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顔合わせ

閲覧有り難うございます。

感謝感謝です。

〜朝の巡回終了後〜


自警団の面々と肩を並べ、今日も無事を喜びながら村の入り口をくぐる、全員が口々に回復士としてのカルラの力を褒めながら、何時も通りに村の中央で待っている冒険者ギルドの職員に今日の討伐報告を行う。


「…………オークにゴブリン…………何時もながらこの数を討伐して負傷者がゼロとは………」


感嘆の声をあげるギルドの職員。魔物の討伐数を数えながら自警団の面々に視線を向けるが、そんな面々は面々で、その視線をカルラに向けて。


「職員の姉ちゃんよ、俺らが無傷なのはカルラちゃんのお陰だぜ!」


「だよなぁ、カルラちゃんがしっかりと回復してくれるから俺らも多少の無茶が利くんだ!」


「まぁ、無茶が過ぎるとカルラちゃんんに雷落とされるけどな!」


「「「違いねぇ!」」」


何処からともなく笑い声が上がる。それは波となって自警団全員に伝わり、笑い声がそこかしこに響き渡る。


「……………」


と、黙してしまうカルラは顔を朱に染めて俯いてしまうが、別に気を悪くしたわけでもなく、その証拠に近くの団員の肩をこれでもかと叩いている。


そんな微笑ましい光景を眺めながら。


「何時みても良い光景ですね………」


改めて口にするギルドの職員。表情からもその言葉が本心から出ていると安易に感じられる程だった。


「……………そうだ、フレーミヒさん今日の午後の事なんですが」


「シャリオからの冒険者ですよね?」


「えぇ、今日の午後着任になるんですが、フレーミヒさんもパーティーメンバーになってもらうんですが……」


「はい、それは連絡がありましたから、でも私なんかで良いんですか、シャリオの有力旅団のパーティーならある程度連携もあるだろうし、そんな中に私が入ったらかえって迷惑になるんじゃないかと」


「そうですね、気持ちは解ります、でも回復士がいないパーティーらしいので、出来ればつけてほしいと打診がありましたから………」


ギルド職員はそう言って、カルラに恐縮した視線を向ける。が、それを汲み取ったカルラは、職員に笑みを浮かべ。


「それなら了解しました、回復士としての任務を全うします!」


了承の笑みを見せて、ギルド職員と握手を交わすのだった。




「カルラぁ」


「なぁに、母さん?」


「昼過ぎからでしょ、家でご飯食べるの?」


「う〜ん、どうしようかなぁ………」


「ギルドは用意してくれ無いんでしょ?」


「うん、でも集合時間………!!?」


と、その時家に掛かっていた時計に視線を向けた刹那、カルラの顔面から血の気が引き。


「遅刻だぁ!!」


と、家から飛び出して行く。


「あの子は…………」


その背を眺め嘆息する母であった。




〜村のギルド支所〜


「…………………」


「……………」


「………………ちょっとぉ、職員さん遅いんじゃないの!」


「そ、そうですね、さっき朝の巡回から帰った来て、村にはいるはずなのですが………」


「てかさぁ、希少の回復士だからって調子のってんじゃないのぉ………ねぇ、ロルフ?」


「申し訳ありません、今職員を向かわせますので」


「早くしてよね、ねぇロルフ?」


「…………別にいいだろ、こっちとしても人員不足に無理強いしたんだ、リーザも少しは我慢しろよ」


「………………解ったわよ」


ロルフに窘められ、リーザと呼ばれた少女は不機嫌な表情を更に険しくして黙り込む。それを確認して。


「職員さんすまなかった、こちらとしても今回の任務には回復士は必要な人員だ、それゆえあまり輪を乱されるのも…………解って貰えると嬉しい………」


「それは、ジーベル氏の言われる通りです、本当に申し………………」


「す、すいませんっ、遅刻しました!!」


ギルド職員の謝罪に被せるように入り口の扉から入ってきた一人の少女、カルラだ。息を切らせながらも大声で謝罪の言葉を述べ深々と頭を下げる。一瞬その場が沈黙するも、直ぐに気を持ち直した職員はカルラの隣に立ち。


「か、彼女が今回の臨時人員の回復士です」


「ふ、フレーミヒです、今回は遅刻して本当にすいませんでした!!」


再度謝罪。すると。


「ちょっとぉ、回復士だからって調子のり過ぎ?どんな実力か知らないけどぉ、片田舎の山村の回復士が、私ら有力旅団を待たせるってさぁ、どうなの!?」


「おい、クッツァー、口を慎め!」


「ジーベルさん、ちょっと黙ってて」


カルラを見て異様に噛みつくリーザ。


「クッツァー氏、お怒りはごもっともですが……反省しておりますし……」


「おい、リーザ、もういいだろ…………回復士さんも………………ってカルラ!?」


いきなりだったが、ロルフが回復士の名前を叫ぶ。それを見て更に表情を険しくしたリーザは。


「何、ロルフってばこの子の知り合い………?」


「いや、幼なじみだよ………一緒に冒険者になるために、シャリオに行って、冒険者になった後はカルラは村に戻って、俺は今の旅団に所属したんだ」


何処か懐かしむような表情を浮かべるロルフを尻目に、リーザはカルラをジッと睨み付ける。いたたまれない雰囲気にカルラはギルド職員の背中に隠れる。

と、それを見たジーベルは。


「クッツァーもロルフもその辺りにしとけ、それにクッツァーは因縁をつけるな、旅団の人間として節度を持て、これから少しの間は同じパーティーになるんだからな」


「ふんっ………」


納得が出来てはいないが。パーティーリーダーのジーベルの言葉に渋々と黙るリーザ。しかし、カルラを睨み付けるのは止めなかった。

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