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Last moment  作者: 適当の極
序章
1/28

喪失の始まり/start to Lose my memory

様々な建物が立ち、沢山の街灯が街を照らし、人は人とぶつかりながら通る、この街はいつも明るい。

空を見渡すと、満月が出ていると言うのに街がその光を目立たなくさせている、現代。

「今日も、何もないな」

僕、黒島涼は日々刺激に欠ける生活を送っていた。彼女は居るが、、、、

「涼、一緒にまたデート行こうね」と言い腕を組んでくるぐらいには、僕にべったりだ。

僕の、唯一に支えは彼女、鳥居咲だ。こんな、僕に刺激を与えてくれる存在。今の僕は、彼女が居ないと刺激がなさすぎて、廃人になってしまうと思う位だ。

「また、明日」といい、別れる。

そして、家に帰ると、何もない殺風景な自分の部屋が広がっている。

「退屈だ。とりあえず退屈しのぎの睡眠でもとるか〜。あ、これまた、お母さんからだ。」

僕の出身は田舎で、上京して都会の学校に進学した為に母から、定期的に物資が送られてくるのだ。

荷物とともに手紙が添えてある。そこには

定期的に、顔を出しにきてね。お父さんも、もう怒ってないだろうから。

僕が、都会の学校に進学した理由は、とにかく父と離れたかったからである。

「今考える必要はないだろう。後で考えれば良いや。今は寝よ。」

パッジャマに着替え、歯磨きをするために洗面台に向かうとき酷い頭痛に襲われた。目眩がして、意識が飛んでしまっていた。

次に起きたときには、驚く事に病院だった。記憶はないが、マンションのエレベーターの前で力つきたようだった。考えていると、白衣に身を包んだ、中年男性がやってきた。

「貴方誰?」

「起きましたか。私は、主治医の斉藤と申します。あなた様の治療を担当させていただく事となりました。」

「で、治療って事は病気ってことですよね、僕の病状は何だったんですか?」

「大変申し上げにくいのですが、新型の難病で、記憶の喪失から始まりいずれ、死に至る病気です。」

死ぬと聞かされ、焦ったがみっともない姿を最後に晒すなんて、嫌だったので堂々とする。

「そうだったんですか。僕の寿命はどれくらいなんですか?」

「これも、大変申し上げにくいのですがあなた様の寿命は、一年と半年です」

そういう、医者の声は震えながらも申し分けなささみたいなものを感じた。

「親と、彼女に連絡しても良いですか?」

「良いですけど、必ずどちらかには来てもらって下さい。伝えたい事があります」

「分かりました」

親とは、仲違いして上京したため電話したくなかった。なので、彼女に連絡する。

「咲、僕もう長くない。」

「どうして?」

「難病が発症して、余命一年半だって、あと呼ばれてるから、病院まで来て。」

「冗談でしょ。病院に運ばれたからって嘘つかないでよ」

少し黙ると、察したのか

「嫌だ、なんで涼が死ななきゃいけないの?、ねぇ、どうして、どうして」

今にも泣きたそうな、声で咲が話している。

電話を切ると、咲の対応で寂しくも感じてしまっている。

その後、咲が到着し、主治医の個室に案内される。

咲はというと、泣きはらした顔で、僕の話に全く気を向けてくれない。

「始めさせていただきます。病名は、新型難病Ⅶ型であり、さっき説明した通り、記憶障害から始まり、記憶を失った後、死に至る病気です。」

「それは、分かったですけど、涼の病気を治す方法はないんですか?」

「今のところはまだ」

「でも、今回咲まで、呼んだ事には訳がありますよね?」

「その事なんですが、議会がこの病気を発症した人のみにですね、時間旅行をする権利を与えると言う事を決定させたんです。」

「時間旅行?そんな事出来るんですか?」

「まだ発表していない機密事項ですが出来ます。コンセプトは『最後に未だかつてない思い出を』だそうです。そして、彼女さんを呼んだ理由は、基本的に障害を持った人が、途中で記憶を失って帰れなくなる事を防ぐために身近な、人を旅行に連れてってもらっているんです。」

「そうなんですか。で、いつからなんですか?」

「それはあなたが決める事です。やり方については明日改めてお伝えするので、また来て下さい。今日のところは以上です。」

個室を出て、咲に話しかける。

「なんか、ごめん」

「涼が謝る事じゃないよ、今度の時間旅行楽しもうね。」

「無理して、行かなくても俺一人で行くし、咲を巻き込めないよ」

「いいよ、私が行きたくていくんだから。気にしなくて良いよ。親にも言っておく」

「何か申し訳ないけど、これから一年半、頼んだよ」

「涼、宜しくね」

そういう彼女の顔は、涙が滴っている。そして、その涙は西日を反射して彼女の顔を美しく際立たせている。

「おいしいご飯食べにいかない?」

「いいよ、涼のおごりね」

「これから、一年半付き合ってもらうから良いよ」

「やった、ありがと。」

これから、どんな事が待ち受けているのかこの時の僕は知らなかった。

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