バイトの制服に着替え、なんでもない風に
装って、仕事をこなす。
いつものコーヒー、いつものスイーツ。
そして、いつもの笑顔。
私のバイト先の喫茶店は、彼のモデル事務所から近い。
だから、仕事の休憩中や仕事終わりはいつも来る。
他愛ない話を軽くして、私は自分のやるべき事をこなす。
ねえ、今何を考えてるの?
ねえ、私に言えない事ってなに?
胸の中の石がずしりと重くなって、何故か涙が出そうになった。
食器を下げた際、何かあった?
優しく尋ねられて…。
無言で片付けてその場を去った。
イヤな自分。情け無い。
涙がいよいよ込み上げそうになり、休憩室へのドアを開けた。
ダメだ。私…。
無理だよ。もう…。
どうして何にも教えてくれないの?
どうして秘密の共有をあの子達とするの?
なんで、話をはぐらかすの?
言ってくれないの?欲しい言葉を。
楽しくお出かけできないよ。
楽しくお話できないよ…。
バイトの帰り道、満天の星空を見上げて
素直じゃない私が顔を出した…。
女子高生のおもい。
いのりにも似た感情。
入学式で出会ったあの人。一つ上の先輩は、儚げと言うよりいつも誰かと一緒に居て、ニコニコ笑ったりふざけあったり。
年下の僕なんか、まるで眼中にない。
誰かに恋なんてする訳ない。ずっと思っていたのに。
この苗字の所為で寄りつくヤツは興味本位なだけで。
あの先輩、可愛らしくもあり、天然でもあり。だけど周りを良く見ている。
そんな女子。
その先輩と思わぬ形で話ができた。
ずっとやっていたサーフィンの取材だけど。キラキラっとした瞳で見てくるから、
可愛げない、素直じゃない自分の性格が
災いして、優しくできなかった。
年下コンプな上に、人気の先輩。
常に男の先輩も一緒。
こないだなんかある先輩と二人で出かけたって、クラスのヤツが話していた。
イライラ?モヤモヤ?
面白くない。
海に出てサーフィンをやっても、眩しい太陽がヤケに煩わしくて。
ねえ。僕とも出かけてよ。
密かに掴んだ先輩の番号。僕がかけたら
驚く?
それとも。その他大勢の一人だから、気にしない?
色々な人とただ仲良くしてるだけで、特定の人は居ないらしい。だけど。
特別仲の良い男の先輩は、いる。
その人へ向ける笑顔が違うって分かるから。学食とか、廊下で話す時とか。
屋上で話す時とか。
背が高くてモデルみたいな先輩。
優しそうな雰囲気。
二人が並んで歩くとき、何気なくあの人の歩幅に合わせて歩くとか、ふとした時に
目が合って笑い合うとか。
別の先輩達が来た時だって、無意識に
庇うとか…。
一つしか違わないのに。
何だろ。この見えない「差」って。
眼鏡の奥が熱くなる。
バカバカしい。
はずなのに、背中に感じる何かを振り解く様に歩き出した。
君の相手は
ボクじゃない。
男子高校生後輩のひとりのつぶやきより。
ただの「知り合い」なぼくたち
海水まみれのたい焼きみたいに
しわしわになっても 仲間じゃなくて
「知り合い」だから昔ばなしをたのしみ
に老人ホームに行こう
孫の話をしたりイチゴの話をしたり
変わらぬあの頃の僕らのままで
仲良くパックに入ったおはぎ四兄弟みたいに
昔ばなしに花を咲かせよう
ずっと仲良し「知り合い」
そんなみんなを白髪混じりのカビたちは応援してるよ
ただの人の勝手な応援。より。




