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『速攻の町 アシャズ』



 ちゅん、ちゅん、ちゅん


 ちゅん、ちゅん、ちゅん



「おお。もう朝か。今日もぐっすりだったな。やっぱり〈光闇魔力循環の癒やし〉の効果は凄いなぁ。身体も全開バリバリって感じで調子が良いし、元気もハツラツだぞ? やるね、俺!」


「おはようございます。旦那様。今日も早起きです。昨日も私が先に眠っちゃいましたね。それも、ありがとうございます。お陰様で、私も元気ハツラツです!」


「ふふ。おはよう、アリー。先に眠るのは気にしなくて良いからね。効率的に魔法を発動させようと思うと、その方が良いんだし。俺も気にしてないからね」


「はい。いつもありがとうございます。私、愛されてます! 嬉しいです。えへへ」


「あい、おはようなのじゃ。2人とも。今日も元気そうで何よりなのじゃ」


「うん。おはよう、ミラ。ミラも元気ハツラツじゃないの? 気分でも悪い? 冴えない顔してるけど?」


「おはようございます、ミラさん。そうですね、少し顔色が冴えませんか?」


「うむ、そうなのじゃ。また夢を見ての。それがパッとせん内容だったのじゃ。顔色が冴えんと言うなら、多分それが原因なのじゃ」


「え? 夢のせいなの? どんな内容だったの?」


「はい。気になります。どんな内容だったのでしょう?」


「ふむ。と言っても、そんなに悩むようなモノでもなかったのじゃ。今回は、前回の続きからじゃったのじゃ。面白い事もあるのじゃのう。


 アリーと一緒に、森の中でジャンボシイタケの群生地を見つけての、一緒に沢山採取するという夢だったのじゃが、それで、その群生地でキノコを採取している最中に、変わったキノコを見つけたのじゃ。


 そのキノコの大きさは、ジャンボシイタケほど大きくはなかったのじゃが、なかなか採取出来んでのう。それで、他にもないか色々探してみたのじゃが、いくら探して見ても、その変わったキノコは、そこに1つしかなくての。


 仕方なく、アリーと2人でその1つのキノコを採取しようと苦労しておる夢じゃったのじゃ。それに、結局採取できずに目が覚めたのじゃ」



「えー。何だろうね。また昨日の続きって言うのも面白いけど、群生地の中で、変わったキノコが1つだけあったんでしょ?


 それも、なかなか採取できないって言うんだから、新しい何か、ミラが興味のある事で、なかなか手に入れられないようなモノの象徴とかかなぁ? 何だろ、新しい技とか、必殺技みたいなモノとかかなぁ?」


「ほう。新しい技や、必殺技の象徴とな? 確かに興味はあるし、なかなか簡単には手に入れられんのじゃ。ふむふむ。そんな風に考える事もできるのじゃな。面白いのう、夢というモノは。


 なら、今度は、新しい技を体得するために、必死に努力する夢かもしれんのう。それはそれで楽しみなのじゃ。夢の中のわしは、どんな努力をするのかのう。ふふふ」


「ふふ。そうだね。これからどうな風になっていくのか、また明日の報告を楽しみにしてるよ。それで、アリーはどうだった? いい夢を見た記憶は残ってる?」


「はい。残念ながら、私は今日もダメみたいです。何も覚えていないです。何ででしょうか? ミラさんの夢には私も登場できてるのに、私が覚えてないなんて、ちょっと残念過ぎます」


「はは。でもね、夢を覚えていないのも、別に悪い事じゃないんだよ? それだけぐっすり眠れてるって事にもなるからね。これも考え方だから。


 アリーの身体の調子はどう? 前よりは、魔力量が増えてる感じとかしないかな? そっちで効果が出てるなら、それも悪くないと思うけど? どう?」


「あ、確かにそうですね。魔力量は、以前と比べると感じ易くなってると思います。そうですね。魔力量を増やす為にぐっすり眠ってて、夢を覚えていないと言うなら、今は魔力量を増やす方が良いかもしれません。これも、考え方なんですね。ありがとうございます。えへへ」



  * *



『ちゅん鳥』達と仲良く朝食を済ませ、本日も引き続き買い物三昧。パンっ! すし食べたい!


