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第1話 異世界

 気がつけばボクはも木製の建物に囲まれた町の中にいた。


「神様って優しいんだね」


 これは転移する前にいた町だ。どうやら神様が町ごと移してくれたらしい。ボクはこの町を人形の町と名付けている。ボク自身の戦闘力はナメクジクラスなので、お友達たちがいるととてもありがたい。

 

 ボクはお友達がどれぐらい転移してきたかを確認した。魔力を使い、配下ネットワークを通して感知する。


 転移してきたのは町丸ごと1個と、お友達たちの中でも強力なネームド達全員。


 ボクはすぐにネームドの【クラスメイト】を呼んだ。すると3人の女子中学生の格好をした人形が町の中央の塔から降りてこちらに向かってきた。


「町の付近の状況とか、調べるのを頼めるかなー?」


 【クラスメイト】は頷き、すぐに出発した。【クラスメイト】には特殊なスキルがあるので、探索にはもってこいだ。


 まず、この世界の常識などを理解する必要がある。未知故に侮ってはいけない。そして、神も上位世界と言っていたので、いきなりネームドに探索をたのんだのだ。


 しばらくすると、配下ネットワークで【クラスメイト】達が何かに遭遇したのが分かった。ボクはすぐに【使者】と共にそこへ向かった。


 町を出ると周りは森林だった。魔力の濃度が転移前の世界とは桁が違う。


 【クラスメイト】のいる場所まで辿りついた時、既に戦闘は終わっていた。そこには未知な生き物が倒れていた。


 ボクは【クラスメイト】達を見た。少し掠り傷がついる。これは相当強い魔物だったのだろう。


 ボクは【クラスメイト】の傷を心配した。

 友達には階級がある。普通の友達、親友。【クラスメイト】はボクの親友だ。親友は普通の友達と違い、小さな事でも心配する必要がある、そうボクは思っている。


 だから、ボクは怒りを露わにした。スキル分解を使って未知な生き物を粉々にしてやった。返り血が飛んで来たが、【使者】がそれを受け止めた。


「ありがとう、使者」


 ボクは探索の続きを【クラスメイト】に任せ、【使者】と共に外側に進んだ。人形の町は先程の探索で森の深部にいる事が分かった。道中で品種が分からない植物や未知な生き物と沢山出会った。


 そして、遠くで物音がした。


 そこへ向かってみると山賊らしき集団が貴族の令嬢の馬車を襲撃していた。

 

 ボクは魔力探知を使い、その人達の魔力量を調べた。全員Lv30以下だ。これなら苦戦しないだろう。


 だから、ボクは山賊達に近づき、声を掛けた。


「ねぇ君達!」


 山賊はこちらに気付く。


「ああん、何の用だ!」


 山賊達は驚いてこちらを見る。そして、ジロジロとボクを眺める。


「へぇ〜服は汚ねーけど、よく見たら中々の上玉じゃねえか」


 眺め終わった後、山賊達は卑猥な目線でこちらを見た。しかし、すぐにボクの横にいる【使者】に気付き、身構えた。


「ボクのお友達になってよ!」


 ボクは元気な声で話しかけた。山賊から見るとボクはアホに見えるだろう。


「い、良いぜ~でもなぁ、俺達と楽しい事しないか?」

「良いよ~」


 山賊達は嬉しそうに服を脱ぎながら、こちらに向かってきた。


「へへへ、俺が一番最初にやる!」


 近づいてきた山賊達の1部を【使者】は槍の先端部だけで勢いよく、真っ二つにした。山賊共の汚い血が飛び散った。


 それを見た山賊達は驚き、後ろに数歩後退した。


「お、俺達と友達になるんじゃなかったのか!」

「う〜ん? そうだよぉ、お友達になる予定だよ。死んで、お人形さんにして、仲良くなりましょ!」


 ボクは笑顔で返した。本心だ。この人達とお友達になりたい!


 だが、山賊達は違うようだ。山賊達は泣き叫び、逃げようとした。


「狂ってやがる! こいつ狂ってやがる!」


 しかし、【使者】の無慈悲な一撃。山賊達の血が飛び散った。


「これでお友達になれるね! でも、後ちょっと待っててね、あの人達もお友達にさせる準備をするから!」


 襲われていた貴族の令嬢とその護衛、一人の青年がこちらに向かってきた。安心したーという顔をしている。


「私達を助けていただき、誠にありがとうございます」

「ううん? 別に感謝されるような事はしてないよ」

「そんなご謙遜な。お礼をしたいのですが……」

「なら、ボクとお友達になってくれるかい?」

「はい!」

「え、良いの? ありがとう!」


 ズバッ


 瞬きの間だけで、【使者】の槍の先端が令嬢の前にいた護衛達の首を落とす。


「へ?」


 令嬢は一瞬固まった。何が起こったのか分からないようだ。


「と、友達になるんじゃなかったのですか……?」

「うん? お友達になる為の準備をしただけだよ?」

「は? これのどこが友達になる為の準備なんですか!」


 令嬢は突然怒鳴ってきた。とても怒っているようだ。ボクは少しむず痒い気持ちになった。


「いきなり怒鳴らないでよーびっくりするじゃん? ボクとお友達になる為にはお人形さんになる必要があるんだ~だからぁ死んで?」


 ボクは狂気的な笑顔を令嬢に向けた。それを見た令嬢は……壊れた。


「な、なんなのよ、なんなのよ、この人はなんなのよ!」


 令嬢は泣きながら膝をつき、地面に尿を漏らした。ボクはまたもや、むず痒い気持ちになった。


「どうして、泣くの? ボクとお友達になるんだ、幸せな事だろう?」


 尿を漏らすなんて汚いなぁ、でも、そういうお友達がいても面白そうだね~


 ボクは微笑んだ。

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