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[レビュー14] 水上栞様の「公妾/maîtresse royales」

イチオシレビュータイトル:ヒロインは負けない、その豪壮華麗な生涯の苦悩と愛

投稿日:2022年04月23日

作品タイトル: 公妾/maîtresse royales   https://ncode.syosetu.com/n1260hi/

作者:水上栞様   https://mypage.syosetu.com/1719082/


(レビュー本文)


端正な文体の力強い物語です。

大変面白いので是非読んでみてください。


降りかかる理不尽さに主人公ラウラは負けません。

孤児で人身売買で売られる身から公妾(王の側室)まで、社会の下から上まで駆け抜けていきます。

多様な登場人物がしっかり描けていて、現実感のある社会の断面を見ているようです。


物語を爽やかにしているのはラウラが心の自由を持っていることです。

誰も彼女の心までは支配できません。

彼女の視線は誰に対しても平等で、悪徳も美徳もすべてをありのままに見ています。


また生涯を貫く愛もこの物語を魅力的にしています。

若い時の出会いは紆余曲折を経てゆっくりと成熟していきます。

互いを深く理解した静かな愛。


物語の終盤の衝撃的なカタストロフでも、ラウラにはある満足があったのではないでしょうか。

彼女は自分自身であり続け、愛し愛されたのだから。 

 この小説を読んで、文体の端正さと力強い物語に驚愕しました。


 孤児で人身売買される身の上が先ずショックを与えるようですが、主人公の明晰な知性と行動力は彼女の人生を切り開きます。「その豪壮華麗な生涯」というのは豪奢な衣装とアクセサリーに囲まれているという意味ではありません。その境遇の中でままならない事もありますが、自覚的に勇気をもって行動していく生き方が豪壮華麗だと思うのです。


 水上栞様は、主人公を魅力的に描くだけでなく、その周囲の人物を描くのがお上手です。社会の多様な人々、一筋縄にはいかないそれぞれの人生。社会そのものを巧みに描く能力をお持ちなのではないでしょうか。


 水上栞様は「背徳の画家ミロスラヴとそのパトロネス」を連載中です。これも見事な小説です。 

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