第四話 これから・・・
「・・・・様・・・ック様・・リック様!」
「うわっ!」
ゴンッ
「いたた・・・大丈夫ですか⁉︎」
目を覚ましたリックの前には、顔を押さえてのたうち回るヴォルフ司祭の姿があった。
「先ほどは、息子がご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、こちらこそすみません。リック様がなかなか目を覚さないので、心配になったもので」
ヴォルフ司祭は、神像の輝きについては黙ったまま、帰路につく彼らを見送った。彼と神のことに、自分が邪魔をすべきではないと考えたのだ。
「さて、リック。早速だが、ステータスを見せてもらえないか?ステータスオープンと唱えるんだ」
「分かりました。“ステータスオープン”」
《ステータス》
名前 リック・フォン・ハルバート
種族 人間
性別 男性
年齢 5歳
称号 なし
Lv 1
体力 200/200
魔力 300/300
スキル なし
隠蔽後のステータスが表示されて俺は安堵する。
ちゃんとスキルは働いたようだ。
「ほう、魔力が高いな」
「リックは魔法の方が向いているのかしら」
「いいなあ、リックは魔力があって」
「姉上には剣があるじゃないですか」
「それはそうだけどさー」
リリーは体力が350程度あるのに対して魔力が50程度と低いので、俺の魔力が羨ましいらしい。
隠蔽しているとは言いづらいな。
「二人とも体力も魔力も高いみたいだね・・・」
「あ、兄上にはその頭があるじゃないですか」
「そ、そうだぞマイク、お前には母さん譲りの賢さがあるじゃないか」
マイクのステータスも体力も魔力100ぐらいだ。
昔から勉強してた真面目っ子だから仕方ない。
・・・隠蔽しているなんて絶対言えないな。
落ち込むマイクをみんなで励ましていたら、いつの間にか馬車は家の前に到着していた。
「「「「リック(様)、誕生日おめでとう!」」」」
家に帰ったら使用人も一緒に誕生日パーティーだ。
豪華な食事とデザートに、みんなの心が沸き立つ。
「リック様ももう5歳か」
「時が過ぎるのは早いなあ」
「そんだけ俺たちは歳食ってるわけで・・・あっ!」
「ア、アンネ様!落ち着いてください!」
「も、もう食べられない・・・」
「まだまだこれからよ!」
賑やかなパーティーの時間はあっという間に過ぎていった。
今日は無礼講だと飲みまくる男性陣、使用人の発言にプルプル震えるアンネ、食べ過ぎて豚のようになるマイクとリリー、デザートを掻き込むメイド達・・・
あれ、これ俺の誕生日だよね?
自分の存在感を不安に思いつつ、俺はこれからのことを考える。
やはり魔法をやりたい。せっかく異世界に来たんだから当然だ。
この世界で魔法を学ぶにはいくつか方法があるが、一番早いのはやはり学校だろう。
王都に10歳から通える学校があると聞いたことがある。
そこを目指すのが一番だろう。
当然、家族からの反対もあるだろうが、それを乗り越えてでもいく価値はあると思っている。
ただ、10歳になるまでの間、何もしないでいるのも勿体無い。
やはり、出来るだけ学んでおくべきだな。
万が一、学校に成績不良で入れなかったら困る。
後で母上に本の場所でも聞いておこう。
体力作りもした方がいいかも知れない。
考えれば考えるほど夢が膨らむ。
参考に、マイクとリリーのステータスです。
名前 マイク・フォン・ハルバート
種族 人間
性別 男性
年齢 10歳
称号 なし
Lv 1
体力 120/120
魔力 90/90
スキル なし
名前 リリー・フォン・ハルバート
種族 人間
性別 女性
年齢 7歳
称号 ブラコン
Lv 1
体力 350/350
魔力 50/50
スキル なし
リリーの称号は、もちろんリックのことです。