エピローグ
その後。
収納の腕輪は、自力でその魔法の使えないエルレアの左腕で魔石の煌めきを放っている。例によって全力で尻込んだエルレアだったがふたりに無理やり嵌められてしまった。
ふたつの空間を独立して生成できるため、一部屋を自室にすれば、とヴェガに言ってもらって、翌日まる一日かけて一緒に家具などを買い揃えて整備した。預かってもらっていた背嚢も片隅に置いてある。だいたい一室あたり六畳ほどで、ヴェガの持つ広大な空間から比べるとごく小さいが、プライベートな場を作るくらいならばちょうど良かった。それにしても贅沢な使い方だとは思う。
『沙巌熊』の入れられていたもう片方については、トキに考えがあるらしい。
「『悪食』のエルレアです!」
エルレアは姿見の前で腰に手を当てて決めポーズをしている。
ルーセントなどにまた声をかけられたら、ヴェガのように華麗に躱してやるのだ。自分が『悪食』メンバーである、というのが誇らしい。所属組織の名前を出してきたダメオたちの気持ちもすこしだけわかる気がした。
低い声でトキの真似をしてみる。
「この際覚えておくといい……『悪食』だ!」
誰にも見られない環境でエルレアは調子に乗っていた。人差し指を顔の前で立てる。
「イイ男には間に合ってるのよ!」
……言ってみてから、しかしこれは自分でも恥ずかしすぎた。
真新しいベッドに顔を埋めて、エルレアはしばらくジタバタと悶えたのだった。
第2章、お付き合いいただきましてありがとうございました。
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