買い物は1人で来るべきだった。
何が鬱陶しいのか、分からないので振り返る。・・・何も出てこない。
もやもやした気分の中、店内を進むと、ど真ん中にシャンデリアがある。これが眩しい。シャンデリアの眩しさだけでなく、その周りや上が金属になっているため、反射して迷惑なぐらい眩しい。
上を見ながら、歩いていると、何か得体の知れないものにぶつかった。
「痛ッ。すみません」
画面越しでしか見たことしかないぐらい、鮮やかに跳ね返された。
何か分からなかったが、あたった感触が、ぶにょ、としていたので、とりあえず人と判断し謝る。これで人じゃなかったら、物に話しかける怪しい人に成り果ててしまうが、そんなことはないだろう。
「おい、お前、俺にぶつかって来やがったな。ふざけるな」
まずい状況になった。明らか肥満な人に思いっきりぶつかってしまった。しかも、女性をたくさん侍らせているのと、豪華なジュエリーの類で金持ちってことは僕にもわかる。
この脂がたくさん乗ったボディの持ち主には、喧嘩では勝てないだろう。絶望する。僕は、ものすごく細く、か弱いからだ。自画自賛である。自画自賛?。意味不明である。
「旦那様。そう怒らないでください」
取り巻きの女性の1人が間に入ってくれた。助かった。
「そうだな。おい、そこの青年、次から気をつけろよ」
そう言って去ってゆく。僕が悪いが、僕は悪くないと言い聞かす。僕が悪い。
肥満体型男性の服は、ものすごくダサい。色々な文字が書いてあり、豆知識も沢山書いてある。歩く肥満型辞書ってところだ。
しかし、僕が今、1番頭に来ているのは咲だ。咲に関しては、僕が吹っ飛ばされているときに、心配の一言もなかった。
こういう時は、だいたい、大丈夫の一言くらいかけるだろ、普通。
1日目にして、買い物でイライラしている17歳児。イライラしていても何も出来ない。というか、今回のイライラは僕の我が儘だ。また、僕が悪い。ふと、咲から声がかかる。
「大丈夫?そんな事は良いから、早く買いに行こう」
そんな事?、これでも結構痛かったし、恥もかいたんだが。まぁ、着いて来てもらってるだけ有り難いか。
咲と話すことが無くなったので、ここで短いスパンで申し訳ないが、2回目の伝わるか分からない説明である。店の内装としては、さっき言った通りシャンデリアが真ん中に、吊るしてあり眩しい。
次に、店の配置としては、1階2階ともに円形に広がっている。
僕が、あの肥満体型と当たったのは、シャンデリアの真下、要は建物のど真ん中だ。
「僕は、どの時代でも恥をかくのか、みっともない。」
自分が惨めに思えるが、彼女がいるだけで周りの人間より1つ進んでいると考え安心する。
「そうだよ、みっともない」
安心がいきなり、飛ぶ。
「おい、今おでの事馬鹿にしたな?」
おで?、一人称がおかしいが今は目を背けたい。
「おで?、そう言うとこを変えなきゃ」
ここに来て、久しぶりにまともなことを言われた気がする。
色々な服が売っているショップはこの真上の1番遠い所だ。今までの説明だと、案外狭いように聞こえるかもしれないが、一つ一つの店が大きいため、無茶苦茶遠い。広さとしては、47,000㎡だそうだ。どこ情報か、それはあの辞書の服に書いてあった。正直、落書きだろう。かなりダサくなっていた。
「これを、2人で・・・・時間かかりそう。」
絶望しながらも、暇なので、あだ名確認をする。肥満体型、歩く肥満辞書。1回しかあったことしかない人を、ここまで、こき下ろすのは、どうかと思うが、とりあえず、おあいこ様でしょう。
「僕の20年後は、あんな感じになっちゃうのかな~。」
訪れないものを、見ても意味が無いことは、分かっているのだが、見てしまう。もう、病気だ。