[レビュー01] 右左一奥様の「エイリアン迷宮の異世界征服記」
イチオシレビュータイトル:特異点的迷宮領主
投稿日:2016年09月24日
作品タイトル:【重要なお知らせ有り】 エイリアン迷宮の異世界征服記 (本作は旧版です。新版は別投稿となります) https://ncode.syosetu.com/n9041de/
作者:右左 一奥@『エイリアン使い』連載中 様 https://mypage.syosetu.com/275277/
(レビュー本文)
とてもエキゾチックなダンジョンマスターの物語です。
異世界に転移した青年が、ダンジョンマスターに成り建設と闘争により自らの勢力を作っていくのですが、その能力と眷属の系がとにかく独特なのです。
「幼蟲の創成」「走狗蟲」「因子の解析」etc.
聞きなれない特異な概念が大量に流入する中、主人公は試行錯誤しながらその体系の使い方を学んでいきます。
読者も最初は大混乱すると思いますが、新奇なものに触れるときの楽しみと驚きがあります。
そして闘争も、戦闘の集合というよりは総力戦の趣があり見ごたえがあります。領域のすべての生産力、技術力、精神力を動員したルール無用の潰し合いであり、異なる体制の間での呑むか呑まれるかの生存競争なのです。
これは面白い小説でしたねえ。
異世界風&組織的!ダンジョンマスター物なのですが設定の独自性が際立っていて、造語センスと文体も独特でした。
情報量の多い緊張感のある文体で、聞きなれない用語を畳みかけるようにぶつけられて、読者は混乱すると同時に異形の世界の迫真の体験をすることになります。また、眷属を進化させるのですが、そのシステムが簡潔かつ可変性に富んでおります。例えばミニ4駆の部品を交換してコースにより適応した車を作っていくような、あるいはポケモンの進化先がいくつもあるような感じです。
その描く世界とシステムのユニークさと迫力ある描写から、多くの熱心な読者を獲得しました。
このイチオシレビューではその文体の一部を借りて言葉遊びをしています。右左氏は単語のルビの振り方で説明と雰囲気づくりを同時にやるという手法を活用しているのですが、レビューでは「系」「体系」「体制」に同じ「システム」とルビを振っています。またレビュータイトルの中の「特異点」の語は小説の特徴と雰囲気をを端的に示していて我ながら気に入っています。
「エイリアン迷宮の異世界征服記」は一時更新を休んでいた時期があったのですが、2022年3月になり「エイリアン使いの異世界探索侵略譚」として再スタートを切り、現在も連載中で多くのファンの支持を集めています。これについては後でまた書きます。