第一話「初めまして」
僕は、幽霊やお化け、ホラー系統は好きだけど、信じるかどうかだと、信じないほうだった。
肝試しやらも、「どうせいないんだし」の感覚で、興味なんてなかった。でもそれは、彼女に出会う前のこと。
彼女に初めて出会った日は、雪が降り積もっていた。すごい寒い朝。上着一枚じゃ足りないんじゃないか、天気バカなんじゃないの?って思うほど。
それに、今日工事のせいで、いつもの道が通れない。それも、工事終了の予定が春。僕、卒業するよ?と、思う。ということで、いつもとは全く別の道で学校に行くことになってしまった。
慣れない道を歩いていると、一つの、公園が目に留まった。雪が積もっていて、誰もいない。朝だから、当然だろうな、とは思うけど、なんか、普通じゃない気がする。まるで、独りぼっちの公園……。僕は、公園に魅了された。
ふと見ると、誰もいないはずなのに、1人の少女が座り込んでいた。同い年ぐらいだろうか?こんなに寒いのに、着物を着ている。
「ヒューッ」と、音がして、寒気を感じた。
そして、僕は何かに引き込まれるように、公園の中に入ってしまった。
少女は、こちらに気付き、僕の方へ近づいて、無邪気な笑顔で言った。
「こんにちは。初めまして。お客さんって、珍しい!ねえ、あなたのお名前は?」
「え…、あ、ん?」
少女は、戸惑う僕に気付いたのか、「あ、ごめんね」と言った。
「えっと、私、雪!」
「雪?」
「違うよ!降っている方じゃないよ!!」
「大丈夫。分かってる。」
「でも、僕、あなたのこと、全然知りません。流石に、初対面では、名乗れない、かな。」
「あー、そっかあ。それもそうだね。じゃあ、明日。また、会えるよ。そしたら、少し話を聞きたいな。日向。」
「え……。なんで、名前……。」
気付くと、雪は、いなくなっていた。いや、消えた。そして、雪も止んでいて、僕は、1人になった。