 話が纏まり次第、リーンも合流予定だけど、その前に、シーン、モークの3人で今後の話し合い。上手く調整できれば良いけどね。パーティーの事はパーティーのメンバーで話し合った方が良いと考えての別行動。今日で終わるか、明日になるか。まあ、慌てず待ちましょう。



 買い物ついでに、町で美術品の鑑定をしてもらった。美術品? ガラクタ? うん。高いのもあったね。


 流石、金こそ全てだった『ジャッジメント』。俺が持ってても宝の持ち腐れ。売っちまうか? プレゼントに使うか? 何かしでかした時に、見逃してもらうためのエサにする? ごめんなさい。これで勘弁して下さいって? いやぁ。どうすんべ?


 反対に、値が付けられないなんて凄いモノまであった。そう。ゴミってやつね。あくまでも個人の趣味として持ってる分には良いんじゃのいのかな。


 価値観も人それぞれ。骨董品に知識と理解がなければ、その人から見たら、ただの物。美術品でもそうだしね。子供の落書きみたいに見える絵が、実はって事もあったりする世界だからね。


 価値観を作るのも、植え付けるのも、そう、オイラ次第です! 有効活用するのです。オイラとハサミは使いよう? だから、今回は何も売らずに取っておく事にした。本物の中に交ぜてこその偽物だ? 色んな活用法も考えよう!



  * *



「いやー。今日もよく動き回ったねぇ。流石に疲れたよ。2人とも、まだ大丈夫そうだけど、そろそろ今日はお仕舞いにして、晩御飯を食べる所を探さない?」


「ふむ。もうそんな時間かの。まあ、『フラナガン・マネー』とやらも、ほとんど使ってしまったからの。もう買い物も、お仕舞いで良いかもしれんのじゃ」


「はい。そうですね。昨日、リーンさんが手伝ってくれましたから、効率良くお店も回れました。『フラナガン・マネー』も、もうないんじゃないですか? 買い物をお仕舞いにするなら、丁度良いタイミングかもしれません」


「よし。じゃあ、取り敢えず買い物はお仕舞いって事で、晩御飯にしよう!」


「ふむ。そうするのじゃ。店探しは、わしとアリーに任せておくのじゃ。アリー、美味しそうな匂いを探すのじゃ!」


「はい。お任せ下さい。美味しそうな匂いのお店を探します!」


 おう。2人とも、買い物もがっつり出来たし、腹も減ってるから、ノリノリだね。オイラは疲れて、そんな元気は出ないというのにね? あはは。


 結局、飲食店探しで言えば、『フラナガン・ガイド』の活用は、後からの答え合わせ的な使い方になるんだよね。俺達の場合? 活用の仕方も人それぞれだからね。自分達の鼻と勘を頼りにお店探しをする方が楽しめるという理由でね。


 ミラとアリーが居るからね。この2人に任せておけば、まあ、間違いはないのかな。今の所はね? 好き嫌いを含めた味覚の好みも似てるっていうのが嬉しい所だよね。えへへ。ふんっ! ぐっ!



「ん? 怪しいな? 何だち(・)み(・)は?」


 あっちゃ~。変な女の人発見。いきなり踊り出しちゃうか? そんなヤツはおらんだろう。うん。いなかった。疲れてる時に来ましたか?


 両肩に『黒鳥』乗せて歩いてる。あれって、俺にはカラスにしか見えない黒い鳥だよな。俺の迷探偵としての勘が告げている。あれは、怪しいぞ?


 両肩の『黒鳥』に話し掛けてるぞ。怪しくね? あっ。俺達も『ちゅん鳥』達に話し掛けてるな? あれれ~~?


 どっちも怪しいじゃん!!


 でも、俺達はコミュニケーション取れてるよ? それなら大丈夫だよね? うん。大丈夫だね。じゃあ、あの人も大丈夫じゃね? うん。大丈夫だね。


 よし! 見なかった事にはできないぞ?



 ミラ、アリー曰わく、あの鳥は美味しい鳥。でも、普通なら森にいるはずの鳥。街中にいるのが珍しいはすの黒鳥を、鳥籠に入れるでもなく、肩に乗せてるんだよ? 紐でも付けてるのかな? 《双眼鏡》


 あっちゃ~。これ確定か?


 あれは、ナンバー『3』かも。ね、じっちゃん! 今度は、ちゃんと気付いけたぞ。やったな、明智君。


『2』から得られた『3』に関する情報にも当てはまる。


 能力は小動物遣い。同時に複数の動物を操れる女性。あと、ヒステリー気質の性格で、扱いが難しいんだったか? あっ、鑑定持ちでもあったな。あんまり近付くのも面倒そうだよね。


 ん? 俺は関係ないのか。見られるのは気持ち良くないけど、見られても『生活魔法』だし? 何なら全裸でコート羽織っちゃう? はっ! それこそ俺のが怪しいじゃん! 変態じゃん!


