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地味パーティーのエルレアさん  作者: 甘栗八
第2章 小賢しい会話
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第2話:地域貢献

 どこも慈善事業ではない、とヴェガは言う。

 ではエルレアを鍛えてくれている彼等は?

 きちんと恩を返せる目処はいまだまったく立っていない。


「私を育成してもらってるのは、十分慈善事業じゃないでしょうか……」


「アハハ、そいつぁ先行投資ってやつです。迷宮に潜りだしたらお返しもしてもらいますよ。でも今回だって、ちゃんと見返りが確保できたのはエルレアさんのおかげでしたからね」


 晃乃雉(ハンディナ)討伐。

 冒険者ギルドから『悪食(アクジキ)』に声がかかったのは魔法による遠距離攻撃手段を有しているからである。つまり駆除するだけならば黒竜を狩ったようにヴェガによる熱線で大きく撃ち抜けばよかった。しかしそうするとこのサイズの鳥の場合、全身燃え尽きてしまって素材確保が難しい。狩りとしての実入りがないのである。

 トキの土魔法で雷避けの誘導針を維持し、ヴェガが飛距離強化を施した矢でエルレアが急所を射る、という作戦は今回しっかりと功を奏した。旧メンバーだけでは取れなかった、より高精度な遠隔狙撃を軸とした戦法である。大部分の素材がキレイに手に入ったことで、利益はなかなかのものになるだろう。


「あっ、うふふ、ありがとうございます。ようやくちょっとお役に立てたのはすごく嬉しいです」


 パーティーの収入に寄与できた点を褒められて、エルレアは少し誇らしくなった。



◇◇◇



 トーレア村に簡易報告のため立ち寄った一行は、感激する村民の歓待を受けて二晩の宴に付き合うことになった。固辞して早々に帰還する手もあったが、雷撃を受けた怪我人の治療をエルレアが申し出たため、魔力回復を含めて時間がかかったことが、滞在を伸ばした大きな理由である。


「地域貢献、私もできる範囲で増やしていきたいと思っているんです。お時間取らせてしまってすみません」


「いえ、パーティーとしても大切にしたい活動ですから。安価な治療提供は、ザバン市中で安易にやると他の医療関係者から営業妨害だと怒られかねないですが、この辺ならそれも構わないでしょう」


 高額な医療術師の処置にあずかることなど普段ない村の人間たちからすると、魔物の脅威が祓われた上に思いがけず宝くじにまで当たったようなものである。それはもう下にも置かないもてなしが重ねられ、エルレアは却って居心地が悪くなってしまったほどだった。




 このように善行を積んで迷宮都市ザバンに帰還した一行を冒険者ギルドで待ち受けていたのは、しかしそれに冷や水を浴びせかけるような事態であった。

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