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プロローグ

「ボクは幸せだ~!」


 ボクは今、幼少期からの夢であった世界中の皆と仲良くする、という夢を達成した。だから今、達成感で心が満ちている。


 周りを見渡せば、木製の家屋や木製の塔、木製の城壁が建てられている。しかし、そこには人の影すら存在していない。代わりに木製の人形達が生き生きと活動していた。そう、この世界に人なんて存在しない。全てが人形だ。


 元々この世界には人はいた。何故今は一人も居ないのかって? それはボクや人形達によって、全ての人を1匹も残らずに殺したか、人形にしたからだ。ボクには死体を元に人形を作る力があるのだ。


 ボクは人形達をお友達って呼んでいる。ボクにとって、人形にするという事は仲良くするという事だ。


 ボクは世界中の皆とお友達だから、数が多すぎて、名前がつけれない。だから、親友だけに名前をつける事にしている。親友の基準は気分で決めているのだが。


 例えば、ボクのすぐ側にいる鉄製で身長が2m半ばある槍を2本持ったゴーレ厶、【使者】と言ってボクの一番の親友だ。ちなみにゴーレムは土魔術によって作られた戦闘人形みたいなものだ。


 そして、ボクは親友と家族をまとめて、ネームドって呼んでいる。ネームドを作る時は特殊な手法で作る為、他の人形よりも強力だ。


 ボクが浮かれていると何故か、背後から声がした。


「やあ、こんにちは。可愛いお嬢さん」

「!?」


 振り返るとそこには背が高く、黒色の格好をした若い男性がいた。その男性は神々しいオーラと禍々しいオーラを同時に放っていた。


 ボクは驚いた。この世界の人にまだ生き残りがいたなんて……。


「ねぇねぇー、君は誰? なんでボクのお友達になってないのー?」

「これは失敬、自己紹介が遅れました。私の名前……いや、私は混沌の神というものでね、一応神なんだ。申し訳ないがね、君とは関わりが無い。だから、友達ではないのさ」


 神!? 確かに神々しいオーラを放っているが……いや、神なんて存在しない!


「面白い冗談を言うね~神なんて存在しないよ」

「信じないなら証明するよ、ほら」


 すると彼は指をぱちんと鳴らし、ボクと彼は雲の上にいた。


 雲の上なんて初めてだ。周りが雲だらけだ。これ、落ちたりしないよね?


「信じたかい?」


 彼は再度指を鳴らし、元の場所に戻った。これ程までに高度な魔法は見た事がない。彼を神だと認めることにした。


 ボクは興奮した。神とお友達になれれば、きっと楽しいだろう。


「ボクと友達になってよ!」


 ボクは神に気付かれないよう配下ネットワークという物を使って【使者】に指示を与えた。指示は槍で神を刺せだ。配下ネットワークとはボクの配下に当たる存在、つまり、お友達たちと魔力を通じて連絡出来る便利なシステムだ。


 【使者】は目にも止まらぬ速度で槍を神に向けて、刺す。


 しかし、それは神の身体をすり抜けた。


「友達になってと言っておきながら、刺すなんて酷いなぁ、お嬢さん」

「!?」


 ボクは驚いた。【使者】のLvは40、この世界では最強クラスだ。なのに、神に触れる事すら出来ない。


 ボクは信じない。幾ら神でも万能ではない。だから、【使者】にまた指示を出した。


 【使者】は槍で怒涛の連撃を繰り出す。だが、何も意味をなさなかった。


「無駄だね~」


 流石は神様……ボクでは倒せないか。ボクは諦めたので【使者】の攻撃を辞めさせた。


 神は万能ではないと思っているが、次元が違う。ボクには対象のLvを観察出来るスキル、魔力探知があるが、神はそれに引っかかっらないのだ。ボク如きでは探れないという事だろう。


「何か用ですか、神様〜」


 ボクは不満そうな顔を神に向けた。


「やっと話を聞いてくれそうだ」

「はいはーい」

「単刀直入に言おう。貴女を異世界へと転移したい」

「はぁ!?」


 ボクは驚いた。異世界なんて本の世界でしか聞いた事がない。しかも、夢をせっかく達成出来たのに、転移させられるのは嫌だ。

 

 ボクは嫌そうな顔を向ける。


「まあ、貴方には選択権などないのだけどね」


 神様がそう言うなら、諦めるしかなさそうだ。よく考えたら、別にそこまで残念に思う必要はない。新しいお友達を作れるチャンスでもある。


「貴女の転移先はこの世界の上位世界、魔力も人口も全てこの世界よりも上さ。何より勇者と魔王という存在がいる」

「ボクを転移させて、何かやって欲しい事はあるの?」

「やって欲しい事なんてないさ、君のやりたい事をすると良い」


 ボクのやりたいをすれば良い!? とても都合が良い。不幸中の幸いってやつだ。


「じゃあ、行ってらっしゃい~」

「急だね!」


 そして、神は指をぱちんと鳴らし、ボクの意識は暗転した。


「貴女の活躍、期待していますよ」

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