 でも、見られたくない部分はちゃんと隠してあるからね? 《俺専用カーテン》使ってね。だから変態じゃないんだよ? でも、そういう使い方もできるのか? 闇のカーテンだからな。大事な部分に〈闇〉を纏ってやれば、全裸になってもコートは要らないね? ふふふふふ。


 あかん。アホな妄想はここまでにして、現実を見よう。



 タイミング的には『3』の可能性もあり得るけど、ま(・)さ(・)か(・)があるからな。他にも似たような能力者がいる可能性もある。まだ確定とまではいかないな。うん。『暫定3』だ。


 いきなり攻撃するのもダメだよな? 相手は女性だし? てへぺろじゃ済まない事案に発展するかもしれないしな。ふむ。悩ましいぞ?



 あっ。黒鳥がもう1羽戻って来たぞ? 3羽も操ってるのか。やるじゃないか。ほう。あっ、あの黒鳥、ちゅんちゅん鳥を咥(くわ)えて来てたのか。それを『暫定3』が褒めてるのか? 体を撫でてやってるし。《双眼鏡》で丸見えなんだからね!


 許せねーな。弱肉強食は自然の摂理。それをどうこう言うつもりはないが、やっぱりこの前の黒鳥も、こいつが操ってたのかって思っちゃうじゃないか。それは仕方のない事だぞ。


 俺は悪くない。思い込みでしでかしちゃうからな。間違いだったら、ちゃんと謝るからね。今から謝っとく?



 ミラとアリーはどこ行った? こんな時こそ、緊急集合の合図だな。


「ちゃららら~~ん! ジャンボシイタケ~~!」


 しかも焼きたて、香り抜群美味しそう! 俺が食べちゃいたい? 《送風》で、君達に届け!


「さあ! やって来るのだぁ~!」



  *


「あ、やっぱり旦那様でした。どうしたんですか? 街中でジャンボシイタケなんて掲げちゃって? それも、なにかの決めポーズですか?」


「おお。やっぱり旦那様じゃったか。何かあったのじゃな。街中でジャンボシイタケをそんなに高く掲げて、怪しい行動にしか見えんのじゃ」


 ぐはぁ。そうか。街中で、この動きは怪しいか。確かに、元毒キノコを街中で高く掲げて持ってちゃな。変身のポーズみたい?


 じゃあ、『暫定3』より、俺の方が怪しい行動をしていたと言う訳か。おう。じゃあ、実は俺が『暫定3』? 闇の〈カーテン〉使ってたら、マジで変態だったね。危ない危ない。あかん。そんな訳ないじゃん。現実に戻りましょ。



「あ。うん。ごめん。緊急事態発生だ。『暫定3』を見つけた。このタイミングで現れてるから、その可能性は高いと思うけど、同じような能力者かもしれない。『2』から手に入れた情報に当てはまってるから、相手は女性なんだよね。2人を呼んだのはその為なんだ」


「ほう、さすがタビトなのじゃ。警戒宣言をしてすぐに怪しい人物を見つけるとはの。しかも相手は女性なのじゃ。そこは、偶々(たまたま)じゃったという事にしておくのじゃが、それが『暫定3』という事なのじゃな」


「はい。流石タビトさんです。『暫定3』を見つけちゃいましたか。有言実行というやつですね。でも、それが女性だったからだと言うのなら、かなり問題もありますね? どうなんでしょう?」


「あ。うん。勿論、偶々だよ? 警戒してたのは間違いないけど、『2』からの情報にもあったからね。2人も聞いてたでしょ? 女性かどうかは、この際関係ないからね。ははは」


 今は、それどころじゃないのにな。何でそっちの方向に話がいっちゃうのかな。やれやれだよね。俺が悪いのか? 思い当たる節は、……あれれ~~? どうなんだろ。分かりません。



「ふむ。そうなのじゃ。アリーも、考え過ぎも良くないのじゃ。さすがにタビトでも、犯罪者を相手に『疑惑持ち』になるような行動はしておらんはずじゃ」


「はい。そう言われるとそうですね。私の考え過ぎでした。ごめんなさい。えへへ」


「うん。分かってくれれば良いからね。それより、あの『暫定3』をどう思う?」



「ふむ。あれじゃな。あの女が『暫定3』なのじゃな。ほう。確かに、報告で聞いておった通りの感じじゃの。ヒステリーかどうかまでは分からんが、小動物使いというのは間違いなさそうなのじゃ」


