夜にキスが釣れるらしいから狙う
社会人になってから数年。
やっとのことで車を手に入れ、遠くに行けるようになった。
そこで、近くの堤防まで釣りに来ていた、
狙いは、キスだ。接吻のほうじゃない。
キスというと、昼間にやるイメージがあったのだが、どうやら夜でも釣れるらしいと風のうわさで聞いた。
しかも、夜のほうが大きいサイズが釣れる確率が高いらしい。
「せっかくしがらみから全部解放されて、どこにでも好きに行けるようになったんだ。
今までできなかった釣りを、しこたまやってやる。
今日は、その第一弾だ」
とりあえず、以前に中古で買ったバスロッドとリールに、重りと糸付きの狐針をつけただけの仕掛けを作る。
タックルと仕掛けの詳細は覚えてない。
今回使う餌は、青虫だ。
そこに、青虫をつける。青虫と言っても、芋虫のほうではなく、関東ではアオイソメという名称で呼ばれているゴカイの一種だ。
「さて、まずは一投目!」
餌を付け終わってすぐ、俺は遠投する。
着水したら、リール一回転ずつ巻いていく。
手前まで来たら回収、それを繰り返して1時間。
「お、コツンってあたりが」
キス独特のあたりが手元に来た。
俺はすぐにリールを高速で巻いて、手元まで仕掛けを寄せる。
「キスだ!初めて釣ったぞ」
手元に来た魚は、やはりキスだった。
「おぉー。結構大きいな?」
少しキスの魚体を観察した後、針を外す。
針を飲み込んでいたため、どうなるかと思ったが何とかなった。
クーラーボックスに入れ、餌をつける。
「ん。釣れると思ってなかったから、クーラーボックスは発泡、おまけに氷がない。
とりあえず、餌がなくなったら終了としよう。
さっさと使い切ろう」
キスがいるのがわかったので、俺は引き続き釣りをする。
それから2時間くらい釣りをして、餌がなくなる。
「結局5匹か。まぁ、悪くないか。
さっさと帰って、さばいて寝よう」
俺はクーラーの中の釣果を確認して、道具を片付ける。
道具を真水で洗ってから車に入れ、釣り場を後にする。
この話で出てきた堤防は、1・2年後に釣り禁となり、現在も行けない。




