エピローグ
山と見紛う大型の屍竜をくだした新星医療術師が現れた。
迷宮都市から北部に位置するガーナッシュ地方の農民の間で、近頃もっぱらの噂である。
ひとたび弓を引けばその矢は竜の四肢を焼き尽くし、大怪我を負った警備隊員たちを瞬く間に癒やして謝礼も求めず屍霊に毒された大地の浄化に奔走する。さらには得た資源すら気軽に分け与える慈悲深さ。柔らかな金髪が揺れるとほのかにミントが香り、えもいわれぬ清涼さを醸し出す。その横顔は嫋やかに美しく、目元に傷を持ちながらも穏やかに微笑む姿は、さながら天女が舞い降りたかのようであった。摘んだ薬草すら類を見ない高品質揃いだったとも聞くし、なんらかの加護が備わっているのかもしれない。
ナバテの森に勤める地元出身の警備隊員が家族に語った体験が、尾鰭を得ながらひとり歩きして、エルレアは本人の預り知らぬところで勝手にその存在が知れ渡りはじめていた。
第1章はこれで終了です。
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