「はい。そうですね。能力は間違いなさそうです。あと、鑑定の能力もあったはずです。見られる前に対処するのが基本なんですよね? 鑑定持ち相手には」


「ほう。さすがアリーなのじゃ。良く知っておるのじゃ。鑑定持ちに、こちらの能力を見られると色々厄介じゃからの。見られる前に速攻で仕留めるのが基本なのじゃ」


「はい。両親に教わって色々勉強してましたから。これくらいの知識は持ってます。えへへ」


 おう。やるね、2人とも。流石、最強タッグだね。もう2人に任せちゃえば大丈夫かな。速攻で仕留めるのが基本だとか言ってるし? 即行の町だけに? 《冷風》



  *



「ふんっ!」 ドンっ!


「ぐっ!! な、……」 ドサッ 


 バサバサバサ がーがー がぁー がーがー




 えっと、俺は悪くないからね? 作戦会議? 何それ、塩味なの? 酸っぱいの? 苦そうだよね? 痛そうだ。


『速攻』。2人の出した結論ね。『即断即決即行動』これに『速攻』も加わった。うん。皆この町に馴染んできてるよね。俺も含めてね?


 悩んでも仕方ない。間違いだったら、謝れば良い。うん。俺と判断は同じだね。で、その後どうするの? それこそ闇の〈カーテン〉で隠しとく? 


『仕留める』。逃がさない為には『首輪』を着ける。それで事情を聞けば良い。『あなたは『3』ですか?』。うん。簡潔で分かり易いね。


 それで第1段階は『完結』したんだね。はあ。流石です?


 まあ、この町なら奴隷商館もあるから、間違いだったとしても、すぐに首輪は外せるし。なんなら、賠償金も支払うよ? オイラ結構お金持ち? まだまだ貯まっているからね? この町での支払いには、臨時収入の『フラナガン・マネー』を使い切っただけだから。


 さてと、大人しく眠ってる内に『首輪』を着けて、衛兵待機所に行きましょか。よっこらしょの、どっこいしょ?


 カシャ、《魔力供給》ぶわん。ふわぁ~ん



「お疲れ様、ミラ。綺麗に入ったね。一撃必殺の、良いボディブローだったと思うよ」


 不意打ちでのボディ打ち。それで、気絶しちゃうってどうなのさ。そんなに痛かったのかな? 脳が危険を察知して意識を飛ばしちゃうくらいに? おう。色んなモノが出てきそうだけど、うん。大丈夫そうだね。良かったよ。



「ふん。こんな相手など、当たり前の事なのじゃ。不意打ちでもあったからの。誰でもできる事なのじゃ」


「ミラさん、やっぱり凄いです。私では、そんな事できませんよ。凄い一撃でした!」


「そうだね。いくら不意打ちだったとは言え、一撃だからね。やっぱりミラじゃないと出来なかったと思うよ?」


「う、うむ。そうかの? やっぱりさっきの一撃は凄かったのか? 最近、どうも身体が軽くなっておるような気がしての、そこまで力を入れてはなかったのじゃが、一撃で相手が沈んでしまったのじゃ」


「えー。あれでも力を抜いてたの? あっ、もしかしたら、毎日の〈光闇魔力循環の癒やし〉の効果が出てるのかもしれないね。俺も、身体が軽くなってる気がするし、それで〈身体強化〉もパワーアップしてるのかもね」


「おお。そうかもしれんのじゃ。あの魔法は、本当に気持ちが良いからの。それでこんな効果まで得られるとは、やはり凄いのは、旦那様の方なのじゃ。これからも毎日お願いするのじゃ。ふふふ」


「はい! 私も、身体が軽くなってるような気がしてます。あの魔法の効果だったんですね。納得です。流石、旦那様の優しさ溢れる魔法です。私も、これからも毎日お願いします! えへへ」



「ふふ。分かってるよ。俺も、あれは気持ち良いと思うしね。更にこうやって効果が出てくるなら、これからも毎日やっていこうね」


「あい、よろしくなのじゃ。旦那様。ふふふ」


「はい! お願いします! 旦那様。えへへ」


 おっと、いかんいかん。少しは自重しないとな。『よしよし癒やし』は、後でだな。


 少しは堪えられるようになったんだよ? 多分ね?



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