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Last moment  作者: 適当の極
序章
3/28

最後付けたがる病

坂を上った先に、校門が見える。そこに、偶然通りかかったと思われる、副担任がいた。

「おい、黒島〜、お前、出席日数足りなくなって、進級できなくなるぞ、」

そうなんだよ、僕は進級できるか、出来ないかの狭間に立たされている。驚く事にあと数回でだ。

「うるさいな、このデブ」といい、煽ってみると、いつも通り追いかけて来る。

「おい、黒島、校長のとこにつれてくぞ」

と、校内を走る。いや、もうこれだけで一日のエネルギー使ったんじゃないかってくらい走った。

そして、教室につく。

「お、ようやく来たか黒島。」

「涼、次の先生が来る前に座れよ」

担任の先生や友達が、自分の名前を呼ぶ。そんな光景も最後かと名残惜しくなる。

「おはよう、先生。あと、放課後時間良いですか?」

「いいが、どうした?」

「それは、ここでは話せないので屋上で。」

「分かった」

席に座り、チャイムが鳴り、授業が始まるのを待つ。次の時間は、最後の数学か。

いや、本当に人は何かと最後って文字を付けたがる。

「なんでだろ〜」

「始めるぞ」

先生が、後ろから静かにのっそりと入ってきた。

「起立、気を付け、礼、宜しくお願いします」

くだらない文化だ、と僕は思うがどうだろうか、と考えながら空を見る。

「おい、黒島、吹っ飛んじゃだめだ。戻って来い。」

「すいません」

「じゃあ、ここの問題解いて、」

何処を解いてるのか、すら分からなかったので、黙り込んでしまう。

「え、分かんないの?。だ〜めだよ、どうすんのこんな事も分からないで」

クラスは、笑いに満ちたが先生の睨みで、一瞬のうちに張りつめた空気になった。

恥をかいた。空を見て先生の話を聞かなかった、僕も悪いけど。

「じゃあ、彼女の鳥居、ここを彼氏の代わりに解け」

先生とクラスメイトによる、恒例かのような笑いが起きたが、咲はあっという間に解いてゆく。成績優秀だからだ。

「ここは・・・」

「あってますね。良きです。良きです。おい、黒島、ぷっ、彼女を見習えよ」

また笑われた、いつもの事だが、今日は最後なので、少し名残惜しい。

また、最後、名残惜しいを使ってしまった。やってしまった。

チャイムが鳴り、最後の授業が終了した。今日は土曜日なので、四時間授業なのだ。

「起立、気を付け、礼、ありがとうございました」

いつも面倒くさいと思ってっていた事が、少し特別に聞こえる。

「おい、お前ら座れ。早く帰りたいだろ。始めるぞ。」

「起立、気を付け、礼、宜しく」

適当だ。副担だけ、宜しくだ。

「まず・・・・、次に追試者は、・・・黒島・・以上。終わるぞ。」

「起立、気を付け、礼、謝謝」

謝謝?、急に中国語?

「あ、そうだった先生のところに行かなくちゃ。咲、先生のところ行くぞ」

朝、僕は追試でヒヤヒヤしていたが、追試を受けなくていいことを思い出し、安心する。

寿命と引き換えに、追試免除か、リターンが••••

屋上に向かう。屋上に行くと、ベンチの上で先生が寝ていた。

「で、何だ。何のようだ」

「ある難病にかかってしまって、いろいろな事情で学校やめなきゃいけなくて」

「そうなんだな、大変だな。で、何で鳥居まで。」

「それは、治療期間に咲を同伴させなきゃいけなくて、」

「じゃあ、咲まで退学か?」

「いや、ここに議会発行の特別卒業証書があります。これで、卒業扱いになりますよね」

「そうだな、だが何だ。病気って」

「それは、言えません」

「分かった。話を進めとく。で、いつ退学するんだ」

「今日です。明日から行きません」

「病気なら仕方ないか、じゃあ届け出を書きにいくぞ、親御さんにも電話しても良いよな。」

あまり、両親には電話してほしくなかったが

「良いですよ」

「残業が増えるな〜」

そう言って、一階で退学手続きを済ます。

かなり書くことが、多かったし、学校に後ろめたいものも残っているが、自分の余生のやりたいことに勝るものはない、と言い聞かせて書いている。実際、学校でやりたいことは山ほどあるけどまだ見ぬことに対する好奇心は山々だ。

「書き終わった」

「預かるな。学校に提出しとく。病院と担当医の名前を教えろ」

「帝国病院の斉藤って医師」

「分かった、じゃあ校門まで送ってやるよ」

荷物をまとめ、校門前まで先生に送ってもらう。

「いままでありがとうございました。」と泣きながらに言う。

「こちらこそ、これから治療頑張れよ。鳥居も黒島の事頼んだぞ」

挨拶を交わし、2年間通った学校を後にする。

「ご飯食べにいかない。勿論奢りで」

「いいよ、涼が出すなら」

「分かった、行こう」

電車に乗り、病院へ向かう。

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